2003年8月発売
警視庁捜査一課へ次々と送られてきた謎の白骨、誰が?何のために?十津川の推理が冴え渡る表題作「ある女への挽歌」。さらに、西村京太郎ワールドのもう一人の「名探偵」アメリカ帰りの“自称ハードボイルド探偵”左文字進の活躍を描く「三人目の女」「依頼人は死者」を所収。
二人の首領を同時に射殺する暴挙に出た気鋭のやくざ「真昼の銀次」は北国の海岸に立つ高さ100Mの電波塔に潜伏した。人間らしい生き方を選んだ元舎弟の世話になり、大自然の移ろいに身を委ねているうちに、銀次が徹したはずの悪はひび割れてゆく。そんな銀次を“仮面”があざ笑い、“死に神”が地獄へと引きずり込もうとする。そこへ老彫り師が現われ、刺青を彫らせてくれと頼む。
自身を絶対悪に染めあげるため、虹の刺青を背負った銀次だが、死が周辺の人間に相次ぐ事態に直面して、魂が揺らぐ。生にも死にも見限られ、その狭間であがくアウトローが最後に対決した相手とは…。想像力と言語表現の限りを尽くした豊饒な文体と、従来のハードボイルドを寄せつけない凄まじい緊張の世界が、読む者を圧倒する。人跡未踏の小説世界を築いた丸山文学の傑作長編。
感動再び!原作でも映画でも描かれなかった、もう一つの『黄泉がえり』。不思議なことが起きていると聞いた。熊本のある地域で、死者が蘇るというのだ。もう一度だけ、あの子に逢いたいー。事故で亡くした子供を生き返らせるべく、別れた夫婦が再会し、熊本へ向かう。再生への祈りを込めた旅路を描く表題作ほか、短編の名手と謳われるカジシンの魅力満載で贈るオリジナル文庫。
深夜、16歳の少女の部屋に男が侵入し、気がついた母親が猟銃を発砲した。とりおさえられた男は、17年前に少女と結ばれる夢を見たと主張。その証拠は、男が小学四年生の時に書いた作文。果たして偶然か、妄想か…。常識ではありえない事件を、天才物理学者・湯川が解明する、人気連作ミステリー第二弾。
戦国一の傾き者、前田慶次郎。前田利家の甥として幾多の合戦で武功を挙げる一方、本阿弥光悦と茶の湯や伊勢物語を語る風流人でもある。そんな慶次郎はまた希代の悪戯者で、利家を水風呂に叩き込んだり、秀吉の目前で猿廻しを演じてみたりと大活躍。後に上杉景勝に仕え、最後まで自由に生きた一生を描く。
つましい月給暮らしの水田仙吉と軍需景気で羽振りのいい中小企業の社長門倉修造との間の友情は、まるで神社の鳥居に並んだ一対の狛犬あ、うんのように親密なものであった。太平洋戦争をひかえた世相を背景に男の熱い友情と親友の妻への密かな思慕が織りなす市井の家族の情景を鮮やかに描いた著者唯一の長篇小説。
死を目前にした老父をめぐって、複雑にからみあう家族ひとりひとりの内面を、それぞれの独白の形で重層的に描き出した、亡き父への鎮魂小説「家族」。死の床でなお“性”への執筆を見せる老人と、それに最後まで向き合わざるを得ない医者の葛藤を描いた「さとうきび畑」などを収めた珠玉短篇集。著者自身によるあとがきを付す。
元気はつらつとした知性をもつエリザベス・ベネットは、大地主で美男子で頭脳抜群のダーシーと知り合うが、その高慢な態度に反感を抱き、やがて美貌の将校ウィッカムに惹かれ、ダーシーへの中傷を信じてしまう。ところが…。ベネット夫人やコリンズ牧師など永遠の喜劇的人物も登場して読者を大いに笑わせ、スリリングな展開で深い感動をよぶ英国恋愛小説の名作。オースティン文学の魅力を満喫できる明快な新訳でおくる。
「世界一高慢でいやなやつ」と思われていたダーシーの、別人のような丁重な態度に驚き戸惑うエリザベス。一度プロポーズを断わった私に…。妹リディアの不始末、ダーシーの決然とした行動、キャサリン・ド・バーグ夫人の横車…。エスプリあふれる笑い、絶妙の展開、そして胸を打つ感動。万人に愛される英国恋愛小説の名作中の名作。オースティン文学の真髄を伝える清新な新訳でおくる。
白樺湖畔に聳える洋館「鳥の城」は、主の五度目の婚礼を控えていた。過去の花嫁は何者かの手によって悉く初夜に命を奪われているという。花嫁を守るように依頼された探偵・榎木津礼二郎は、小説家・関口巽と館を訪れる。ただ困惑する小説家をよそに、館の住人達の前で探偵は叫んだ。-おお、そこに人殺しがいる。
旅行先で見つけた“チルダーマス時計”のなかのどくろ。以来、つぎつぎと不思議なことが起きた。どくろに触れた教授は失踪するし、一方ジョニーは毎晩、悪夢に悩まされた。神父の十字架が謎に迫る!シリーズ第2弾。
無認可保育園の園長兼私立探偵・花咲慎一郎。彼に持ち込まれた人探しは、やがてクスリがらみの危険な仕事に発展する。その上、最愛の女性・理紗が行方不明に…。次々に襲いかかる無理難題と戦う心優しいハードボイルド探偵に、明日はあるのか!?読み始めたら止まらない傑作シリーズ第2弾。
時空の隙間に落ちた長兄・青竜王を追い、三男・白竜王は千年前の中国を旅する。大国・遼の侵攻激しく、内政不安定な宋代初期、天界への門が開閉するタイム・リミットまでに兄弟は再会を果たせるか?古都に巣くう残忍極まる邪神どもとの人智を超えた激闘の行方は?歴史の針を正すため、竜王が天駆ける。