2024年7月発売
夫を亡くして独りで暮らすマティルド、63歳。殺し屋である。戦中は冷血の闘士として知られ、戦後は凄腕の殺し屋として仕事を請けてきた。だが彼女には認知症が少しずつ忍び寄りつつあった。それに気づいたのは、彼女に殺しを依頼している戦中からの同志アンリ。マティルドの殺しが必要以上に過激になっていたのだ。一方マティルドの中では、かつて抱いていたアンリへの恋心が甦り、暴走は加速してゆく!最悪の事態が雪ダルマ式にふくれあがる!マティルドを愛していたアンリは、そして事件を追う真面目な刑事ヴァシリエフは、彼女を止められるのか?現実の人生では理不尽なことが次々起こるのに、なぜ小説家は手加減しなければならない?と言い放つ鬼才ルメートル。その最後のミステリーは、アタマからラストまで、ひたすら加速する「最悪と意地悪のスパイラル」。その果てに待つラストのサプライズは、笑ってしまいそうに衝撃的で電撃的で残酷で、まるで私たちの運命のようなのだ。
「夢のなかで責任がはじまる」という一作の短編により鮮烈な登場を果たすや、ウラジーミル・ナボコフ、T.S.エリオットらにその鋭い才能を絶賛され、20世紀アメリカ文学史上に一条の軌跡を残した伝説的作家デルモア・シュワルツ。サリンジャー、チーヴァー、フィッツジェラルドの系譜に連なる、若者たちの焦りと輝きをクールな筆致で捉えた「新世代の代弁者」、待望の本邦初作品集。
ファティアとライオネルの甘〜い同居生活が順調な中、第一王子レオンの婚約披露パーティーが近づいてきた。きっとそこで恐ろしいことが起きると考えた二人は、何とかパーティーに潜入しようと計画を立てる。けれど、いまだファティアは聖女の力を取り戻せず、ライオネルも『呪い』にかかったまま。元聖女と元天才魔術師の運命は!?
英国プレミアリーグで活躍するワールドスター・サッカー選手キム・ムギョンは期間限定で故郷・韓国のサッカーチームにレンタル移籍中。所属チームの新米コーチイ・ハジュンとひょんなことからセックスパートナーに。ハジュンは密かにムギョンだけをずっと想ってきていた。ハジュンの告白に対して「ロンドンに戻るまではかわいがってやる」というムギョン。だが、ある出来事をきっかけにムギョンから距離を置くことをハジュンは決意する。二人の壮絶な過去が交差し、心と体はすれ違う…。
行方不明の幼馴染を探すために、少女たちはアナーキーなオンラインゲームの世界へ飛び立った。舞台は世界的大ヒットゲーム「ランドクラフト」。世界中で売れた本数は3億本。プレイヤーが多いことからゲームの中ではRMT(リアル・マネー・トレード)と言われる現金のやりとりも行われている。最近「ランドクラフト」内で10億円相当の宝が眠っているという噂が流れ、世界中のプレイヤーがその宝を探している。中学2年生の巧己と祥一は、夏休みをいいことに「ランドクラフト」に没頭し、あわよくば10億円をゲットしようと連日ログインしていた。が、ある日祥一が行方不明になってしまう(ゲームの中でも現実でも)。祥一が何かトラブルに巻き込まれたに違いないと思った巧己は、幼馴染の千香に助けを求めるが…。
20世紀初頭の南アフリカ。異人種間の結婚や性交が禁じられていた時代。白人と褐色の肌の人々が生きる隔絶された空間で事態は推移する。石と太陽で造られた屋敷の仄暗い廊下では、昼も夜も時計が時を刻む。孤独で不美人な未婚の娘マグダ、農場を支配する厳格な父、使用人ヘンドリックと美しく幼い花嫁、不在の兄。肩の上に一気に手斧が振りあげられ、ライフル銃の薬莢が足元で音を立てる。やがて屋敷の秩序は失われ、暴力と欲望が結びつく…。ノーベル賞作家が、検閲の網をかいくぐり、植民地社会の歴史と制度への批判をこめて織りあげた幻視的長篇。新訳決定版!!!
あなたの日常に、きらめきと楽しさを。誰にでも親しみやすい視点で選び抜いた国宝の魅力と、それを通じて得られる感動を届ける博学篤志の1冊。これで国宝の新たな一面を発見する旅へ、いざー。
遠い宇宙のかなたにあるソンブレロ銀河。そこでは「As Game」と呼ばれるバーチャル空間での決闘が星の未来を決めていた。惑星ソブリンの3兄弟ゼブリン・グラント・ボールドとホライズン一族は長きにわたり、互いに反目し合う関係だった。ある日、長男・ゼブリンは「黄金星」を賭けたホライズンとの戦いに挑んで…。壮大な宇宙バトルが幕を開ける!
リオ五輪女子体操ヘッドコーチ初の小説登場!「この作品は、私が体操コーチとして経験した事を基にフィクションとして書きました。倉本コーチが私で、神代茜は体操の寺本明日香さんです。」
終戦から4年、戦争の爪痕残る東京に生まれた冬華蕗子(とうが・ふきこ)は、何不自由ない環境に育ちながらも、社会や家庭への漠然とした息苦しさを感じていた。「この社会は本当に正しいのか」はっきりした目的を持てず進学した彼女が、ある日行き当たったのは白いペンキで「マル研」とドアに書かれた部屋だった。「探していたのはこの文字だったのか」と直感的にドアを押した先にいたのはー。ひたむきに力強く、彼女は不条理な世界を歩む。高度経済成長、ベトナム戦争、学生運動、バブル崩壊…混沌とした時代と一人の女性の軌跡を描いた、著者渾身の一大長編!
上洛した織田信長に呼び出された明智光秀は、とある任務を下される。数の信奉者である信長は、敵対する大名の財力を把握する必要があった。中でも武田と毛利の資金源である湯之奥金山と石見銀山の見定めは不可欠である。ただし、そのためには敵地の中枢に潜り込み、金銀の産出量を示した台帳を確認しなくてはならない。見つかれば命の保証はない危険な道中である。光秀は盟友の新九郎と愚息を伴って隠密裏に甲州へ向かう。駿河湾の田子の浦に辿り着いた三人は、そこで土屋十兵衛長安と名乗る奇天烈な男に出会いー。金と銀、その真価を問う。
最弱な夜にひらめいた、最強になれる選択肢。「もうさー女友達と一生暮らしたいんだよね最近は!?」酔って叫んだひと言が、4人の運命を変えたー。エンドレスガールズトーク小説、開幕。
ロシア軍の侵攻から10年が過ぎたー北海道東北部は、反乱軍と化したロシア軍や指揮を逸脱した自衛隊の部隊、民兵などが群雄割拠している。陸自「支援飛行隊」のイリキは、ヘリ墜落から九死に一生を得る。救ってくれたヤマガタ、アンナと共に、血なまぐさい「無法地帯」を奥へ奥へと進んだイリキの前に、ついに究極の兵器が現れる!ロシアの侵攻により「無政府状態」と化した北海道。自衛官出身、『小隊』の砂川文次が圧倒的なリアリティーで描くノンストップ・ミリタリーアクション巨編!
僕の友達にヨシダさんという人が居ます。歳は四十代半ばで長身痩躯。酒豪。ちなみに中々の二枚目。職業タクシー運転手。数年前の或る日、僕が新宿駅西口でたまたま停めたタクシーの運転手さんがヨシダさんでした。会話をする中で妙にウマが合い、怖いもの好きの彼から沢山の怪談を聞きました。そしていつの間にか、その場に僕も連れていかれるようになりました。初めは数カ月に一度、多い時はひと月に二度三度。僕は彼と一緒に日本のあちこちにある廃墟の数々に足を踏み入れました。これは僕が謎多き親友ヨシダさんと恐怖を味わい、束の間を共に過ごした記憶の中から幾つかを選んだものです。「廃校であった怖い話」「二十世紀の聖域」「東京夜走老婆」「人形塚」などのエピソードのほか、5万字超の書き下ろしを加え、待望の書籍化!第11回ネット小説大賞受賞作。