2024年6月19日発売
ここだけが私の居場所。猫達と居るこの場所が。「猫に九生あり」という。かつて漱石と暮らした黒猫は、何度も生と死を繰り返し、ついに最後の命を授かった。過去世の悲惨な記憶から、孤独に生きる道を選んだ黒猫だったが、ある日、魔女を称する女店主・北星恵梨香が営む猫まみれの古書店「北斗堂」へと迷い込む。文豪の猫と創作の業が絡まり合う、ハートフル×ビブリア×ファンタジー!「日本ファンタジーノベル大賞2024」大賞受賞作!
佐伯真理子(76歳)は、台風の夜、庭に倒れていた加代(73歳)を助け、しばらく一緒に住むことに。節約、節制を続け、面白みのない毎日を過ごしていた真理子にとって破天荒で、金遣いも豪快な加代の存在は、新鮮で刺激的!ずっと一緒にいたいと思った時、加代の正体が判明する。なんと加代は、真理子が30年間、恨み続けた存在で…?
ふぞろいな相棒。不器用なあいつと俺。「おすすめ文庫王国2024」エンターテインメントベストテン第3位の著者が、20歳の一郎と24歳の辰巳のわちゃわちゃした日々と不滅の絆を描いた、熱く切ない感涙の人生ドラマ。
航空主兵主義を採用した連合艦隊による米海軍撃退は限界に達していた。米海軍は新鋭空母や新型戦闘機を前線に投入し、連合艦隊は航空優勢の維持すら困難な状態にある。もはや、かの日本海海戦に匹敵する大勝利をもって、米国を講和会議の場に引き出すしかなかった。連合艦隊は米太平洋艦隊の根拠地トラックへの攻撃を開始するが、世界最強戦艦「オレゴン」を中心とした敵主力は未だ健在である。はたして、この最後の戦いに勝利を得て戦争終結への道筋をつけられるのか?
善治は幼い頃に両親を失い、優しい伯母夫婦に引き取られるがどこか遠慮がちに生きてきた。自分が来たせいで、従兄の大我は高校卒業後すぐ犬の訓練所に就職したのでは?やがて善治が大学生になると、“落伍犬”の元警察犬のシェパード、アレックスがやってきた。任務の時に足を痛め、引退したという。引き渡し先が決まるまで大我が伯母に預けたのだがーなぜか自分が世話をするはめに。犬嫌いの善治が仕方なく散歩に行くと、リードを引っ張られ、振り回される。アレックスは足が悪いはずなのになぜ普通に歩ける?そこには哀しい理由が…善治はアレックスと一緒に他の飼い主に出逢い、犬への理解を深めてゆく。離れ離れになったフレンチブルドッグと少年の絆、障害物競技に挑むチワワと少女の苦闘。やがて善治はアレックスのおかげで、自身が抱え込んだ過去を乗り越える。
ここ数年で死後結婚のイメージは大きく変わった。KonKonというマッチングアプリが社会に広まり、若者たちの間で登録者が激増したのだ。そして、私の推しである神宮寺浅葱がKonKonのリア垢を持っていることを、私だけが知ってしまった。このままでは私は、死ねば推しとマッチングして結婚できてしまうかもしれないー。表題作のほか、未来のゲームRTA大会を描く「ゲーマーのGlitch」、地獄行き回避を専門とする企業小説「閻魔帳SEO」など、異常すぎる状況に情緒を狂わされる極上のミステリ人間模様、全6篇!
メルボルンで働く記者のキーは、弟の不審な死を知らされ、久しぶりに帰省する。5歳下の弟デニーは、ベトナム系の一家のなかでも、オーストラリアに適応した優等生だった。そんな弟が殺された。レストランの店内で何者かに殴られて。警察の説明にキーは愕然とする。その日、現場にはデニーの同級生も教師もいたのに、目撃証言がひとつもないというのだ。必死に事件を調べるキーだったが、知るほどに弟の姿は揺らいでいく。デニーは変わってしまったのか?そもそも自分が弟を何も見ていなかったのか?やがてキーは、置き去りにしてきた過去に向き合うー。オーストラリアの移民社会の歪みに切り込む文芸ミステリ作品。ロサンゼルス・タイムズ文学賞ミステリ/スリラー部門最終候補。
言葉がどこへ旅をするかは誰にもわからない。アパルトヘイト以前・以後ー社会変革の渦中で激動する「奇跡の国」南アフリカ。プレトリアで農場を営む白人のスワート一家とその黒人メイドとの間に交わされた土地をめぐる約束が、30年以上にわたり一家の運命を翻弄する。圧倒的になめらかな神の視点で描かれる、アフリカ文学の最先端にして英国最高峰ブッカー賞受賞作。