2024年6月27日発売
ー出逢って八年。付き合って六年。同棲を始めて二年。もう僕らのあいだに、新鮮な出来事はほとんど残されていない。いつものスペインバルで年上の彼女にプロポーズした青年・雨宮守。長年連れ添った妻に離婚したいと告げられた中年・土方剛。世代も価値観も正反対だったふたりの人生は、社内のある疑惑をきっかけに、変化し始める。夫婦であること、家族であること、働くこと、生活すること、傷つけること、生きること。過去からも未来からも逃れることのできない世の中で、それでも光を求めて彷徨う者たちの物語。
必死で泳いでいると、束の間日常生活の悩みを忘れることができる。そのために、ほとんど依存といってよいほどに公営プールに通い詰める人々がいる。ある日、プールの底に原因不明のひびが入ったことから、スイマーたちは戸惑い、しだいにその生活と精神に不調があらわれはじめる。そのうちのひとり、力強く泳いでいたアリスの認知症は自分の名前を思い出せないほどに進行する…。ひとりの人間の過ごした時間の断片を、現代を生きる我々の喜びと苦しみに共鳴させる傑作中篇小説。カーネギー賞受賞作。
台北からリスボンへ。ファドの調べが繋ぐ追憶の旅路ー。ヨーロッパの果て、場末の酒場で出会った歌い手。凛として舞台に立つ孤高の姿には、つねに死の予感が漂っていた。アマリア・ロドリゲスの名曲に触発され、紡がれた追憶と喪失の物語。「Sを捨てた女」併録。
ガラクシアース伯爵家は長い歴史を持つが貧乏貴族。その伯爵令嬢であるフェリシアは、赤竜騎士団に所属している婚約者に秘密でお金を稼いでいる。身分と顔を隠し、冒険者の「黒衣のアリシア」として…。ある日、いつも通りお金を稼ごうとウキウキ気分で冒険者ギルドに行くと、大口指名依頼が入ってきた。依頼者に会うべくその場に赴くと、なんとそこには婚約者のアルフレッドが!婚約者の伯爵令嬢が好きすぎる騎士と斜め上に構えてしまう令嬢の恋愛アクションファンタジー!「小説家になろう」発第11回ネット小説大賞金賞受賞作。