著者 : いちかわはる
「君、私の婿になる気はないか?」国や領地をも家と見なし管理・経営する『家政学』専攻の学生ウィルは、略奪・戦争国家と批判していた隣国オノグルの女王イロナから初対面にもかかわらず突然、求婚される。「この国を、戦争以外の方法で飢餓から救いたいのだ」イロナの真意を知り、ウィルはオノグルで半年間過ごすことになるのだが、王宮の使用人たちにすら敵国の人間として扱われ味方は一人もいない状況で…。家族を殺し、殺され、他国を憎み、憎まれる負の連鎖を断ち切ることはできるのか。婚約式から靴や貨幣作りまで、剣を持たない少年の戦争回避術!第36回ファンタジア大賞銀賞。
愛情のない夫と離縁した子爵令嬢・セレスティーヌは、リディー王国で公爵家の若き当主エヴァルドと出会う。前の夫とは違い、エヴァルドは紳士的かつ真摯にセレスティーヌと向き合い、ときに守り、ときに慕ってくれる。お互い贈り物をしたり一緒に食事に行ったりする中で、互いの心は惹かれ合ってゆくがー。セレスティーヌは自身の年齢や立場を考え、初めて感じた恋心を封印しようとする。そんな彼女の気持ちとは裏腹に、エヴァルドは自身の想いを告げる決心をするのだった!セレスティーナとエヴァルド、すれ違う二人の初恋は果たして実るのか…!?
わたし山田良菜は、超人気声優・香家佐紫苑の「替え玉」として活動中。オーディションで主演を勝ち取ったアニメ映画の制作が動き出した。しかし替え玉を知った監督の提案は、「別の役者として、生きるべきではないですか?」-二人の入れ替わりを、やめること。わたしたちの秘密を公表したら、大騒ぎになるんじゃ…!?そんな困惑を抱えつつ、わたしは新進気鋭のアイドル声優とラジオで共演。紫苑も大作ゲームの収録で、舞台たたき上げの芝居と対峙することに。それぞれの生き様を貫く声優たちとの出会いは、「わたしと紫苑」がどう在りたいのかを問いかける。わたしたちの決断は、そしてその先で待つ未来はー!?
わたし、山田良菜は『無色透明』で地味な女子高生。何に挑んでも全く目立たず、自分は脇役だなんて諦めにも慣れてしまった。そんな高3の春、ひょんなことから出会ったのは、わたしと同じ声の超人気声優・香家佐紫苑!彼女が言った“世界中で良菜にしか頼めないこと”は…。「わたしとー入れ替わってくれない?」素人のわたしが、紫苑の替え玉として声優に!?絶対に無茶…!でも、やってみたいと思ってしまった。私の声が求められて、胸が高鳴った。紫苑に変装して飛び込んだ、痺れるようなアニメ作りの世界。意外にもそこには、透明なわたしにしかできない芝居があってー!
夏休み前日の放課後。響汰は、進路について雉村先生に呼び出されていた。今まで想夜歌のことを第一に考えていたからか、いざ自分の将来となると何も思いつかない。そして、澄との今後について。彼女に対して、ママ友とは違う特別な感情を抱いていることを自覚しているものの、その心の形に「恋」なんて安直な名前はつけられない。自分は彼女とどうなりたいのか。澄は、自分のことをどう思っているのか。悩み、迷い、そして決意を固める。来る二人きりの、夏祭りデートへ向けてー。子育てラブコメ最終巻。
幼稚園では、保護者参加型の行事が定期的に行われる。親子遠足もその一つだ。両親の代わりにそれぞれ参加した響汰、澄は、子供たちとともに楽しいひとときを過ごす。一見喜んでいるように見える想夜歌だが、響汰は知っていた。大好きな母親と一緒に参加出来ず、とても寂しがっていることを。そんななか、間近に迫った想夜歌のお誕生日会。響汰は母親に参加するよう声を掛けるも、「仕事があるから」と一蹴されてしまう。想夜歌のために、何か出来ないかと悩む響汰。澄にも背中を押され、ある一手を打つ。
昏本響汰は、3歳の妹が大好きなシスコン高校生。両親が共働きで家事育児もこなす。暁山澄は容姿端麗、頭脳明晰な孤高の少女。その存在感で何人たりとも寄せ付けない。ある日妹の入園式に参列した響汰は、頬を紅潮させ、カメラマンばりにシャッターを切る澄の姿を発見する。「郁、なんて愛らしいの…」彼女も、超ブラコンなお姉ちゃんだったのだ!お互い妹・弟の世話をしていることを知り、徐々に仲が深まっていく。料理、幼稚園の送り迎え、休日デート。そう、まさに二人の関係は“ママ友”だったー。子育てラブコメ堂々開幕!
「私、イッチを取られたくない」和奏の告白により、一悟とルナを取り巻く世界は大きく変化した。ルナ、和奏…二人との間に生まれた三角関係の狭間で、一悟の心も大きく揺れ動いてしまう。一方、ルナもまた、自身が一悟の傍にいてもいいのか、和奏こそが本当に一悟に相応しい女性なのではないかと懊悩を抱くようになる。常識、倫理、弊害、現実…向き合うべき問題に追い詰められた時、ルナと一悟が出した結論はー。「私を、恋人にしてくれますか?」すべてはその言葉から始まった。そして、二人は遂に未来を選び取る。社会人×初恋の人の娘による、許されない純愛物語ー決着の最終巻。
忙しない日常から逃れて旅がしたい!そんな望みを、学年一の美少女と叶えられたら?東京に住む高校生、高橋翔は窮屈な日常に嫌気がさして旅に出ることを決意。駅のホームに着くと同級生、七瀬涼帆の姿が。思い詰めた様子の彼女を見て、翔は「俺と一緒に旅に出よう!」と誘ってー。最初は不信感たっぷりだった七瀬も、いつもの鉄仮面を脱いで足湯にほっこりしたり、ご当地グルメに舌鼓を打ったりと満喫し始める。「べ、べつに楽しんでなんかないんだから!」「私、夕陽が好きだったみたい」「ありがとう、私を旅に連れ出してくれて」ワケありクーデレ美少女と紡ぐ、解放感120%の旅ラブコメ!
「今日、お仕事が終わったら…私の家に、来てくれませんか?」初恋の人、朔良の娘ールナと出会ったことにより、一悟の忙しくも穏やかな生活は大きく変貌していた。季節は夏。一悟の店でバイトとして働くルナと工作教室を開催したり、職場の仲間と夏祭りに行ったり。ルナが一悟に寄せる好意は一層強くなっていき、そして一悟も一度は拒絶した彼女に再び心惹かれていく。そして夏休み、一悟はルナに誘われて朔良の墓参りに訪れる。そこで一悟の押し殺していた記憶が甦る。「お母さん、初恋の人がイッチで幸せだったと思う。そして私もー」社会人×初恋相手と瓜二つの少女が紡ぐ、二度目の初恋は終わらない。
クラスの(元)問題児・江南梨沙に説教してから何故か彼女に懐かれた大楠直哉。彼は自分のペースを乱されつつも居心地の良さを感じていた。しかし、2学期も終わりに差し掛かった頃、江南について担任教師から再度相談を持ちかけられる。冬休みに入っても同じ予備校の冬期講習を一緒に受けることになり、2人の不思議な関係は変わらず続いていた。やがて、一緒に過ごしているうちに、大楠は彼女に対してある違和感を抱えることとなる。そして、彼女が抱えてきたものの正体を知った大楠は彼女とどのように接するべきか思い悩む。その末に彼が彼女のために出した結論とはー不器用な2人が紡ぐ青春ラブコメディ第二弾!
「…よければ、お礼がしたいです」社会人として充実した日々を送る釘山一悟は、酔っ払いから女子高生ルナを助ける。彼女は生き別れた初恋相手の朔良とそっくりな姿だった。「お母さんを知ってるんですか?」ルナは朔良の娘であり、朔良は死去した事を知らされる。そしてー「釘山さんは、心の中で慕い続けてきた、-理想の人だったんです」ルナが朔良から聞かされていた思い出話の中の一悟に、ずっと淡い憧れを抱いていたと告白される。「私を恋人にしてくれませんか?」『イッチの話はいつも面白いね』一悟はルナに在りし日の朔良の思い出を重ねる、許されない。止められない。二度目の初恋に落ちてゆく。
教師からの信頼厚いクラス委員・大楠直哉は、同級生と交流しない問題児・江南梨沙を進路面談に出席させること、という難題を押しつけられる。義務感から声をかけるものの、江南の頑なな態度に大楠はかつての自分を重ねてしまい、つい強い言葉で説教してしまう。だが、なぜかそれ以降、江南は大楠を待ち伏せて一緒に帰ろうと付きまとってくるように。「興味があるから、かな。あんたのことが知りたい」とんでもなく人嫌いで美少女は江南が心を開いたと驚く周囲をよそに、大楠と江南のぎこちない交流が始まるー。問題児と優等生、正反対なふたりの素直になれない恋物語。第5回カクヨムWeb小説コンテスト特別賞(ラブコメ部門)受賞。