著者 : ゆきさめ
力の暴走を抑えるため自らを掛軸の中に封じた銀市が、珠の尽力によって帰って来たのが去年の暮れのこと。 激動の年が明け、銀古も日常を取り戻した頃、珠は銀市から「故郷を探し、父に会おうと思う」と打ち明けられる。自らの過去と向き合おうとする銀市の覚悟を受け止めた珠は、ともに彼の故郷を探すため、雪深い信州へ足を運ぶことに。 初めての蒸気機関車、初めての旅館。慣れないもてなしに戸惑ったりしながらも、銀市との遠出に心躍らせる珠。 そんな中、一連の騒動の原因であるアダムが、突如二人の前に姿を現す。 掛軸の中の世界で、二人の決別の原因となった大火事件の真相を知った珠は、銀市とアダムの間の誤解を解くためにある提案を持ち出してーー? 人と妖がともに生きる未来のためにーー 波乱の「半妖編」、ついに完結! 序章 旅立ち乙女と雪景色 第一章 徒然乙女と運命のいたずら 第二章 氷走乙女と名残雪 第三章 遊山乙女とつかの間の夢 第四章 初祝乙女と星月夜 第五章 乙女と悪魔と因果の末 終章 龍は乙女に希う
珠を守るため自らを封じた銀市。彼を救うべく、珠は命を賭けて封印に入り込む。刻限は彼女を守る“髪飾り”の牡丹が散りきるまでー。しかし、封印の中で再会した銀市は記憶を失い、珠を「知らない」と言い放つ。珠はそこで、人を拒絶していた遠い過去の銀市を知ることに。それでも一心に彼のことを想い…。一方の銀市も、見知らぬはずの少女・珠に記憶を揺さぶられ、どうしようもなく彼女に心寄せてしまう己に戸惑っていた。刻々と時が迫るなか、封印の内側では、銀市の岐路となった江戸の大火事件が再現され…?
御堂からの依頼で、特異事案対策部隊の駐屯所に住み込みで派遣された珠。口入れ屋・銀古での経験を生かし、妖怪とも協力して部隊を支える。銀市と離れて暮らすことに寂しさを感じつつも、手紙を通して素直な気持ちを伝え合った珠は、彼の過去を垣間見る。一方の銀市は意図せず増大する自らの力と静かに戦っていた。久しぶりに会った銀市の様子を不安に思う珠。部隊の協力者・アダムからは、「妖怪も人も信じすぎてはいけない」と忠告される。そんな折、連続不審火の重要参考人として銀市が拘束されてしまいー。
勤め先の先輩である瑠璃子が出奔してしまったー。折しも、口入れ屋・銀古の繁忙期。珠は瑠璃子の代わりに、秋桜の咲き乱れる洋館での勤めを任される。珠なりに洋館の“人ならざる者”に真贄に向き合い、縁を結んだことで洋裁を習うことに。銀市のシャツを仕立てながら彼を想い、しだいに乙女らしい感情も育んでいく。銀市も彼女の花開く姿を慈しむ一方、珠がいずれ自分の手を離れる予感と、只人として生きるには強すぎる彼女の贄の力を憂いていた。さらに、瑠璃子失踪の原因となった存在も珠にそそられ…?
七夕の頃。銀市と旧知の神使・灯佳を助けた珠は、礼としてなぜか五歳の姿にされてしまう。望んでいない“礼”に困惑するが…?時をあわせたように、神隠しの噂が店に持ち込まれる。珠は子ども姿でも役に立ちたいと努め、解決の糸口を見出す。しかし同時に、幼い体に引きずられ、独りではままならぬ感情と経験を噛みしめる。人に上手く頼れぬ彼女に、銀市たちの慈しみが注がれー自覚したのは、温かな気持ち。一方その背後では、隠し神の噂を皮切りに、銀市や珠を巻き込む哀しい昔物語が蘇りつつあった。
珠は窮地を救ってくれた男・銀市の店で健気に勤めている。ある偶然から、珠は以前の勤め先の華族令嬢と再会。友人と呼べる初めての関係に戸惑いながらも、珠は令嬢を通じて少女の“普通の幸せ”を知っていく。銀市はそんな少女を優しく見守り、ときに助言し、彼女の成長に寄り添っていた。しかし朗らかに見えた令嬢も、華族の娘ならではの哀しさと決意を抱えていた。友人として彼女を助けたいと願う珠に、銀市はー。同時に、華族子弟にまつわる“人ならざる者”の事件の裏で、銀市の過去に関わる闇がうごめき…。
寒空の帝都に放り出された珠。彼女の窮地を救ったのは、不思議な髪色をした男・銀市だった。口入れ屋の旦那である銀市の厚意で、珠は住み込みで働くことに。感謝する珠だが“人ならざる者”が見えて贄とされた過去により、上手く感情を表せない。一方の銀市も複雑な境遇のようで…だからこそ珠を思いやってくれる。恩に報いるため健気に勤める珠は、店でも信頼を得て平穏を知る。しかし、帝都で続く少女の失踪事件に否応なく巻き込まれー。秘密を抱える珠と銀市が、お互いの居場所を見つけるまでの浪漫綺譚。
「おまえはなにもしてないだろ?」「ううん。“私たち”がしたんだよ」御剣の問いに、その少女・スクランブルは感情豊かに応える。少女の姿に展開するBOXへ代償を捧げ、1分間の願いを叶える人身御供。御剣、氷室に続く3人目は、その能力を使わない高校生の美術部員・鶴見凛。世間から評価されない彼女の絵から、欠落したはずの『好き』という感情を想起し、御剣は戸惑うがー。業界騒然、超撃の零真似ワールド、第2巻。
第21回スニーカー大賞“優秀賞”受賞作!「代償は、悲しみだけど?」「ああ。そいつは僕にいらないものだ」「そっか!」景色をその身に纏った少女・スクランブルはうれしそうに笑うと、小さく握りしめた拳で御剣乃音の腹を抉るー。人身御供となった御剣の願いを叶える神代タイム1分間の代償は“打算”“キスのうまさ”“愛情”etc.人の感情を贄にして、エキセントリックボックスはヒトに近づく…。最終選考会騒然の異色作!