著者 : ゲソきんぐ
王都から逃げ出した《アンロウ》を捕えるべく歓楽街にある会員制カジノへ潜入することとなった探偵事務所『エレメンタリー』。 簡単な任務のはずだったが、待ち受けていたのは薬物で強化された《アンロウ》、それはかつての仇敵・ジムの関与を匂わせるもので……。 そんななか、かつて『カルテシウス』でエージェントをしていたと名乗る初老の男・ダミアンが現れる。“前任者”の存在、そしてその末路を知ったノーマンは、己の歪んだ正義の果てに待つ未来になにを思うのかーー。
バルディウムに現れた連続殺人鬼・ウィスパー。ロンズデーが過去に逮捕したはずの男。復讐に来たというそれは『宝石』と『魔犬』、2人が《アンロウ》となった事件と向き合うときを意味していた。 同じ頃、見た者は心神喪失となる怪異・泣き女の噂。クラレスが連れ込んできたとある女生徒が口にしたのは、かつてシズクが自殺に追い込んでしまったたった一人の親友の名でーー。 人間らしさと一緒に捨てたはずの過去が、重く交錯し潰し合う。いまだに忘れられない自らに嫌悪しながら、愚者たちはその心ーー《アンロウ》を燃やし続ける。
城壁都市バルディウム、ここはどこかの薄暗い部屋。 少年・ノーマンは拘束されていた。 どうやら俺はこれから尋問されるらしい。 語るのは、感情を力に換える異能者《アンロウ》について。 そして、『涙花』『魔犬』『宝石』『妖精』。名を冠した4人の美しき少女とバケモノに立ち向かった想い出。 「とっとと倒して、ノーマン君。帰ってイチャイチャしましょう」 「……いや、君にも頑張ってほしいんだけど?」 全くやる気のない最強で最凶な彼女たちの欲望を満たし、街で起こる怪事件を秘密裏に処理すること。 これこそが俺の真なる使命ーーーーのはずだった。 だが、いまや俺はバルディウムを混乱に陥れた大罪人。 魔法も、奇跡も、幻想も。この街では許されないようだ。 でも、希望はある。どうしてかって? --この〈告白〉を聞けばわかるさ。 第30回電撃小説大賞最終選考会に波紋を呼んだ、異色の伝奇×追想録。 ラスト、世界の均衡を揺るがす少年の或る〈告白〉とはーー。