著者 : 佐々木禎子
苑国へ五名の妃嬪が嫁がれる日、對国の末姫・夏雲<シャーイン>の姿もあった。 輿入れでは民衆から花が手向けられるはずが、勇ましい夏雲には野草が似合うと、三叶草が投げられた。美麗で冷酷に見えるが故に「悪女だから」と噂もされた。 けれど本当は可愛いもの好きで、特技は刺繍。衣装はもちろん平たい胸を補強する肉饅頭もお手製だ。 服を脱がなければ大丈夫……と夏雲は堂々と振舞うが、かえって注目を浴び、皇帝・佩芳<ベイファン>から寵愛を受けることになってしまいーー!? 困難にも縫い針一本で挑む。大胆乙女の後宮恋愛ファンタジー! なりゆき悪女伝 ・・・005
「どうしたもんかなぁ」新米占い師・月麗は困っていた。占いが権力者の逆鱗に触れて強制連行。生贄にされるはずが、人違いで神様の妃になるはめに陥ったのだ。 早速皇帝・洪封から命じられ、恋愛運を占ってみるが、結果は「妻に見えず」。偽妃だから当然だ。 それに生贄だとバレたら、月麗は喰われてしまうーー。 怯える姿を尻目に、皇帝は月麗を喰べるつもりもなく、たっぷり溺愛しようと後宮専属の占筮者へと任命した。 だけれど後宮は一癖も二癖もある妃達ばかり。慌てる月麗の前に、モフモフの黒猫が現れて……? 序 「境帝を占い高官に昇る」 第一占 虎の尻尾に気をつけて 第二占 幸せも苦労も噛みしめて 第三占 狐の尻尾は水に濡れ 第四占 問うていいのは一度だけ 第五占 帝位を踏んで、やましくなければ 結 「境帝の心は路行く人も知る所なり」
宮廷を騒がせた帝の子懐妊の真相は、千古の計らいで歴史の陰に伏せられ、月薙国は新たな年を迎えた。貴族ではなく、民のための国へ。帝と千古の手によって政治は変わりつつあり、目下、海賊との戦いに向けての準備中。それを手伝う謎多き男、秋光の正体に、千古の心は揺れていた。帝はそんな千古の心を認め、待つ。秋光もまた、自身の千古への想いを行動に移す。やがて海賊討伐の船上で、三人は各々が行く道を定める時を迎えるのだったー。時代は動く。後に歴史に記される、雷帝と妖后の物語の巻の末。
鬼が大臣へと収まり、落ち着きを取り戻した宮廷。また珍しく登花殿を訪れた暁下大臣からは「子はまだか」とくどくど諭され、千古は辟易していた。挙句に靫負尉の娘を侍女として迎えるという。千古が駄目なら帝の子を成せる健康な女を、という意味なのは、もはや千古も溜息しか出ない。その折、千古はある者の異変に気付く。まるで子を宿したような立ち振る舞いなのだ。果たしてそれは帝の子か、それともー。意図せず心を惹き寄せる帝や秋光を前に、恋に政治にと翻弄される千古。最高潮間近の第七巻!
信濃の鬼退治も終えた秋の始め。帝からの寵愛を肌で感じながらも、後宮の将来を案じていた千古。ある時清涼殿の庭に落雷がおきる。後宮が「祟りだ」と騒然となる中で、暁上姫・明子が病床に伏せたと聞きつけた千古は、想念に扮装し宣耀殿を訪れた。病を見守る想念の眼差しから、遂に正体に気付いてしまった明子。かえって正后への憬れを抱くが、彼女にも鬼の手が迫っていた。一方で「祟り」を収めるため妖后を演じる千古の目の前へ、ある男が姿を現す。彼の唇から漏れたその名はー!?
鬼の奇襲から千古を庇い、世を去った兵衛・秋長。彼が居なくなった後宮に、密やかに一人の姫が輿入れをした。その名は紅葉姫。山で拾われた鬼娘だと噂の姫は、荒ぶる美しさを持ち、顔立ちはあの人物にとても良く似ていた。鬼姫の輿入れから少し過ぎた夏の日。秋長を失い悲嘆に暮れ心を閉ざした千古は、思い掛けず帝から祭りに誘われ、洛外へ出向くことになった。そこで二人は信濃で流行りの、鬼の子を身籠もる“水鬼の祟り”の話を耳にするがー!?薬師を目指す、大人気平安ファンタジー第五弾!
成子の誘拐事件も無事解決し平穏を取り戻した宮廷。だが千古を悩ますことが二つあった。一つは暁上姫・明子が千古の真似事を始めたこと。少しの細工で千古を傲慢に見せ、おかげで陰口さえ噂された。そしてもう一つは帝の噂。新たな后候補を、しかも「鬼女の都」から呼び寄せるという。千古は帝や秋長らとともに偵察へ出向くが、旅路で思いがけず、帝と二人きりで一夜を過ごすことになる。満ち足りた時を過ごした千古を、この先最悪の悲劇が待ち受けているとも知らずー。薬師を目指す平安ファンタジー第四弾!書き下ろし。
私ったら、 凶悪コワモテと儚げイケメン、 二人の龍神様にはさまれて、たいへん! …なようなそうでないような!! * * * * 札幌の私立高校に通う宍戸琴音は、ある日学校の帰りに怪しいタクシーで「とこよ」のボロい温泉宿につれていかれる。そこには優しく儚げな龍神ハクと、強面で高圧的な龍神クズがいた。病弱な親友ハクの嫁になって助けるように、とクズに命じられた琴音は、とりあえず宿の仕事を手伝うことに。ところがこの二人、仲が良すぎて、琴音はすっかり壁の花…? イレギュラー契約結婚ストーリー! 装画・スオウ
成子掌侍と帝が陰で逢瀬を重ねていると知り、一人拗ねていた暁下姫・千古は、都鼠による火災の噂を聞きつける。坊主に変装し調査へ乗り出す千古だが、その頃自身に入れ替わった成子には鼠の陰が忍び寄っていたーー。
離縁を目指していたはずなのに正后になっていた暁下姫。鄙の地で鬼が跋扈し、村が忽然と消えたという報告を耳にする。本当に村は消えたのか、村人はどこにいるのか、そしてこれは誰の思惑か。帝と暁下姫が鬼を討つ!
下級貴族の生まれながら、人数合わせで急遽入内することになった暁下姫(きょうかひめ)。大貴族出身の后候補が揃う宮廷で、若き帝を巡る女たちの争いに巻き込まれるのだが……。 女性だてらに薬師を目指していた暁下姫は『ゴールは帝と円満離縁』とばかりに、香(こう)や召し物に医薬の知識をフル活用した工夫を施し、あの手この手で帝を遠ざける。しかし、そのことが宮廷を巻き込む大貴族の権力争いにまで発展しーー? 降りかかる火の粉は医薬で振りで払う! 薬師(くすし)を志す姫君の、“皇后を目指さない”平安宮廷ファンタジー開宴!
札幌市中央区の中堅私立星海高校に入学した達樹は、とある理由から、人とのコミュニケーションが苦手だが、人なつこいクラスメイト、ヒナと友達になる。ある日の帰り道、自分をつきとばしていった見覚えのある人物を追いかけていくと、隠れ家のようなスープカレー屋にたどり着いた。その店で出された“特別なひと皿”を食べた達樹には、小さな異変が起こり…。少し不思議で元気が出る、美味しいハートフルストーリー!
戦時中ラジオで暗躍した女性「東京ローズ」。元GHQ職員から探偵・榎木津に依頼された東京ローズ捜しはやがてバラバラ殺人と交錯。手がかりは声。人の記憶を視る榎木津の目が届かない薔薇の潜みに存するのは誰か?
中学生の音斗は、親戚である三人の吸血鬼たちと暮らしている。血の代わりに牛乳を飲んで生きている彼らは、札幌の商店街で、小さなパフェバーを営業中。クリスマスが近づいたある日、店に、音斗の中学の吹奏楽部の女子たちから、先生に捨てられてしまったコントラバスケースを捜してほしいと相談が。最近姿を見せない旧型吸血鬼の伯爵のことも気がかりな音斗は、将来や恋のことなどさまざまな悩みを抱えながらも動きだす。人気シリーズ第5弾!いよいよ最終巻!
天界・死神養成高等学校死神科。ここは、エリート(変人も多い)死神となるため、瞳が赤く変化した魂たちが学ぶ場所。そんな死神候補として入学した八坂は、腐れ縁ストーカーの波坂、イタイ発言と優秀さが紙一重の池上(仮)、天然な留学生・ファニエル、癒し系ふとっちょ・春日と、個性的な面々と共に生徒会に選ばれてしまい…!?特別講師には黒波や神楽木が、さらには地上の神様憑きたちも大集合!?大人気胸キュン4コマ漫画の笑撃スピンオフ!
小説家・関口巽にできた“弟子”天城から映画館に繁栄をもたらす妖怪桟敷わらしの噂を聞いた探偵・榎木津礼二郎。その天城を新たな下僕に加え、妖怪探しに乗り出した。8人のきょうだいに8つの映画館を遺し、急逝した天城の父。遺産の映画館に乗り込んだ榎木津が視たものは、天城の美しい妹の死体だった。幼き遺産相続人の殺人と桟敷わらし誕生秘話を探る榎木津の推理が冴え渡る。次々と童を生み出す女は鬼か、神か。「拝み屋の出る幕はないよ。憑き物はいないんだから」京極堂はどう幕を引く?
死神養成学校に通うも、やることが全てうまくいかないココロ。一人前の死神になるために必要なペア組みもできず、ついには落ちこぼれを集めた特別補習組に降格してしまう!そこにいたのはー悪戯好きのカイリにクールなヨル、毒舌なアメとガラの悪いシュン、そしてやる気のない教師ナミで!?しかも、そんな問題児だらけの彼らとお泊り(!)研修をすることになり!?彼らと過ごすドキドキの日々の中、ココロは無事パートナーを見つけられるのか…?
中学生の音斗少年は、親戚である三人の吸血鬼たちと暮らしている。血を吸わず、牛乳を飲んで生きている彼らは、札幌の商店街で、小さなパフェバーを営業中。さて、最近店に通うようになった音斗の祖母は、音斗に、ある本を見つけられたら、音斗がここで生活することを許すと言う。一生懸命探す音斗だが…。一方、フユのパフェ屋探しも進展。そこにはどうやら、フユたちの秘密が隠されているようで…。人気のユニーク・ハートフルストーリー、第四弾!
仕事をしないことに定評のあるホラー作家・宇佐見右京は怯えていた。相手は忍び寄る悪霊…ではなく、担当編集の青鬼修輔。「原稿さえ書けるならあなたに手足なんていらないんですよ」「や〜め〜て〜!」と、青鬼が相変わらず全く原稿の進まない右京を罵倒しつつ頭を抱えていた、その頃。右京の先輩作家・楢崎が不可思議な遺体として発見され、さらに右京と交流のあるホラー作家・立野が爆破事件に巻き込まれてしまう。やがて事件の陰は、右京自身にも少しずつ近づいていて…!?