著者 : 葉月文
もしもあと1日だけ、時間をもらえたらーー もしも、この世界からいなくなる前に1日だけ猶予をもらえるとしたら、あなたは何をしますか? 『死者と再会させてくれるという美少女がいる』 余命が尽き、どころかマイナスとなってしまったあなたの前へ、そんな噂と共に現れたのは、アイと名乗る天使の少女。 彼女の役目は、肉体を失った魂の最期の願いを叶えることらしい。 そのために、アイは憎まれ口を忘れないひねくれものの相棒・悪魔のディアと一緒に、人の世界に降りてくる。 「--ねえ、あなたの未練はなんですか?」 ひどく美しい姿をした天使は、ひとりぼっちになった魂へ問いかけていく。 その優しい声は、死んでも諦めきれなかったたった一つの想いをそれぞれの胸に浮かび上がらせていって。 いつか交わした約束を守ること。好きなあの子を笑顔にすること。愛する人にありがとうとごめんなさいを伝えること。ずっとしてみたかったデートをすること。大切な人の晴れの日を祝うこと。 「どうか、あなたが大好きな人に笑顔で『さよなら』って言えますように」 これはあなたの最期のために心を尽くす、優しくてちょっぴり泣き虫な天使との出会いと別れの物語。
とある病により、身体の成長が止まったまま眠り続けることになった高校生・東雲結弦。七年経ってようやく目を覚ました彼が直面したのは、自身を置いて成長した周囲の姿だった。両片思いだった幼馴染・天河千惺は七歳年上の教師へ。子供だと思っていた妹分・天河希空は同い年のクラスメイトに。七年という長い時間は結弦と千惺を遠く隔て、叶わぬ初恋を胸に抱き二人を見ていることしかできなかった希空にチャンスを与え…。「わたしは兄さんのことが世界で一番好きです」美しく成長した希空の告白をきっかけに、止まっていた三人の関係が形を変えて再び動き出す。
命の寿命を色で感じ取ってしまう女子高生の藤木六華はある夜、春風歩と名乗る青年と出会う。夜の散歩が趣味だという彼は誰もが持つはずの命の色を持たず、そんな歩の不思議な雰囲気に六華は興味を持ち惹かれていく。だがある日、町で見かけた彼はいつもと様子が違った。六華のことを覚えておらず、青色の命を纏い自分を“翔”だと告げー。やがて明らかになる、歩の切なく残酷な秘密。それを知ったうえで、二人は限りある時間で奇跡のような恋をする。
出版社が主催する夏のイベントの準備に奔走する双夜。その会場で”君と”シリーズのヒロイン・日向葵のコスプレを茉莉にお願いできないかという話が持ち上がりー!?
茉莉の“おてつだい”の甲斐もあり、念願の“はじめて”を卒業できたホヅミ。喜びに浸るのも束の間、直接会って伝えたいことがある、と担当編集の双夜から呼び出しがかかる。逆らうこともできず渋々茉莉と訪れた編集部で彼を待っていたのは、思いがけない言葉で…!?「おめでとうございます。“放課後、制服姿の君と。”コミカライズ決定です!!」重版に続きとんとん拍子に話が決まったホヅミは、浮かれつつ誕生日や七夕を茉莉と過ごしていた。全てが順調に進んでいるかに思えた裏で、新たな波乱の幕が開けようとしていることも知らずー。拗らせ作家×世話焼きJKの青春リライトラブコメ、シリーズ第2弾!
デビューからはや六年。未だに重版未経験の売れない作家、ホヅミこと空束朔はスランプに陥っていた。渾身の原稿は全ボツになり、売れ線のラブコメを書いてみないかと担当編集に勧められる始末。そんな悩めるホヅミの前に、ある日、白花茉莉と名乗る謎の女子高生が現れる。彼女の協力のもと、夢のミリオン作家を目指しホヅミは再び執筆に励むが…!?「ホ、ホヅミ先生!これは本当に執筆に必要なことなんでしょうか!?」コスプレさせたり、デートしたり、買い物をしたり。積み重ねていく何気ない日々が、二人の距離を近づけていくー。拗らせ作家×世話焼きJKの甘々癒やし系ラブコメ、堂々開幕!
長かった一学期も無事に終わり、夏休みを迎えた叶羽たち。一つ、二つと白紙だった予定が埋まっていく中、ある夜、叶羽は、後輩の高峰瑠璃と出会う。幼い頃に別れた父親と再会する為、家出を決意した瑠璃に叶羽も一緒についていくことにするが、訪れた遊園地で彼女の姿が幼くなってしまいー!?「あなたはだあれ?」“本当の父親”に会いたいと願う瑠璃と、父親との確執を未だ抱え続けている叶羽。長い長い旅路の果てに二人が辿り着いた答えとはー。一年に一度、願いが叶う町を舞台に繰り広げられる彼と“彼女たち”の甘酸っぱい青春ストーリー、シリーズ第3弾!
かつて、あたしにはたった一人だけ友達がいた。過去形なのは、彼女が一つの約束を残し、あたしを置いて遠いところへいってしまったから。でも、ううん。だからこそ、あたしはその約束を果たさなくちゃいけないんだ。そんな願いを叶えてもらうために神様から与えられた試練の中で、風祭叶羽、宮野碧や高峰瑠璃、そして写真部の皆と過ごす内に、あたしは自分が本当に求めていた願いに気付くことになる。-なのに、ああ、どうして。“絶望”って思ってもみないタイミングでやってくるのだろう。これは、友達すらうまく作れない不器用なあたしが、“黄金色の景色”に辿りつくために一歩を踏み出す物語。
世界中でこの宿星市にだけ咲いている奇跡の花“ミラクーティア”には、一年に一度、対価を支払えば白い神様が願いを叶えてくれるという言い伝えがある。だけど、あの日、神様がわたしに課したのは、対価ではなく一つの試練だった。ねえ、叶羽くん。君は知らないでしょう。試練によって灰色に染まったこの世界で、君の声が、君と見ていた世界が、わたしの“ヒカリ”だったなんて。君は、少し意地悪な後輩で。口が悪くて、お姉さん子で。それから、わたしの涙を拭ってくれた、たった一人の男の子。いつか、わたしは君の前で綺麗に笑えるのかな。笑い、たいな。これは、紡いだ願いが奇跡によって彩られる、わたしたちのとても大切な物語。
大学生活も終わりの足音が近づいてきた春の日に、僕は見知らぬ少年に声をかけた。その横顔はやけに真剣で、切実で、かつての自分に重なった気がした。こんな風に新たな出会いを紡ぎ、僕は明日を歩いていく。いつか失った“願い”を手に、幸のように笑う“誰か”のもとへ。再び辿りつくことを祈りながら。電撃文庫MAGAZINEに掲載され、好評を博した短編3本に加え、書き下ろし中編『Contact.214+1 僕たちの辿りついた場所』を収録した待望の続刊が登場!
「ねえ、由くん。わたしはあなたがー」初めて聞いたその声に足を止める。学校からの帰り道。中学のグラウンドや、駅前の本屋。それから白い猫が眠る空き地の中で、なぜだか僕のことを知っている不思議な少女・椎名由希は、いつもそんな風に声をかけてきた。笑って、泣いて、怒って、手を繋いで。僕たちは何度も、消えていく思い出を、どこにも存在しない約束を重ねていく。だから、僕は何も知らなかったんだ。由希が浮かべた笑顔の価値も、零した涙の意味も。たくさんの「初めまして」に込められた、たった一つの想いすら。これは残酷なまでに切なく、心を捉えて離さない、出会いと別れの物語。