著者 : 藤原祐
従姉に強引な勧誘を受けて始めたオンラインゲーム『ファイナルファンタジー14』で、僕はひとりの冒険者と出会う。彼女は可愛らしい猫耳の少女であり、親切で魅力的な性格であり、けれどゲームの外ではー療養所のベッドでノートパソコンを抱える、暗く沈んだ目をした女の子だった。リアルから始まりゲームへも影を落とす彼女の傷と、ゲームから始まってリアルへと繋がっていく僕らの絆。彼女がゲームの中で見せてくれた笑顔は決して嘘なんかじゃない。だから僕は灰色の病室で、彼女の背を押そうと思うーエオルゼアで彼女が、僕の背を押してくれたように。
雉子野中学で密かに噂となっているおまじないがあった。呪いたい相手の名前を書いた紙と硝子玉を一緒に桜の木の下に埋めておくと『硝子玉の魔女』がそいつを不幸にしてくれる、というものだ。噂を知った水奈たちはそこに『魔女』の影を見、調査を決意する。一方、それから遡ること半年前ー鍛冶目山市の中央にある関総合病院に、幼い少女が入院していた。彼女は『自分の病気を硝子玉に込めて木の下に埋める』という他愛ない願掛けをしていて…。ささやかな願いが呼ぶ、穏やかでない呪い。奇跡を願う心と奇跡に頼る罪とが絡まり合って、やがて災禍を招く。その先にあるものは、果たしてー。
異界ー“魔法の国”で起きた“女王のための統合戦争”に巻き込まれた、鍛冶目山市の少女たち。魔女となった彼女らが身の裡に宿すのは、殺し合いの螺旋を紡ぐ奇跡と罪の力ー魔法。魔女のひとりである咲森水奈は、行方不明となった親友の少女、早良坂人魚を捜していた。その傍らに立ち彼女を支える少年、早良坂蓮は“魔法の国”の住人であり、そして…。藤原祐×椋本夏夜が贈る新シリーズ、始動!
完全なる存在となったユヴィオールは城の玉座にあって、瑩国をその手に掴むべく動き始めた。幽閉されたアルトが恐怖に耐えながら助けを待つ中、すべてを喪ったフォグはキリエの介抱によって目覚める。反抗の術はない。それでもアルトだけは取り戻さなければならない。絶望的な状況にあって決死の覚悟で城へ突入しようとしたふたりに、ひと筋のか細い糸が垂らされる。カルブルックに誘われ、向かうのはレキュリィの屋敷。『ローレンの雛』たちはそこで己の運命を見、そしてー。毒気に彩られた薄闇の幻想物語、ここに終幕。
倉須家長男、高遠。倉須家長女、礼兎。ふたりは義理の兄妹であり、幼馴染み同士であり、そして長年連れ添った夫婦のようでもあってー夏休みの騒がしい日々と夏休み明けの不穏な事件を通して、僕はそんな彼らの絆と関係を間近に見ることとなる。一見頼りなさそうでもあるふたりは、それでもやっぱり家族の輪っかを繋いでまとめるに相応しい芯の強さを持っていて、僕はもちろん他のきょうだいたちにとっても、きらきら輝いて見えたー。風変わりな七人のきょうだいたちが織りなす奇妙で素敵なファミリーゲーム、待望の第三弾。
倉須芽々子。高校一年生、十六歳。血の繋がらない七人きょうだいの寄せ集めであるわれらが倉須家の三女は、きょうだいたちにココロもカラダもべったりな家族依存症。だけどこの家に来たばかりの僕などはその病理ーつまりは無防備さと過剰な肉体的接触に翻弄されっぱなしだし、彼女の友人たちの中には、新参の兄貴である僕に警戒心を露わにしちゃってる娘などもいるワケで…。いっぷう変わった家族、倉須家を巡るハートウォーミング(?)ストーリー、待望の第二弾。
正統丁字教の総本山である法王庁の特務組織“奇跡認定局”が、ついに瑩国転覆のため動きだした。実行部隊“使徒”と人造人間キリエによって、議員や貴族たちを標的とした無差別暗殺計画が進められていく。瑩国は抗う術なく、徐々に国力を削られ始めた。更にはこの混乱に乗じ、ユヴィオールたちもまた違った思惑のもとに水面下で暗躍する。イオ=テリーヌの前に姿を現したアイリス=キャリエルの笑みは、同郷の輩に再会した喜びか、或いは“魔剣の母”としての狂気なのか。そして混乱していく状況の中、フォグとアルトはー。薄闇の幻想物語、緊迫の第四幕。
瑩国公式第一王女マーガレットの婚約者である悳国王子ディードが、外交のため来訪することとなった。悳国が製造した『グラフの数珠』とそれによって起きた事件の数々により、二国間は緊張状態にある。その関係改善を目論んでの来訪とはいえ、この機に乗じて何かを企てる輩が出てくることは必然だった。王子の暗殺計画すらもが囁かれる中、瑩国王家は『レキュリィの宴』に協力を仰いだ厳戒態勢で挑む。フォグとアルトは、王子を歓迎するため開催される夜会の警護役として任命されることになったが…。策謀と毒気が渦巻く都市・匍都で繰り広げられる薄闇の幻想物語、第三幕。
塔に囚われた煉獄の姫君ーアルトは、牢獄でかつての友と邂逅する。王宮に囲われた少年騎士ーフォグは、自らの出生と向き合い、まだ見ぬ妹の存在を知る。アルトの友でありフォグの妹でもあるその『彼女』は、鮮血と混乱、狂騒と悪意を引き連れ、再び瑩国へと降り立った。彼女の策略は“煉禁術”で造られた偽りの人間たちを闇へと誘い、未曾有の連続殺人事件を引き起こす。その渦中へ飛び込んでいくことを余儀なくされたアルトとフォグが、戦いの果てに見るものとはー?策謀と毒気が渦巻く都市“匍都”で繰り広げられる薄闇の幻想物語、第二幕。
とある事情から親類の『倉須家』に引き取られることとなった僕。だけどそこは、血の繋がらない六人のきょうだい達が住むという妙な家だった。諧謔的な長男、おっとり&投げやりな長女、暴君の次女、スキンシップ過剰な三女、男か女かわからない三男、カメラを手放さない四女ーどうにも癖のある彼らの許で、僕は七人目のきょうだいとなる。ともあれ倉須賀次男としての新しい生活はどうにか順調だ。…次女のリリィが何故かやたらと僕にキツく当ってくる以外は。ちょっと風変わりな家族たちの織りなすハートウォーミング(?)ストーリー、開幕。
現世のひとつ下の階層に位置する異世界“煉獄”。そこに満ちる大気は有害であり、一方で人の意志に干渉して森羅万象へと変化する性質を持っている。瑩国第一王女であるアルテミシアーアルトは、その煉獄へ繋がる扉を身の裡に孕む特異体質の持ち主だった。常に毒気を身に纏い近寄る者すべてを殺してしまうが故、普段は呪われた子として城の地下牢に幽閉されている。しかし彼女は時折、外の世界へ出る。従者である少年騎士フォグと共に、王家の密命を受けて。煉獄の毒気を練り超常を操る“煉術師”としてー。策謀と毒気が渦巻く都市“匍都”で繰り広げられる薄闇の幻想物語、開幕。
すべての真実は明らかになった。運命の糸は血を滴らせながら喉元に絡みつき、景介を奈落へと引きずり込む。一族殺しの宝刀『つうれん』は今や、忌まわしい恋を叶えるための刃となり、棗の、型羽の、檻江の、そして枯葉の生命を狙っている。反抗か、死か。二者択一の中、鈴鹿の一族の存亡をかけた最後の戦いは静かに幕を開けようとしていた。秋津依紗子に心を縛られてしまった景介と、木春により絶望を突きつけられた枯葉。ふたりが選ぶのは、永遠の断絶か、それとも再起か…?鮮血と恋慕が織りなす赤色の幻想奇譚ーここに終幕。
一族殺しの宝刀“つうれん”は奪われ、親友の歩摘も敵となった。叛乱の夜に見た記憶も足許を揺らがせるーそんな枯葉を励まそうと、景介は奮闘する。幼い頃の記憶、雪の日に出会った初恋の少女に想いを馳せながら。一方、自分が人間であることを敵味方すべてに欺いたまま、秋津依紗子は画策を巡らせていた。すべては愛しい人である、霧沢景介を手に入れるために。すべての謎が明かされる時は来た。叛乱の真実、霧沢雅の行方、供子の目的、依紗子の笑み…月明かりの下に曝け出された運命は、恋と死を交錯させながら景介に残酷な牙を剥きー。シリーズ最高潮、戦慄の第五幕。
白州高校の理事である分家“ひじり”の当主、砂姫が国外より帰還した。それにより入手したのは秋津依紗子に関する新たな情報。今まで座して待つしかなかった戦いを攻勢に転じさせることができるかもしれないーそんな希望の中、景介たちは学校の書類に記載されていた依紗子の住まいへと調査に赴く。しかし一方で、繁栄派の面々も各々の思惑の中、静かに動きを見せ始めていた。枯葉の記憶に掛かる靄。枯葉に対する景介の思い。型羽の過去。棗の迷いーそれぞれの抱えていた問題が戦いの中で露になっていく中、依紗子の狂気は景介たちに何をもたらすのか?シリーズ佳境、第四幕。
学校帰りの夕方だった。景介はひとりの少女と出会う。公園のフェンスの上に腰掛け、詩を口ずさむ娘。それは景介の姉、雅が昔よく諳んじていたものと同じ詩だった。彼女は檻江と名乗った。繁栄派に属する『鈴鹿の一族』でありながら、景介に敵意をーいや、それどころか何の感情も示さない奇妙さで以て。失踪した姉の手掛かりを掴むために檻江の後を追った景介だったが、辿り着いた先の病院で、一族にまつわる新たな秘密を知ることになる。鈴鹿の一族が抱える病、そして闇。それらは歪に澱み、景介をも蝕もうと鎌首をもたげていたー。
人間ではない『一族』がいた。ある山の奥深く、人の手の届かない場所で里を作り、ひっそりと暮らすー女しか生まれず、それ故に滅びかけていた『あやかし』。今までも、これからも、彼女たちは人の世から隠れ、人の世の狭間に生きていく、そのはずだった。しかし、その日。『一族』が起こしたある諍いは、小さな波紋となって町へと広がっていく。その結果として霧沢景介と灰原吉乃の前に現れたのは、枯葉と名乗る少女だった。彼女がふたりにもたらしたのは、運命か、或いはー。藤原祐×椋本夏夜のコンビが送る現代伝奇ファンタジー、ここに開幕。
『虚軸』に関連した一連の事件がすべて終わり、挟間学園に平穏な日常が戻ってきた。そして今日は、みんなが待ちに待った挟間学園の文化祭。けれど硝子は、すっかりおとなしくなってしまった蜜の様子が気がかりで…?更に、硝子たちのショッピングやナンパ騒動、夏休み最後のドキドキ温泉旅行、コスプレナース里緒の恐怖の完全看護など、過去のほのぼのエピソードも盛りだくさん。『レジンキャストミルク』番外編第二弾!ちょっぴりワケありな不思議少女とその仲間たちのドタバタ×しみじみな日々を、書き下ろし&描き下ろし大量収録で再びあなたにお届けします。
大きな犠牲の果て、森町芹菜と敷戸良司への接触に成功する晶たち。しかし、変わり果ててしまった芹菜を前に、晶はひとつの決断を迫られる。一方、自分たちの望む世界を作ろうとする樹と鏡、そして“無限回廊”もまた、行動を起こし始めていた。目前に迫る、最後の戦い。もう一度日常へ戻ってこようと誓う者、もう二度と戻らない覚悟を決める者、一抹の不安を抱えたままそれでも笑って過ごす者。それぞれが決意を胸に秘めたまま、その時は訪れー“実軸”と“虚軸”たちの殺し合いが、始まる。大人気シリーズ、堂々の完結編。