出版社 : 中央公論新社
「-ねえ、歌が聞こえない?」ケリーもジャスミンもきょとんとなった。「感応頭脳にしか聞こえない歌?」そんなものがあるのかと思ったが、ダイアナはそのまま恒星クレイドに向かって猛然と加速を開始したのだ。ジャスミンは顔色を変えて叫んだ。「何とかしろ、海賊!」と言われても、五十年のつきあいのあるケリーもこんなダイアナを見るのは初めてだったのだ。「なんだかわたし歌いたい気分だわ」人間二人が自分の耳を疑う中、ダイアナは本当に調子っぱずれに歌い出した。「きゃはは!楽しいわねえ!」-ケリーもジャスミンも凍りついた。ケリーたちがこの辺境の星系に赴いたのはなぜか?ここに、何が隠されているのか?ダイアナの変調の訳は?期待の新シリーズーいよいよ開幕。
真実の父は、光源氏ではなく、亡き柏木なのか-心の迷路を彷徨う薫中将。薫の疲れた心を癒すが如く現れた、美しき姫-大君。そして、無頼な言葉とは裏腹に見守り続ける匂宮…。今、人の血と縁が出逢い、「源氏物語」に新たな光がうまれる。深遠なる闇をも伴って…。儚げな光を求める彼らに、闇より出し魑魅魍魎が襲い来る。陰陽師・白鴎の力を借り、圧倒的な闇、そして運命に挑む薫と匂宮だが…。絢爛たる平安世界に繰り広げられる、雅で不可思議な物語-。「妖説 源氏物語」、第三幕。
黒い天使がセントラル星系を崩壊させかねない災厄を起こしていた一方で、彼らは平穏で地道な一般市民的(天使及びゾンビ主観において、ではあるが)学園生活を送っていた!渾身の作の小論文に『不可』を出されヴァンツァーは落第の危機に。教授の特殊な趣味を知って行動を起こす彼らの活躍を描いた「一般市民のすすめ」など中・短篇4作を収録した外伝2。
自分は真に光源氏の子なのか-悩む薫中将。ただひたすら、光源氏ように生きたい-憧れる匂宮 華麗なる「源氏物語」の世界を舞い続ける、ふたりの殿上人。あたかも、光源氏の幻影を追うが如く…。だが、雅なるこの平安世界にも、闇は在る。人の欲、すなわち業…それらを呑み込み現れる魑魅魍魎。陰陽師・白鴎ら仲間たちの力を借り、闇に挑む薫と匂宮だが…。絢爛にして摩訶不思議な世界-。「妖説 源氏物語」、第二幕。
リィ捨て身の攻撃でルウの暴走は抑えられた。セントラル宙域の壊滅は免れたのである。しかし脱出を急ぐ一行の前にふたたび“悪しきもの”が立ち塞がり、執拗にルウに迫るのだった!『天使の舞闘会』で語られなかった脱出劇の顛末を描く『嵐の後』。さらにダンの息子ジェムが、母親のルウを探しに行くと言い出して大騒動になる『宇宙一不幸な男』の2篇を収録した外伝。
「源氏物語」-豪華絢爛たる平安絵巻物語の世界。すでに光源氏が世を去りしこの御代、宮中を彩る殿上人がふたり。万事控えめでもの静かな、光源氏の子・薫中将。活発で無頼を気取る、光源氏の孫・匂宮。ともに、亡き光源氏の影から逃れられない血と縁。その彼らを、次々と奇怪な魑魅魍魎が襲う。陰陽師の白鴎の助力を得て、謎に挑む薫と匂宮だが…。舞台は、雅なる宮中、そして平安の都。華麗にして不可思議な世界-。「妖説 源氏物語」、ここに開幕。
リィの身体が光る。黄金の髪は輝き、額には第三の眼のごとき濃緑の宝石をはめ込んだ銀細工の輪。腰に剣を佩くその姿はーシェラのよく知る第一級の戦士の雄姿だった。「おまえが迎えに来てくれ」という一言をシェラに残して、リィは暴走するルウの元に跳ぶ。たとえ二人の再会が死を意味したとしても…。暁の天使たち、完結篇。
「きみのお母さんが生きている」突然アレクサンダーから告げられてダンは呆然とした。しかも「お母さんの復活に伴ってお父さんも蘇ってくる」とは何事だ!?ところがこの“彼”の再生体が連邦情報局によって強奪された!己の中に本物の彼を宿しているルウは困惑しーそして奪われた“彼”を追って連邦に乗り込むが。
異世界から来たシェラにとって“この世界”は魔法に満ちていた。科学という“誰にも平等に使える魔法”が、人の代わりに何でもやってくれる。しかしシェラは知っていた。“限られた者たちにしか使えない魔法”の存在を。-魔法惑星ボンジュイの存在を。ついに黄金の太陽リィと銀の月シェラ、そして闇のルウの3人が集う。この世界ー宇宙に何が起きるのか。
あらゆる格闘技試合で不敗を誇る南雲凱。今や、名実ともに沼田道場のエースとなり、手にした金で毎晩豪遊を繰り返す凱だったが、その肉体はいつしか蝕まれていた…。一方、弟子の格闘技トーナメントへの参戦を許した麻生英治郎は、彼らの活躍により、いつしか「常勝軍団の総帥」とマスコミに祭り上げられていた。その現実は、ひたすら空手の真髄を極めるという彼の理想とは、全く別次元のものだった…。苦悩する英治郎は、遂に輝英塾塾長として決断を下した。それは南雲凱との頂上対決。両者激突の時がきたのだ!!シリーズ感動の完結篇。巻末に著者と桜庭和志氏(格闘家)との特別対談を収録。
自らが所属する空手流派に漠然とだが疑問を抱いた麻生英治郎は、フルコンタクト系の空手師範である黒沢輝義と出会い、真の空手道を極めることを誓い合う。二人で新たな道場を開くまでにいたるが、その矢先、黒沢は癌に倒れ、還らぬ人となってしまった…。一方、シベリアの針葉樹林より生還した南雲凱は、些細な事件から新格闘技団体に入団することになった。その圧倒的な強さと、大金を掴むという自らの野望のため、凱はラスベガスに武者修行すべく殴り込む。そして、格闘技雑誌のグラビアを飾る英治郎を目にして…。後に、格闘技界の頂点を賭け激突する虎と龍が、遂に始動した!はたして彼を待つ運命とは!?シリーズ第二弾。
30年と限られていたジャスミンの命。しかし訪れるはずのない誕生日を4回迎えた彼女は、その日々、何を思い過ごしたのだろう。そして総帥の地位を継いだケリーは何を見据え生きたのだろう。二人の言葉と想いが残された。本編では語られることのなかった死の直前の女王の姿とキングのその後を描く外伝登場。
秋田から大学入学のため上京し、憧れの街-秋葉原を初めて訪れたパソコン・マニアの六郷史郎。ところが、入った店でいきなり万引きと間違われてしまう。動揺しつつも弁解する史郎。しかし今度は、何故か突然、店にヤクザたちが現れた!もはやパニック状態に陥った史郎は、その場を逃げ出してしまった…。この瞬間から、この街のすべての歯車が狂いだした-。白昼の銃撃戦、そして爆破予告!警視庁とロシアン・マフィア、そしてモサドや中東のスパイたちまでが入り乱れ、白熱化し暴走する電気の街・アキハバラ!!ノンストップ・アクション&パニック小説の傑作。
騙されて外国に売られ、シベリアの針葉樹林で、あたかも奴隷のように手斧一本で伐採作業を強制されながら生きる南雲凱。現場監督を半殺しにして日本に生還した凱は、些細な事件から新格闘技団体に入門する。そしてもう一人-何ひとつ不自由のない裕福な家庭に生まれ育ち、空手道場に通う大学生の麻生英治郎。所属する流派に漠然とだが疑問を抱く英治郎は、フルコンタクト系空手師範の黒沢と出会い、空手の真の姿を探し始める…。後世、この二人が虎と龍の如く格闘技界の頂点を賭け、激突するとは、この時、誰も知らなかった。はたして彼らが目指す先には何があるのか!?“真の格闘技小説”堂々のシリーズ第一弾。
清朝衰退・外国列強の侵略-この“内憂外患”の危機に、今こそ武林(武術界)を統合するべきである-その主旨のもと、統一武林の盟主を打擂寨(武術大会)で決めることになった!伝説の拳法「迷踪拳」の唯一の継承者・霍元甲、一撃必殺の「八極拳」霍殿閣、泥酔して戦う「酔八仙拳」蘇乞児、黄飛鴻の父麒英と並び称されながら「洪家拳」を破門された安鐸龍…。中国全土から高手名手が名乗りを上げる。果たして黄飛鴻は勝ち残れるのか?さらに会場には、大東流居合柔術の開祖・武田惣角、後の「グレイシー柔術」の生みの親である前田光世が現れた!?大活劇巨篇堂々完結。
恋人の紗由美が爆死するまで七十二時間!-トラブルシューター「もぐら」こと影野竜司に、環境ベンチャー「エコウインドウ」の元研究員である安里という男が血塗れの姿で相談を持ち込んできた。システム開発の権利関係のトラブルで命を狙われているという。翌日「もぐら」の存在を教えてくれたホームレスの男が惨殺されたことを知ると、安里は姿を消してしまう。竜司は「エコウインドウ」に探りを入れるが、その矢先、紗由美が何者かに拉致・監禁され、体に爆弾を縛り付けられてしまう。紗由美の解放条件は、安里を差し出すことだった…。急成長産業の闇に蠢く黒い企み!竜司は愛する女を救出できるのか。
天才ボクサー藪一也の世界タイトル挑戦が決定すると、元トレーナーの倉本は異常なまでの深い絶望感に包まれた。無理だ、今の藪では勝てない、最強の王者ケニーに再起不能にされてしまう。藪も、おれも、おしまいだ…。ボクシングという魔物に精神を蝕まれている倉本は、世界戦前日、ケニーに会いに行く-。そして、試合当日、思いもかけない出来事が!?大傑作ミステリー誕生。
第二次世界大戦に勝利した第三帝国は、欧州を制圧した強大な軍事力をもって新たな戦争を始めようとしていた。本土を奪われた英国と同盟関係にある日本は、その脅威に備えるべく密やかに行動を開始。強力な兵器を装備した歴戦の強者達がひきいる第三帝国を相手に、戦歴のない若者達を多く含む日本が、総力をあげて立ち向かう。1948年5月、ついに第三次世界大戦が勃発!合衆国侵攻作戦「ゴールド」が始動する。合衆国と日英同盟を相手にした、第三帝国の全世界規模の戦略が始まったのだ。書き下ろし短編を収録したレッドサンブラッククロス通巻第一巻。