出版社 : 中央公論新社
南海で発見された謎の海洋生物は「スピード・フィッシュ」と名付けられた。恐るべきスピードで船舶を襲い、一瞬にして鉄骨を溶かし、刺激性ガスで空気を汚染する。島嶼部ではガス中毒で多くの死者が発生。しかも、その個体は発見されるたびに巨大化し、とうとう空中を跳躍して内陸部をも襲う勢いに。小笠原・伊豆諸島を北上し東京湾を目指すかのような出没状況が報告されると、都心は大パニックに。避難を急ぐ人々で交通網は麻痺、強盗や暴動までが頻発。ついに政府は、陸海空の三自衛隊に治安出動命令を出した。謎の生物と人類の戦いの行方は-。
ジャスミンの出産を控えてケリーが総帥代理の任についたとたん無人車は暴走し強化硝子が落下し重役たちの露骨な抱込み工作がはじまった。でもね、こんなのは余興にすぎない。あの気障で自信過剰ではた迷惑な銀髪のあいつが現れたのだから私は瞬時にリミッターを解除した。ダイアナ・イレヴンス発進。
新たな植民地法締結の使命を帯び、内戦の混乱いまだ収まらぬパガンへ特使として赴くエスティ。売名行為との誹りを受けながら友の治める国との橋渡しを願う彼女は無事大任を果たせるのか?様々な苦難から逃げることなく波乱の時代を鮮やかに生き抜いた薔薇たちの物語は新時代への夢に向け今ここに幕を下ろす。
十九世紀末、退廃の都ウィーン。名誉あるバイエルン王御前演奏会の選考会に挑む薔薇の騎士四重奏団。同じ舞台上に現れたライヴァルの姿はなんと麗しき狂王ルートヴィヒ二世-まさか…あれは誰だ?人々の驚愕と感嘆の眼差しの中、かの王と生き写しの美丈夫が朗々と歌い上げる歌曲は悲劇か喜劇か、陰謀の香り漂う歌劇の幕が今上がる。
フランツのソロデビューの席上、彼が奏でる旋律が最高潮を迎えた時、一人の若き令嬢の命が途切れた。それは死を呼ぶ舞踏曲なのか-。だが事件はまだ始まりにすぎなかった。ブダペシュトへと向かったはずのフランツは忽然と消息を絶ち、ウィーンでは野心と欺瞞に彩られた妖しい舞踏会が再び幕を上げる。事件の陰に隠された哀しき恋の行方は。
北九州市の門司港で探偵業を営む御倉学に、県内有数の学校法人の理事長から依頼があった。理事でもある娘の運転する車が、ホストを乗せホテルから出てきたところ、若者を撥ねてしまったというのだ。教育関係者にとって命とりになりかねないスキャンダルを葬り去るために、その若者-「当たり屋」の弱みをつかんでくれという。同じ頃、北九州市に本社を置く食品会社へ脅迫文が送られ、カップ麺に毒物が混入されるという事件が世間を震撼させていた。御倉は「当たり屋」の部屋から、脅迫文の下書きを発見し、調査は思わぬ方向へと進んでいく…!?新星が放つ傑作書き下ろしサスペンス。
一匹狼のこの俺が、あろうことか巨大財閥の副総帥におさまった。総帥のジャスミンと結婚したからだ。おまけにこの女王には物騒な敵がいて、街中でコマンド部隊に襲われるは、探査宇宙船は消失するは。当分、退屈だけはしそうにないがこんどはニンシン?だと!?海賊なんだぞ、これでも俺は…。どうにも異色な宇宙恋愛物語。
ある出来事を機に十年間続けた探偵を辞め、サラリーマンに転職した御倉学は、筋力トレーニングと酒でなんとか精神の均衡を保っていた。リストラされ失業中のある日、別れた妻奈美から、再婚した夫・大路の死の真相を調べてほしいと頼まれる。大路は一万人の会員を持つ無店舗販売組織“博愛クラブ”の理事で、死の前日電話で「ボリス計画」をめぐり言い争っていたという。御倉は乗り気ではなかったが、帰り道何者かに襲われ、探偵としての本性とレスリングで鍛えた筋肉が疼き始める。「ボリス」とは、ロシア大統領エリツィンの名前だが、国際的な陰謀が蠢いているのか?足を洗ったはずの探偵稼業に再び身を投じた御倉…。新鋭の書下ろしサスペンス。
二十五歳の女教師が、廃校となった校舎内で男たちに乱暴された後、改造銃で射殺されるという残虐な事件が起きた。トラブルシューター影野竜司は、ストーカー被害を訴えるOL小林真結子を暴行しようとした男を捕まえた。犯人は高校生で、動機はアングラネットのメッセージだという。“淫姦倶楽部”というHPに真結子の名を騙り、顔写真とともに「私は、レイプ好きのOL-」とあり、住所や勤務先が記されていたのだ。一週間後、真結子もまた何者かに暴行を受け、射殺されてしまう。個人情報を盗みインターネットで犯罪を煽る者、そして犯行に及ぶ者…。顔のない犯罪者たちの不気味な影が、竜司にも忍び寄る。社会の闇を鋭く抉る書下ろしサスペンス。
奇妙な仕事が舞い込んだ。一年だけ結婚してくれ、だと?お相手はあのクーア財閥の女王だ。殺しても死なない男がご希望だとか。理由や事情は知らないが、宇宙きってのお尋ね者『海賊達の王(キング・オブ・パイレーツ)』向きの仕事じゃない。一匹狼の海賊の誇りをかけて、決着を宙(そら)でつけることになったが…かなり異色な宇宙恋愛物語(スペース・ラブ・ストーリー)。
かつての情報都市アストリアでネットワーク上の鉱脈からデータを発掘して売り捌いていたMKは、軍関係の鉱脈の奥深くで偶然VALERIAというファイルを発見した。しかしこのアクセスをきっかけに殺人容疑で追われる羽目に-訳も分からず逃走するMKの前にヴァレリアと名乗る美女が現れて!?近未来を予言するSFの傑作が蘇る。
己の血統に頼り特権を振りかざし、島人を蔑む支配階級を相手取り、ケアルは差別の壁に挑み続けていた。しかし、長年に亙り慣習となり果てた民人たちの意識改革は難題だった。反対派を煽り兄ミリオが反旗を翻す。息つく暇もなくデルマリナからは都市が壊滅状態という報が-恐慌を来すハイランドの民を前に運命をかけたケアルの決断とは。
放浪の戦士と異世界の少女の出逢い、すべてはここから始まった。盟約という堅い絆で結ばれた二人は、いくたの危地を乗り越え、あまたの合戦に勝ち抜いて、戦士は大国の王に、少女は王と国の守護神となった。獅子王と妃将軍がつむぐ、デルフィニアの伝説がここに完結する。
リィを嫡子ナジェックの妻とする!勝利の女神を辱め、デルフィニアの戦意を削がんとするゾラタスの卑劣な策に、三騎はタンガへの途をひた走る。王位を捨て一戦士に戻ったウォル、異世界の相棒ルウ、己の意志で行動するシェラー。昏々と眠り続けるリィだったが…。難攻不落のボナリス城に轟音が響く時、最後の奇跡が始まった。
警視庁OBの岡田利夫は、趣味のカメラを手に山陰へ旅に出た。「きのさき5号」の車中で、宝石店に勤める北野敬という青年に会い、城崎温泉の外湯めぐりに誘われた。しかし北野は何者かに殺害され、岡田は地元の警察から事情聴取される。宝石店の社長は、北野という従業員はいないと答えた。そこに、岡田のかつての後輩十津川警部が現れ、東京で殺されたクラブのママが、北野の名刺を持っていたという。岡田は北野の足跡を辿り、一年前、鳥取の三朝と島根の玉造で、地元の名士が不審死していることを突き止める。いずれも北野が宝石を売りつけた女のパトロンで、その代金を払う直前の死であった…。山陰の温泉町で起こる連続殺人に十津川の推理は。
十年前のある事件を機に、影野竜司は警視庁特捜部を辞し、同時に一生癒されることのない心の傷を負った。そして今、新宿百人町に電話一本のちっぽけな事務所を構え、トラブルシューターとして日々を送っている。その手荒な解決手段は闇社会で有名になり、竜司は「もぐら」と怖れられていた。今回の依頼は、渋谷にたむろするギャング気取りの若者に凌辱ビデオを撮られ、売春を強要されている妹を救出してほしいというものだった。竜司にとって、これは単なる仕事の一つにすぎないはずだったが、張り巡らされた罠が、次第に竜司を追い込んでいく…。忌まわしい過去を持つゆえに人一倍優しく、時に凶暴化してしまう竜司。ニューヒーロー、ここに誕生。
ハイランドの使者として未知の国デルマリナヘケアルは旅立つ。苦難の航海を越え辿り着いた地は何もかもが驚愕と当惑に満ちていた。利権を求め彼を利用すべく群がる人々、あまりに違う慣習、価値観-。惑う心でケアルはふと空を見上げる。飛びたい、と-この異郷の空も自分を暖かく包んでくれるだろうかと。そしてケアルの孤独な闘いが始まる。
中原に激震走る!見果てぬ夢の達成を目前に異郷の戦陣に没した「征」王魚支吾。野望の果てに残ったのは人民の疲弊、王宮に渦巻く謀略。千載一遇の好機に眠れる大国「衛」、ついに動く。動乱の風をはらんで「琅」も反撃の挙に出るが-覇王の玉座は誰の手に。