出版社 : 中央公論新社
ときは大正、花の巴里。薔薇色の人生に別れを告げて冒険児伊集院従吾、南海に発つ。美女と美少女引き連れて、飛ばす愛機は複葉機。行く手を遮る魔人を討てと抜くは名刀菊一文字。科学も魔術も蹴散らして、唸る銃弾、火を噴く飛行船(ツエッペリン)。来たぞ我らの痛快冒険活劇浪漫。
大学へ通うために上京してきた萩尾春海は、京都から来た西村麗子という女性に出会う。お互い下宿を探す苦労を語り合ううち、育ちの良さそうな彼女に心を許した春海は、彼女と部屋をシェアして暮らすことに。お互いを干渉しない約束で始めた生活は、都会的で快適に思えた…。が、そのルームメイトは一ヶ月も経たずに、変貌。化粧も濃くなり、食べ物の好みまでも変わり、スナックでバイトをしているようなのだ。そして遂に失踪-私は彼女の事を何も知らなかったのでは?謎の残るままに、彼女の足跡をたどる春海。すると、彼女が名を変えて、二重、三重生活をしていたという事実が明らかに。呆然とする春海の目前に、既に死体となったルームメイトが。
トラックを奪回し内南洋の絶対国防圏は死守されたかに見えたが、米軍はB29編隊の高高度長距離爆撃を敢行。主力戦闘機の生産拠点が壊滅し、宮城上空への侵入を許すに到って、陸海軍首脳は対米講和を決断、ホノルルへ特使を派遣した。だがあろうことか、これを国辱とする継戦派が決起し帝都を制圧。さらに、全権使節団を運ぶ米艦隊殲滅に向け「武蔵」を出撃させた。叛乱軍を阻止すべく連合艦隊は「大和」を派遣。ついに皇軍相撃つ骨肉の戦いが!戦略シミュレーション巨篇、堂々の完結。
南アフリカで今世紀最大の金鉱発見-鹿成建設の美貌の副社長・国近阿津子は、このニュースを餌とする国際金融詐欺団SAGSに30億円をだまし取られ、戦略情報室長・日高竜介に犯人一味の発見と巨額被害金の回収を命じた。既にジョージ・ハリソンと名乗る首謀の白人紳士は姿を消し、SAGS事務所も閉鎖されている。日高はハリソンが接触した女たち-スレンダーな肢体をもつプライド高い南ア大使館職員、色香溢れる田園調布の富豪未亡人、奔放な宝石デザイナー-をベッドへ誘い込み、性技を尽くし口を割らせ、詐欺団に迫っていく…。官能、情報、謎を贅沢に盛り込んだ第一級のエンターテインメント。
あなたにも家族がいるならば、必ず身につまされる七つの恐怖。嘘つき病の女。母親の水着姿を見たがる夫。いつも隣に引越してくる男。真夜中のテレビに没頭する良妻。妹ばかり可愛がる両親を憎む少女。いきなり登場した見知らぬ親戚。定年退職の夫を白装束で迎える女…。あまりにも異常な、しかし、あまりにも日常的な狂気の世界。これを読み終えたあなたは、きっと家族が怖くなる。
強国秦に対抗せんと周辺諸国の合従を目論んだ姫惺。だがその策謀もついに水泡に帰し蜀の情勢はいよいよ逼迫していった。押しよせる秦の大軍を前に最後の抵抗を試みる三公子はそれぞれの想いを胸に重き宿命に敢然と立ち向かっていく。
目指すは敵都、勝利を手中に!長年の悲願を胸に抱き敵領に攻め入ったアシュラウル軍。忍び寄る崩壊の足音に保身に走り浮き足立つ民草だが動じることなくただ独り獅子王は神皇帝に一騎打ちを挑む。大陸の覇権と男の矜持を賭け死力を尽くして戦い続けた両名の決戦の刻は今。
「魁」王朝最後の血縁「奎」伯段大牙は北方諸国を統べる王として西国「琅」との決戦に挑んだ。頼みの謀士耿淑夜と引き離されたままかつては窮境を共にした赫羅旋とついに干戈を交える。「魁」の滅亡から五年、天空には帝位剥奪を示す孛星が不吉に輝いていた。
意地っ張りで負けず嫌い、平凡な女子高校生・叶秋鹿の前に突然現れた古代装束の男。男の残した謎の言葉に信じていた日常が揺らいでいく。宇宙の原初根の国で天と地に別れて争う王族の両方の血を受け継ぐ娘よ、存亡の危機にある根の国を救え-。秋鹿の中で真の自分が目を覚ます。
天正十年(一五八二)六月一日、漆黒の闇に包まれた本能寺を竹中半兵衛、蜂須賀小六、石川五右衛門ら“羽柴忍び組”の精鋭たちが奇襲した。頭領の秀吉は泣きながら、天下布武を目前にした主君・織田信長を討つが、これは伊賀の“お館さま”の意志によるものであった。年少時の針を売りながらの廻国・術修行、信長に仕えての順調な出世-秀吉の背後には、いつも“山の民”の大きな野望が隠されていたのだ!出生から天下獲りまで謎多き秀吉の半生を解き明かす新鋭の伝奇時代小説。
米機動部隊を迎え撃った第一航空艦隊は、敵空母二隻を撃沈するも、「瑞鶴」「飛竜」に傷を負った。日米ともに稼働空母を失った状況下、グアム奪回に固執する米国は、B17編隊に多銃装備型B17を投入する。その圧倒的火力の前に基地兵力は潰滅。ついに米海兵隊はグアム上陸を開始した。陥落寸前のマリアナを死守すべく日本は第二艦隊を急派。巨艦「大和」「武蔵」と米新鋭戦艦が激突する。不敵にもこの難局を逆手に取ろうとする日本海軍の戦略とは?戦局建直しをシミュレートする戦略巨篇第五弾。
徒党を組んで反旗を翻したグラハム卿ら西部領主との決戦に国王ウォルの軍は大敗を喫した。頼みのラモナ騎士団は壊滅しウォルは囚われの身に…さらにパラスト・タンガの二国はこの機に乗じて同盟を結び虎視眈々とタウ山脈の金銀鉱を狙う。内憂外患デルフィニアの危地に姿を消した王妃リイの真意は。
合従して強国秦に対抗すべし-秦を包囲する軍事同盟を構築すべく姫惺は諸国を巡る旅に出た。だが脅威に怯える小国の利害を調整することすら容易ではなかった。策謀には策謀を-嘲笑うかのように姫惺の行く手に立ち塞がる秦の宰相張儀の術数。姫惺が中原の命運を賭けた大合従は秦の野望を打ち砕けるのか。
北方戦線でダルナディートに圧勝し怒涛の勢いで南に突き進む帝国軍。一方、寡兵を率いて南方戦線の緒戦に辛うじて勝利を得たアシュラウルは対決の時を予感しつつ北進する。賭けるものは大陸の安寧-一歩も譲れぬ戦いの幕が上がる。魔道帝国の圧倒的な大軍に挑む精霊王アシュラウルに果たして勝機はあるのか。
昏き月から魔の核が降り注ぐ限りなく不吉なその日、蒼き森の深奥で二人は出逢った。アーデーヴァとクミカラ、生まれたばかりの森の守護神と開拓者村の巫女との出逢いが豊かな森に抱かれた楽園を人々が失う契機になろうとは。ブルーフォレスト物語-神と人の対決の伝説がはじまる。
“極上名器三段締めの女”を探せ-鹿成建設・戦略情報室の日高竜介に秘命が下された。これは、不動産・建設業界の風雲児、兵堂錬平が愛人と密会の帰途、何者かに射殺された際のダイイング・メッセージなのだ。犯人の狙いは、一千憶円ともいわれる兵堂の隠し財産。兵堂の債務保証人である鹿成建設も、巨額の争奪戦に参戦した。喪服の銀行レディ、熟女バイヤー、代議士秘書ら好色な兵堂が愛した美女を、日高はベッドへ誘う。
直接選挙を実現し民主主義を育みつつある台湾にアジアの巨象中国がついに牙を剥いた。改革開放経済が破綻、軍事的冒険に打って出た南沙諸島で資源を失い、行き場のない中国の矛先は台湾海峡へ向けられた。常任理事国日本は、市場として無限の可能性を秘めた大陸と、産声を上げた民主国家の間で選択を迫られる。日本は金門馬祖両島に陸自からの兵員を派遣する。開戦の火蓋が切られたのは大陸との距離わずかに二キロ、地上で最も堅牢な要塞島、金門だった-近未来軍事シミュレーション。
暗愚な王を倒し権力を掌握した王英達三公子は外憂に備えるべく国力の整備増強に腐心していた。しかし己の権力に固執する諸候の反発は思いのほか強く内政改革は遅々として進まなかった。おりしも隣国楚が強国秦と合従し華陽を狙っているとの報が届く。亡国の危機に彼らがとった策とは。