出版社 : 中央公論新社
昏き月から魔の核が降り注ぐ限りなく不吉なその日、蒼き森の深奥で二人は出逢った。アーデーヴァとクミカラ、生まれたばかりの森の守護神と開拓者村の巫女との出逢いが豊かな森に抱かれた楽園を人々が失う契機になろうとは。ブルーフォレスト物語-神と人の対決の伝説がはじまる。
“極上名器三段締めの女”を探せ-鹿成建設・戦略情報室の日高竜介に秘命が下された。これは、不動産・建設業界の風雲児、兵堂錬平が愛人と密会の帰途、何者かに射殺された際のダイイング・メッセージなのだ。犯人の狙いは、一千憶円ともいわれる兵堂の隠し財産。兵堂の債務保証人である鹿成建設も、巨額の争奪戦に参戦した。喪服の銀行レディ、熟女バイヤー、代議士秘書ら好色な兵堂が愛した美女を、日高はベッドへ誘う。
直接選挙を実現し民主主義を育みつつある台湾にアジアの巨象中国がついに牙を剥いた。改革開放経済が破綻、軍事的冒険に打って出た南沙諸島で資源を失い、行き場のない中国の矛先は台湾海峡へ向けられた。常任理事国日本は、市場として無限の可能性を秘めた大陸と、産声を上げた民主国家の間で選択を迫られる。日本は金門馬祖両島に陸自からの兵員を派遣する。開戦の火蓋が切られたのは大陸との距離わずかに二キロ、地上で最も堅牢な要塞島、金門だった-近未来軍事シミュレーション。
暗愚な王を倒し権力を掌握した王英達三公子は外憂に備えるべく国力の整備増強に腐心していた。しかし己の権力に固執する諸候の反発は思いのほか強く内政改革は遅々として進まなかった。おりしも隣国楚が強国秦と合従し華陽を狙っているとの報が届く。亡国の危機に彼らがとった策とは。
カイムジェサ帝国との決戦に向けて帝国内部に足掛かりを築かんと拠点を構えたアシュラウル。周囲の部族を苛政から解放しつつ帝国の瓦解を誘う戦法はしかし西の大陸のすべてを巻き込み無垢の人々を犠牲に求めた。偽神を疑いながらも戦う獅子王と冷酷な戦術で立ち向かうアシュラウル。竜虎相打つ激戦の行方は。
パラオ沖海戦で第二艦隊が圧勝し、在比米軍は完全に孤立。脱出を図ったマッカーサーも捕虜となった。フィリピンを失った米太平洋艦隊はマリアナに対する攻勢を強め、トラックからグアムへの長距離爆撃を敢行。一方、基地航空戦では守勢となった日本軍も、マリアナ防衛線を死守すべく米輸送船団を攻撃し、護衛の駆逐艦多数に加え空母ワスプ撃沈の戦果を挙げる。熾烈な消耗戦の中、グアム奪回を目指す米機動部隊と、瑞鶴・飛竜の空母決戦が。戦局建て直しをシミュレートする戦略巨篇第四弾。
1953年12月8日、横須賀軍港に空襲警報が鳴り響いた。アーレイ・バーク中将率いる空母機動部隊が日本本土へ長駆侵攻し、奇襲を仕掛けたのだ。太平洋の覇権をめぐる戦いの火蓋は切って落とされ、短期決戦を挑む合衆国は日本の海上交通線を遮断せんと目論む。一方、未會有の国難に瀕した日本では、堀悌吉首相が断固戦い抜く決意を議会で示した。対米戦略立案の命を受け、国防軍令本部作戦部長に着任した真田忠道少将に巻き返しの秘策はあるのか。異次元戦史シミュレーション第3弾。
大華三国を隔てて聳えるタウは銀山なりータンガ王ゾラタスにもたらされたこの密告こそウォルたちが仕掛けたタンガの挙兵を誘う作戦であった。しかし鬨の声はデルフィニアの西方パラストから挙げられる。微妙な緊張を保たせてきた三国はついに動乱に突き進むのか。
港町ダィーラに流れる猟奇殺人の噂。またしても獅子王の陰謀か。悪辣な手口を察したアシュラウルはアマラン国内の内訌を阻止すべくクィラ領主邸の宴に乗りこんだ。華やかな祭りの陰で密かに進行する陰湿な企て、帝国の策略を潰さんがため精霊王アシュラウルが選んだ苦肉の策とは。
恩師の遺した謎を追って少年達は山中の静謐な湯房を訪なった。想い出の迷宮に彷徨う秋枝公彦と妖しい夜の貌をもつ執行雅、二人を狙う邪悪な牙が歴史の闇に蟠る。アラベスク渦巻くイスラムの浴室で、月光輝く露天風呂で、そして不吉な仮想空間で、せめぎ合う清らかな悪と暗い欲望。惑乱のエロスが交錯する耽美冒険浪漫。
南沙諸島に艦隊を展開した中国は、さらにフィリピン領パラワン島に空挺部隊を降下させた。対抗してASEAN諸国も海軍艦艇を派遣。睨み合う両艦隊の間に海上自衛隊が国連軍として割って入る。水上艦艇がひしめく南沙の海面下では、潜水艦が静かに互いを探り合っていた。深海を制したものが海域を支配する。海自、中国海軍潜水艦の間隙をぬって国籍不明艦が現れ、中国艦隊への攻撃を開始した。莫大な埋蔵資源とアジアの覇権を手にするのは誰か。常任理事国日本の選択シミュレーション。
争乱のニーヴァンをあとに旅に出たアシュラウル一行は、アマラン王国の末王子が領内で消息を絶ったとの噂を耳にする。不思議な力で魔道帝国の脅威から国を護るという王子ルシュエス-新たなる獅子王の陰謀か。事件の裏に謀略の臭いを嗅ぎ取ったアシュラウルは王子を救うべく怨霊巣喰う魔都へと乗りこんで行く。
急激な経済成長により、中国のエネルギー事情は逼迫。衰退していく北部都市を抱えた中国は、南沙諸島の領有に死命を賭け、海軍艦艇を展開した。南沙の共同統治を主張するASEAN諸国との高まる緊張を緩和させるため、日本政府は国連軍活動に踏み切った。先んじて派遣された潜水艦“あさしお”は中国軍の対潜作戦の標的に。地下資源と交易拠点をめぐりアジア各国の思惑と戦略は交錯する。
恋人も友もすべてを戦乱に亡くし、傷心のアシュラウルは海を渡る。争いのない世界を夢みて辿り着いた新大陸だったが、この地にも大陸制覇の野望を抱く魔道帝国カイムジェサの獅子王が居た。二度と再び剣は手にせぬ、との誓いも虚しくアシュラウルは、ニーヴァンの玉座を巡る戦いへと巻き込まれていく。
王子が敵の手に落ち、意気消沈するタンガの陣に国王ゾラタス率いる援軍が到着した。迎え撃つデルフィニア国王ウォル。両国の王を将とした大軍が国境の砦をはさんで対峙するパラストを加えた大華三国は三つどもえの戦乱に突入するのか。デルフィニア王妃リィの存在がすべての『鍵』を握っている。
昭和19年6月、14隻もの空母に新鋭機を満載し近接信管とレーダー管制による鉄壁の防御を誇る米艦隊がマリアナに迫っていた。日本海軍も残された国力を振り絞って準備した最後の決戦兵力で迎え撃つ。史上最大の機動部隊対決の火蓋は切られた。力押しで攻める米攻撃隊は大量の新鋭戦闘機紫電改に邀撃され被害が続出。一方の小沢艦隊は一向に攻撃隊を出さず、奇妙な行動を繰り返す。これが樋端中佐の遺した詭計なのか。決定打を欠く両軍を呑み込むように南洋の暴風雨が迫っていた。
英語のスラングで愉悦の声を上げ、エクスタシーに達すると乳房に黒子が浮かびあがる女を探せ。-それが、鹿成建設・戦略情報室の日高竜介に下された特命だ。その女こそ「スイス・メトロ・プラン」におけるアルプストンネル工事受注の機密書類を強奪した犯人なのだ。総務部の美人OL、キャンペーンガール、スチュワーデス…日高は“女”を突き止めるために、次々と美しき獲物をベッドへ誘い、秘技の限りを尽くす。そして、ついに真相が。興奮指数100の書下ろし官能サスペンス。
大国「征」の中原制覇を阻むため、「衛」と「容」が結ぶ盟約交渉の席で、二人は再会を果たした。「衛」王耿無影と無冠の謀士耿淑夜。かつて兄と慕い、やがて仇と憎んだ無影が明かす思いもかけぬ真実に堅くしこった淑夜の心は溶けていく。だが恩讐の歳月はもはや後戻りできぬほど二人を隔て、戦場へと風が漢(おとこ)たちを駆り立てる。