出版社 : 主婦の友社
ゼフェカの企みにより、十年の蟠りが噴出したグラース国とブルドゥス国。軍士の大規模な離反が現実となってしまった中、カズキは偽黒スヤマの侍女としてお茶会に付き添っていた。ゼフェカがそばを離れたこの好機に、少しでもスヤマから情報を得ようと、イヴァルとヒューハと共におしゃべりに花を咲かせてスヤマの動揺を誘う。そんな中、会場内に一人の男が現れ、カズキに同行を願い出る。知らない男に警戒するカズキだが、男の正体を知って一気に警戒を解く。男は問う。「異世界人の目から見て、この国はどう見える」と。カズキは、その質問にこう答えたー。
日下部虎次は乗っていた飛行機が墜落して、意識を失ってしまう。目を覚ますと、機内に一人取り残されていた。外に出た虎次は、事故から生き延びたのに、崩れてきた飛行機の翼に潰されて死んでしまうーかに思えた。が、虎次は機内で目を覚ます。それは死して生き返る能力、リスボーンによるものだった。非現実的な状況に混乱しながらも再び外に出るが、今度は異形の存在、魔物に殺されてしまう。またも機内で生き返った虎次は、ここが異世界であり、自分に異能が宿ったことを理解したのだったー。
隣国パンジャリーの内戦によって大きな功績を挙げたウィラード。その才能は山猫傭兵団の内部より、むしろ外でこそ評価されつつあった。かつての強敵、火神傭兵団が引き抜きを企て、女傭兵ミュアキスが派遣されてきている。彼女の存在はモテない団員たちの嫉妬を煽り、ウィラードの団内での立場を悪くさせていた。戦争の影響はビムラの町にも波及し、負け組についた傭兵団の多くが解散の危機に瀕していた。傭兵たちが所属先を失うことを憂慮した傭兵ギルドのソムデンは、山猫傭兵団に対して新入団員の受け入れを要請する。「ウィラードさん、あなた今、自分で思っている以上に重要人物ですよ」
ガルゲン帝国に入国し、帝都へ向かおうとしていた太一、凛、ミューラ、レミーアの四人は、突如現れた皇帝の使いに導かれ、皇帝メルキドラと面会する。そこでメルキドラが直々に持ち掛けてきたのは、帝国立騎士養成学院での生徒の護衛と潜入調査の依頼だった。なんでもアクト・バスベルという生徒が狙われており、その企みを阻止してほしいとのこと。四人はエリステイン魔法王国からの特別留学生として通うことになり、太一と凛は久しぶりに学生生活を送ることになった。一行は圧倒的な力を見せつけて学院の生徒たちを牽制し、真相を探っていく。アクトが狙われる理由とは、そして学院に潜む闇の正体とはーー。
十五歳を迎えた子供たちは、女神様から「ギフト」と呼ばれる特別な能力を与えられる。ラゴウ村に住む少年レオが手に入れたのは「異界からの召喚」というギフトだった。周囲が期待に沸き立つ中、さっそく能力を使ってみると、出てきたのは小さな洗濯バサミ一つ。その結果、人々は期待外れだとレオを蔑むようになった。しかし実は、召喚は一日一度、様々なものが呼び出せる能力だと判明する。レオは召喚した異世界産のアイテムを駆使して、徐々に強くなっていく。ある日、いつものように能力を試していると、一人の少女が召喚された。オートマタのアリスと名乗った少女と行動することになったレオは、二人でダンジョンに潜り、アイテムを使って特訓を続けていく。やがて帝国の皇女と出会い、世界へと羽ばたいていく少年の冒険譚が幕を開く!
トリョラの町は敗北こそ免れたものの、戦争の爪痕が深く残り荒れ果てていた。義勇軍の代表として住民から恨まれていたセイギは、役人たちに戦争の責任を押し付けられそうになってしまう。そんなセイギが会議で提案したのは、トリョラの再建計画だった。莫大な資金は私財を投じると主張し、セイギを庇うハイジの後押しもあり、再建計画は進められていく。しかし、ひどい資金繰りに加え、命を狙われ続ける日々。街には違法な麻薬が横行し始め、治安は悪化していくばかり。追い詰められていくセイギは、大陸屈指の大商会の代表・クーンに融資を求めるのだがー。
オフィス街に程近い商店街の一角、古い雑居ビルの地下一階にある『洋食のねこや』。平日はサラリーマンが多く通うありふれた洋食屋は、一週間に一度、土曜日にだけ「特別」なお店になる。先代の頃より三十年間「向こう」の客を絶品料理でもてなしていた『異世界食堂』は、『異世界料理のねこや』として新装開店する。それは、店の主が変わった一つの区切りの証。けれど、新たな看板を掲げて名前が変わっても、小さな食堂の営みは変わらない。ちょっと変わった給仕とともに、訪れた人々に美味しい料理をふるまい続ける。チリンチリンーー。そうして今日もまた、土曜日に鐘が鳴る。
サラリーマンのタナカを転生させ損ねてしまった女神アマレッタは、タナカの住む六畳一間の小さなアパートで同居することになってしまう。今では毎日家事をこなしてタナカの帰宅を出迎え、すっかり「幼妻」な生活が身についてしまっていたアマレッタだったが、タナカを転生させる機会を虎視耽々と狙っていた。そんな真夏のある日、アパートが停電してエアコンが効かなくなってしまう。お詫びとして管理人の沙帆からリゾートプールの無料券をもらったタナカは、アマレッタにねだられて、沙帆とともにプールに行くことになる。しかし、いざ出発しようとしたとき、もう一人の転生女神であるフェレローシェまでが一緒に行くと言いだしてー。
毒で体調を崩した姚が医局勤めに戻れるようになった頃、猫猫のもとに大量の書物が届いた。送り主は、変人軍師こと羅漢。碁の教本を大量に作ったからと猫猫に送り付けてきたらしい。興味がないので売り飛ばそうと考える猫猫の考えとは裏腹に、羅漢の本によって、宮中では碁が流行していった。一方、壬氏はただでさえ忙しい身の上に加えて、砂欧の巫女の毒殺騒ぎや蝗害の報告も重なり、多忙を極めていた。そんな中、宮廷内で碁の大会が企画されていることを知った壬氏は、羅漢のもとに直接交渉をしかけに行く。開催場所を壬氏の名前で提供する代わりに、さぼっている仕事をこなすように説得するのだがー。
いくつもの仕事をやり遂げ、山猫傭兵団の事務長として認められたウィラード。しかし王立大学院に戻るのは遠い未来の話で、先の任務の影響は隣国バンジャリーを二分する事態にまで発展していた。そして、かつて命を救ったブロンダート殿下の配下、リリアレットが貝殻亭を訪れてきた。「戦いはすぐそこに迫っている」。軍資金とともに、山猫傭兵団には王太子陣営への参陣とビムラの傭兵の取りまとめが要請される。団長の安請け合いから丸投げされた仕事をこなし、ようやく漕ぎつけた出発前の壮行会。用意されたご馳走に沸き立つ団員たち。そこに侯爵家の三男坊を名乗る珍客、ディデューンが現れたー。
異世界で第二の人生をおくることになったセイギこと灰崎正義、25歳。小国ノライの辺境の町、トリョラで異邦人として暮らす中で、トラブルに見舞われても、交渉スキルを駆使して何とか乗り切る。「ペテン師」呼ばわりされつつも、ようやく平穏に暮らせると安堵していた。だが、トラブル解決と引き換えにセイギは小国ノライの義勇軍の代表となる。また悪いことに、巨大帝国アインラードとノライの戦争が始まってしまった。絶望的な国力差での戦争を、ノライ将軍である「赤目」ことドラッヘの指揮の下、セイギは義勇軍代表として戦争に参加することになるのだがー!?
半妖になった高校生の南条翔は、聴覚や嗅覚が過敏になり、さまざまな騒音や臭いで体調を崩し、夜は不眠に悩まされることになる。幼馴染の和泉朔夜と楢崎飛鳥はそんな翔を心配してくれるのだが、二人は妖を調伏する「妖祓」であった。翔は自分が化け狐だとバレないようにはぐらかすのだが、誤魔化し続けるのは至難の業。妖怪の知り合いである猫又のおばばに相談していると、ちょうど家を訪ねてきた「北の神主」の比良利に『夏越の大祓』の神事を手伝ってもらいたいと言われる。狐の五感を抑える相談に乗ってもらう代わりに、比良利を手伝うことになるのだがー。
異世界に迷い込み、役立つ能力(魔法やアイテム)と役に立たない従者(少女の姿をした魔物)を手に入れた、三十すぎの冴えない男。アイテムを換金して荒稼ぎ。高額な宿に泊まり悠々と朝風呂。名物を探して露店回り。そして、異世界に慣れ、脅威となる相手が存在しないと知った男は、調子に乗って好き勝手に遊び始める。請われ、求められ、疑われ、恐れられ、泣かれてもなお、己の享楽にしか興味がない男。力さえあれば何でもできると、信じて疑わない…。全ては、渇望する「余裕」を手に入れるがために。男は今日も「道楽」という名の旅に出る。-三十すぎの放蕩男が本格的な道楽に興ずる第二幕。ついに開幕!
十年ぶりに降り立った異世界で無事にルーナと再会できたカズキ。だが、黒曜という肩書の為に命を狙われてしまう。身の安全を守る為、アリスローク・アードルゲの家にかくまわれ、彼の女家族達と楽しい時間を過ごすことに。だが、娼館を襲ったものと同じ集団がアードルゲを襲う。戦争によって大切な人を失い続けてきたアードルゲ家にある、故人を偲ぶ唯一の絵を燃やさせるわけにはいかないと、カズキは自ら囮となって屋敷を飛び出した。捕らわれた先で地下室に閉じ込められたカズキは、謎の青年セフェカに出会う。彼はカズキの「いつまでここにいればいいのか?」という質問に「時代が終わるまで」と答えるのだったー。
料理人の「私」は、夢であった自分の店を開く直前に通り魔に刺されて命を落とした。次に目を覚ましたとき、そこは異世界で、なぜか小さな少女になっていた。しかし、前世のことをわずかに思い出したのもつかの間、乗っていた馬車が盗賊に襲われてしまう。運よく不思議な狼に助けられて一命をとりとめたが、前世の記憶は取り戻したものの、ここがどこで、この世界の自分が何者なのかもわからない。ひとまず狼とともに森の中で暮らすことになった「私」は、狼が持ってきてくれた生肉を見て強く思ったー料理がしたい、と。聖なる炎でベーコンを炙ったり、洞窟で死にかけていた男を助け、彼が仕留めた魔獣で焼き肉パーティをしたり。異世界の森の中、破天荒な少女のとんでもサバイバルクッキングが繰り広げられる!
パロウの正体を探るため、旅に出ることにしたカエデ達は、途中、カルデノの故郷に立ち寄ることになった。そこでカエデは、かつてカルデノが奴隷として売られた理由を知る。亡くなってしまった育ての親との思い出や、自分を売った相手と向き合ったカルデノは過去と決別し、本来の目的であったバロウ探しに戻ることになる。そこで、カルデノの知り合いだというガジルの案内もあり、ついにバロウが住むという家にたどり着くのだがー。
セレスに立ち向かうことを決意した一行は、まずは王都を離れ、冒険者の都市ベイムに向かおうとしていた。しかし、ライエルに恨みを持つリオネルにより「国家反逆者」として指名手配されてしまい、国境を抜けて移動することが難しくなってしまう。しかたなく迂回ルートを辿ることにすると、偶然、関所で興味深い話を耳にする。どうやら近くの国で、秘密裏にダンジョンを管理しているのではないかという。歴代当主たちは大盛り上がりで、ダンジョン討伐を提案してくるのだがー。
グラースの活躍でリバーマンダーを討伐した平太は、活躍を聞きつけた記者からインタビューを受ける。そこで「戦争祭」という強さを競う大会があることを聞き、ロナ達を誘って見学に行くことにした。トーナメントを見て祭りを満喫していると、ケラーノ達が意識のない少女を背負っているところに遭遇する。魔物に追われていたところを助けたそうで、平太達は意識を取り戻した少女を山の村まで送り届けることになる。村人達に少女を助けてくれたお礼をしたいと言われるが、ロナ達を待たせている平太は一人で帰ることにした。しかし、町に帰る途中でグラースが怪しげな人影を発見してー。
海閻の悪巧みを止めようとしたフィルだったが、僧侶たちは彼が反対したことに憤り、おぞましい真の姿になってフィルを襲った。しかし、地獄と化した煉獄法岩寺に、突如バイオリンの奏でる旋律が響く。そこに現れたのは生き別れとなっていた姉、セリシアだった。フィルは姉と力を合わせて海閻たちに立ち向かっていく。そして、絶体絶命の窮地の中、釣鐘の上にスタイリッシュにスーツを着こなす武器商人、伊藤が現れる。その姿を見たフィルは、アイテムボックスからかつて伊藤に貰った最強の武器ーひのきの棒を取り出すのだった。
灰崎正義、25歳。いかがわしいコンサルティング会社に勤め、人から「ペテン師」呼ばわりされている。静かに眠ることのできる安らかな日々を望んでいた。だが、その生活は唐突に終わりを迎える。仕事上の恨みを買い、刺されたのだ。正義は気付くと異世界の荒野にいた。今度こそ、ここで平穏な日々を過ごしたいと願いながら辿り着いたのは、二つの大国に挟まれ戦争に怯える小国ノライの町、トリョラ。掃き溜めのようなスラム街で異邦人の「セイギ」として第二の人生を始めるが、アクシデントが重なり、その町の有力者から命を狙われる羽目になってしまう。これまで培ってきた交渉術を駆使し、危機を脱しようともがくセイギだったがー。