出版社 : 主婦の友社
法王庁の陰謀とヒトと運命をもねじ曲げる“ちから”の存在について知ったアシュレは、ともに戦った仲間とイリスを守るため、カテル島に身を寄せていた。数奇な運命に翻弄された旅路の傷と疲れを、シオンとイリスのふたりとともに隠れ家で癒やす日々。奇跡的な生還から、アシュレは本当の英雄への階段を昇り始めようとしていた。そんな中、イリスが体調を大きく崩した。その原因がイリスが懐胎した「“ねがいの仔”」にあることを、シオンは見抜いていた。イリスが宿した存在は、あの日、廃王国の底で降臨した「ヒトならざるなにか」なのだと。一刻の猶予も許されぬ状況に、アシュレは決断をしなければならなかった。いまイリスの胎内に宿るものを、この世界に出現させてしまってよいものかどうかー。
「師匠」に育てられながら、十年間格闘術の鍛錬に励んだ少年ジェセットは、十五歳になっても師匠に一撃も与えられないダメ弟子として、ある日突然、破門を宣告されてしまう。仕方なく師匠の元を去ることになったジェセットは道中で遭遇したドラゴンモドキを倒しながら、王都へとたどり着いた。いつか師匠に一発見舞ってやると誓い、強くなるための修行を続けようと考えていると、ちょうど王都で武闘会が開催されることを知る。ジェセットも参加しようとするのだが、周囲から子供だとバカにされ、取り合ってもらえない。しかしそこに、騒ぎを聞きつけた王女アラニスが現れてー。
山猫傭兵団の戦力増強のためにウルズバールの地へ向かったウィラード。かつての知り合いであるヒルシャーンを説得し、馬と部族の若者たちを仲間に加えてビムラへと帰国することになった。しかし、想定よりも人数が膨れ上がったことにより、ウィラード一行の戦力はもはや、軍と言っても差し支えないほどになっていた。ビムラに帰るまでにはいくつかの国を通過しなければならずネ国境の関所に見とがめられ、通行を拒否されてしまう。融通の効かない相手に焦れたウィラードたちは腕試しとばかりに強行突破を計画しー。
ウィンター・ローゼに到着した第六皇女ヴィクトリアは、魔術を存分に使って温泉掘削をしたり、次々に新しいアイデアを出したりと、辺境開拓を進めていた。このまま順調に計画が進むかと思われたが、残酷な事件が起きてしまう。その事件の真相を知ったヴィクトリアは、街を観光業で発展させるためには娼館も必要なのではないかと、と思い至り、アレクシスには内緒で娼館設立のために動き始める。しかし、ヴィクトリア本人が帝都の娼館街に出かけたことを知ったアレクシスは、危険なことをしないでくれとヴィクトリアに怒ってしまう。二人は初めて衝突してしまうのだがー。
海水浴から王都に帰ってきたツカサたちは、貴族街がやけに静かなことに違和感を覚える。その翌日、ツカサのもとに診察の依頼が入り、患者を鑑定すると症状の欄に「硬直」の文字があった。足に切り傷があり、貴族街で何かを踏んだかもしれない、という証言をもとに貴族街で原因を探すのだが、見つからない。違うところを探してみようと思い貧困街に向かうと、最近体調を崩している人が多いという話を耳にする。そこで体調不良の人を鑑定してみると、なんとその人物も「硬直」が始まっているようでー。
リオンは剣術も魔法も治癒も一人でできる万能の勇者だった。そのためパーティを組まずに、たった一人で魔王を撃破してしまう。しかし、魔王が死ぬ直前に強力な呪いをかけられてしまい、一人であったことが災いして、そのまま命を落としてしまう。時は流れ、あるところにリオンという内気な貴族の少年がいた。気弱なリオンは傲慢な兄にこき使われる日々を送っていたが、ある日森でオーガに襲われた際に、前世の記憶を思い出す。それは、自分が勇者リオンであった記憶。前世の記憶を取り戻したリオンは、魔王のいない今世では自由気ままに生きようと思い、飼っていたスライムのスーラを連れて実家を出て旅に出る。最強勇者の悠々自適な冒険の旅がいま始まる!
聖騎士:アシュレたち一行は、荒廃した王国をあとに青く輝く海の向こう、カテル島を目指していた。法王庁の追及を逃れるための逃避行。それは聖騎士の資格を失い、家門が取り潰されかねない苦渋の選択だった。それでも、信じた仲間たちのため、アシュレは一歩を踏み出す。だが、その直後、激戦の傷と疲れから意識を失い倒れ込んでしまう。そして、ふたたび目を覚ましたとき、そこに待ち受けていたのは想像を絶する光景だったー。
ファタルに到着したサトコたち。先代様の「狩りの城」での、新しい生活が始まった。厨房にでんと鎮座するのは、おじいちゃんの立派な石窯だ。生地を手で捏ね、薪を燃やして、サトコとコジマは石窯でのパン作りに挑戦する。一方、近衛士たちは旅で負った傷がまだ癒えない。とくにアルゴは重傷で昏睡洗態、コズサ姫は一睡もせずにつきっきり。様子を見に行ったサトコは、そこで姫の本音を聞いてしまう。「エードの姫に生まれたことが一番の不始末じゃ!」。やがて回復したアルゴが目覚めるも、つきそった姫を差し置いて開口一番コジマを呼ぶ始末。腹を立てたコズサ姫は魔法で姿を隠してしまうのだがー。
生贄として召喚された異世界で、最強の水属性魔導士となったソーマ。アリスのあたたかさとアイザンの贖罪に救われ、水の大精霊として生きることを決意する。「戦争をなくし、不幸な子供たちを救いたい」。そんなアリスの夢を知ったソーマはアリスを愛し、世界を制することでその夢を叶えることを約束する。それは、「この世界から召喚魔法を消し去る」というソーマの目的を達成するためでもあった。アリスもソーマの冷たさの中にあるあたたかさと、そして強さの中の危うさに気がつく。ソーマの哀しさを救いたい…。互いに愛し合い、誓い合うソーマとアリスは、その夢のために新たなる人生を歩み出すのだがー。
クランバトルで『栄光の道』に勝利したリルドールたちはコロネルを取り戻し、クラン『無限の灯』として慌ただしく活動を続けていた。そんな折、リルドールは決闘で負けて追放されて以来、一度も戻っていなかった実家から呼び出しを受ける。そこで父親から、五十階層主討伐の褒賞として、叙勲の話が来ていると聞かされた。リルドールは家族との確執に揺れながらも、ようやく手にし始めた栄光に、明るい未来を思い描いていく。叙勲式当日。華やかなドレスを身にまとったリルドールたちはそこで、すっかり破壊され、血に塗れた会場を目にする。呆然とする彼女たちの前に現れた男は、コロネルの育ての親のような存在、クルクルだったー。
魔法学校に通うテテルはとても体が丈夫で、元気が取り柄の少女。しかしある日、そんなテテルが急に動けなくなってしまう。ナヴィラ族の特殊な体質はわからないことが多いようで、故郷の専門医に診せたほうがいいという話になり、フェリスたちはテテルを故郷に送り届けることになった。険しい山道を進みたどり着いたナヴィラ族の里で話を聞くのだが、テテルの体調不良はナヴィラ族の秘密に関わるということで、原因を教えてもらうことができなかった。友達を放っておけないフェリスたちはいてもたってもいられず、こっそりと長老の後をつけていく。長老が向かった先にあったものは、『叡智の樹』と呼ばれる天まで伸びる巨大な柱でー。
現代の噺家・楽々亭一福は、マドカピア王国でも変わらずに落語を披露し続けていた。一福を気に入っているモーニングラウンド王は、正式に宮廷ハナシカにならないか、と持ち掛けるのだが、一福はその誘いを断ってしまう。「自分は落語をやるだけ」というスタンスを頑なに崩さない一福に疑問を抱いたアヤメは、闇魔法を使って寝ている一福の過去を覗き見る。そこに見たのは師匠の七福や弟弟子の多ら福とともに、平和な世界で落語を披露している一福の姿だった。しかし、一福の幼馴染の女性、小春の婚約を巡って、事態は想定外の方向に動いていきー。
大穴へと落下していったサビトガ達は、地底で『魔王』と相対した。操られた少女を救うため、サビトガ達は魔王に立ち向かうのだが、刺されてもなお生きている自然の摂理を外れた姿を見て、魔王は「不死の水」を飲んで不死者になった者だと、少女は推測する。魔王が告げたのは、島に存在する全ての『魔の者』を駆逐すること。それこそが不死の水を手に入れる方法だと言い、魔王は消え去った。サビトガ達はその言葉を訝しみつつも、ひとまずは島の探索を続けていく。同じ頃、魔の島の案内人のもとに、白装束の男達が現れる。男が魔の島に案内した人物は「ルイン連邦史上、最悪の殺人鬼」であると言い、咎人に手を貸したことを追及する。殺人鬼を追って来た白装束の男達は、自分達も同じように魔の島へ案内するように求めていてー。
妹と母を失い、殺伐とした生活を送っていた中畑蒼馬。ある朝、蒼馬は魔法と精霊の存在する異世界の村に召喚されてしまう。「雨をやませるために、水の大精霊の生贄になってほしい」。理不尽な願いと暴力を受けて湖に沈められた蒼馬は水の大精霊アイザンと出会う。そこで、行方不明となった妹も生贄として召喚され、殺されていたことを知る。蒼馬の人生を壊してしまった贖罪として、アイザンは大精霊の力を捧げることを決める。蒼馬は『水を支配する能力』をもって復讐を果たし、召喚魔法をこの世界から消し去ることを決意。そして、記憶喪失の超高位魔導士『ソーマ』として生きるのだがー。
「私たちはね…異世界に、トリップしたんだよ」。実家のパン屋ごと異世界にトリップしたサトコ、18歳。「大きな地震のたびに先祖代々トリップしてる」と母に聞かされ、大混乱!戸惑うサトコをよそに、15年ぶりの営業にお店は満員御礼の大賑わいだった。ある日、配達先のお城でサトコは一人の美しい姫君・コズサ姫と出会う。“王の中の王”への輿入れをひかえたコズサ姫は、悪い魔法で子どもの姿に変えられてしまっていた。天下泰平のためのこの縁組、実現させないわけにいかない。相手は悪の大魔法使い、このままでは姫の身が危ないと遠方に避難することになるがー。「一緒に来てほしいのじゃサトコどの!旅先でもそなたの焼いたパンが食べたい!」
青年アシュレは、「聖遺物」の管理に励む若き聖騎士。ある夜、保管庫が襲撃され、ふたつの聖遺物が強奪されてしまう。それは美しき夜魔の姫シオンの犯行だった。アシュレはシオンを追跡するも、辿り着いた廃王国は人外魔境と化していた。そこで、幼なじみで従者でもあるユーニスと離れ離れになってしまう。窮地に追い込まれたアシュレが死を覚悟した瞬間、この事件の発端であるシオンと、土蜘蛛の男イズマに救い出される。一時的に共闘関係を結んだ三人は、ユーニスを救い出すべく行動を開始するのだがー。いま、若き英雄の旅立ちが始まる。
外部学習で解放軍の襲撃を受けてから数日。アスラたちを襲った精霊アルタイルは、学園長ゼミールのもとで保護されていた。任務に失敗した以上、今解放軍のもとに戻っても精霊の力を奪われてしまうだけだと言い、知っている情報を喋るので匿ってほしいと懇願する。さらに、自身の強力な力をアピールして、アスラと精霊契約をしたいとまで言い出す。契約すべきかどうか悩んでいると、今世間を騒がせているという怪盗の話を耳にする。その怪盗は魔法研究所から情報を盗み出し、解放軍に売っているのではないか、という疑惑が持たれている。つい先日予告状が届いたらしく、アスラたちは魔法研究所の警備に駆り出されるのだがー。
銀翼騎士団の活躍により竜魔王は倒され、人類と竜魔人との長き戦いに終止符が打たれた。竜魔王が倒された今、次に必要なことは各地に残る竜魔人の残党を倒し、平和を守ることだと考えた騎士団長のフェリクスは、個人で世直し旅に出ようと考える。身分を穏すための幻影魔導が使える魔導師シルルカとともに地方を目指して城を発ったが、彼らの旅立ちを知ってついてきた少女リタも加わり、各地の名産品の料理に舌鼓を打ったり、温泉でくつろいだりしながら、三人は魔物を倒して小さな村の人々を救っていく。最強の騎士団長と獣人美少女たちの冒険の旅が、いま始まる!
魔晶石の補給と報酬を受け取るため、絶国アルトゥーリアへと立ち寄ったガングレイブ傭兵団。そこは魔工師の楽園ともいわれるほどに技術が進んだ先進国であり、かつてリルがそこの魔工研究所に所属したいと夢見たほどであった。ガングレイブたちが依頼された仕事の報告も兼ねてアルトゥーリア城を訪れると、その場にいた次期国王となる王子のフリュードが、アーリウスを自分のモノにすると言い、連れ去ってしまう。傭兵団は当然アーリウス奪還のために動き始めるが、周囲は吹雪で悪天候。たとえ城に侵入してアーリウスを奪還しても、強行突破して国を脱出するには不利な状況。シュリたちは武力を行使しない方法がないかと、策を練るのだがー。
巡礼の滝から落とされたカズキとルーナは洞窟で目を覚ます。どうにか一命をとりとめた二人は、迎えに来た住人に案内されてとある場所に辿り着いた。そこは、驚くほどのどかで、大人も子供もいる小さな村だった。どうやら巡礼の滝から落とされて生き延びた人たちが集まって、村を築いたらしい。ルーナと兄妹という設定にしてしばらくそこで暮らすことになったカズキは、一緒に料理をしたり、同じベッドで眠ったりと穏やかで幸せな時間を過ごす。一生この平穏な時間を過ごしたいと願いつつ、再会を約束したアリス達の元へ戻らなければいけないと、二人は帰る手段を探すのだが、住人たちは、村からは決して出られないと言いー。