出版社 : 朝日ソノラマ
西暦一八二五年-文政八年、秋。長崎の町は、“おくんち”に沸いていた。だが、異変は祭が最高潮に達すると同時に起こった。龍踊りの龍がまるで生ある物のごとく暴れだしたのだ。しかし怪物と化した龍は、突如出現した侍姿の異人の一撃によって粉砕された。銀の燧石銃を操る謎の紅毛異人とは何者?怪物となって踊った龍の正体は?折しも鳴滝塾では、塾生の発見したこの世の物ならぬ生物の腑分けが、シーボルト執刀のもとで行われようとしていた。開国間近い日本の窓=出島長崎の舞台に、吸血鬼ドラキュラを倒すことになる男=ヴァン・ヘルシング教授の若き日を描く伝奇時空ロマン。アカデミズムとエキゾティズムにあふれる気鋭の新シリーズ、堂々ここに開幕。
虚空王迎撃のため、“破壊魔”ダイゴと“妖姫”アケビは辺境星区へと向かい、第二次辺境護衛艦隊司令リューベックは伝説の“プレストン教授の船”に乗り込んだ。一触即発の包囲網の狭まるなか、虚空王は“コアの形なき宝石”と呼ばれる三角錐に秘められた“宇宙を制する仕組み”の解明に取り組んでいた。
円空山で傷ましい獣の身を横たえる大鳳を救うには、ソーマと9番目の月のチャクラの解明を急がねばらならなかった。雲斎は巫炎の情報をもとに月のチャクラの活性化を試み、道潅と九十九は紀伊の山中で吐月に、雪蓮について質していた。問いに応えて、吐月はふたりに、20年前のチベットでの体験を語った。狂仏と外法絵と陳岳陵という中国人の名前を持つ日本人にまつわる思い出を-。
明治2年5月18日、新政府軍の猛攻の前に蝦夷共和国総裁・榎本武揚は投降を余儀なくされ、五稜郭開城と共に箱館戦争は終結した。しかし新政府は敗残兵を厳しく追及し、残賊討伐隊が原野を駆けめぐった。共和国軍の若き遊撃隊士・志波新之介は、追っ手を逃れてアイヌの民と交わるうち、榎本武揚の隠した軍資金十八万両の噂を耳にする。スペンサー・カービン銃に秘められた手がかりとは。敗残兵に討伐隊、そして軍資金を狙うならず者たちが跋扈する開拓期北海道を舞台に展開する、蝦夷地アクション。
俺の名は饗庭仁。組織の仕事は引き請けない自称泥棒の段取屋だが、ケチな仕事で留置場の厄介になっていた俺を釈放させた鶴見グループのはねっかえり娘・葉子は、とんでもない交換条件を持ち出した。そんなわけで俺こと仁は、宇宙に浮かぶスペースラボ〈アグネス〉目指しシャトルに乗って飛び出したんだが…。
不帰伸介が目覚めた時、妻の麗子は隣のベッドで死んでいた。木の杭に胸を貫かれ、灰と化したのだ。犯人は自分たちを斃す方法を-自分たちの正体を確実に知っていたのだ。愛する者を失った不帰は“組織”には連絡せず、復讐に立った。そして、限られた一晩の闇に賭けた。新感覚のネオホラー・シリーズ第2弾。
辺境星区で工場群や輸送船団が襲われ、一瞬のうちに壊滅する事件が瀕発した。人類文明の科学力を遥かに超えるパワーを持つ兵器を駆使したこの一連の攻撃は、“虚空王”と名乗る謎の人物の手によるものだった。全銀河文明に限りない憎悪を抱くスーパー・ヒーローの復讐の旅が、ついに開始されたのだ。
東京・バンクーバー間に就航した、超豪華飛行船「飛鳥」。その記念すべき初飛行の日、キャビンは明るく華やかな空気で満たされていた。だが、その中にひとり、苦悶に表情を歪めた男が、不吉な風が吹く時を今や遅しと待っていた。晴れた空に静かに浮かぶ、全長500mの巨大なエア・シップ。それを支配する者は誰か?そしてその目的は?息をもつかせぬ展開でおくる冒険活劇登場。
男は吸血鬼であった。だが男は、吸血鬼であるよりも“人間”に近い存在でありたいと願い、ガソリンスタンドの夜勤を終えると、少しずつ朝日を浴びるのを日課としていた。男の名は執行といった。だがある夜の強盗事件が、男の運命を変えてしまう-。吸血鬼たちの闇の町・星宮市に展開するネオホラーアクション。
緑の肌を持つ少女-マリコ。彼女の身体にいったい何が起こったのか。折しも古代植物GOTTの発芽に成功していた堂乱=丸山の2人は、マリコの皮膚に共生する葉緑体の正体を明らかにするため、四国の西城研究所に赴くが、2人を待っていたのは、あまりに巨大な人類進化の謎だった。衝撃の新人デビュー作。
オルクス艦長アバルト・ハウザーと、経理部長シモーヌ・トレファン。三流弱小企画のボロ戦艦オルクスにあって、二人は時に百年来の仇敵のように衝突し、時に無二の同志のごとく団結して目的-平和な地球の侵略-に向かってきた。だが、ついに決裂の刻が来た。双方の意地の張り合いと周囲の思惑によって、シモーヌが退職、見合い、結婚への一本道を驀進しはじめたのだ。
遥かな過去、天から降り立った者=〈天上人〉の支配に服すか否かで分かれた人々は、長大な〈万里堰〉で互いを隔てて生きてきた。だが突如、〈天上人〉の新型兵器“銀竜”が〈堰〉を破り、支配を拒む〈龍の七部族〉のひとつ、晃家に攻め入る。晃家の城は滅び、公子デュオンは盲目の妹姫ルビアを連れて友邦へ落ち延びた。〈堰〉を挾む世界の危うい均衡が、破られようとしていた。
俺の名はカル。相棒のブラ、オーガロイドの美少女ユイノとともに宇宙を翔ける泥棒だ。俺達は惑星グフィンで三度仕事を試みたが、すべて謎の五人組に先を越された。その上、戦闘服姿に変身する保安官は出るわ、無実の罪は着せられるわ、知り合った女のコは攫われるわと散々。が、事の元凶は都市の陰の支配者ボネットだと判った。こうなりゃ、奴と本気でやるしかないぜ-。
久鬼玄造邸で傷を負った大鳳吼は、キマイラ化したまま、円空山で深い眠りに落ちていた。八ケ岳に移された久鬼同様、そのまま獣と化すか、人にもどれるかの、ぎりぎりの段階までキマイラ化は進んでいる。雲斎の要請で、道潅と九十九は高野山に登った。吐月に会い、雪蓮の民の行方を知るためである。ソーマでキマイラ化を抑える方法を知ろうとする、雲斎の必死の試みだった。
白由希女子学園修学旅行御一行様として、和美とシェラ、ナミ及び教生・河合美亜は雅の古都・京都を訪れていた。古寺名園巡りに枕投げ、深夜の集団脱走と、それは多少退屈ながらも学園生活を彩る罪のないイベントであった。-天才司令官にして倒錯美少年のニコラスが、ハウザーへの雪辱に燃えて再び現れるまでは。なんとニコラスは京都ならびに修学旅行の制圧を敢行したのだ。
平和な日本に今日も強大な敵が来襲した。衛星軌道上に陣取る侵略者のミサイル攻撃をものともせず、謎の火吹竜が隆り立ったのだ。米大陸とヨーロッパを次々と恐怖に陥れながら飛来した怪物は、兵器か生物かはたまた怪獣か?宇宙人の秘密兵器すらはねのけた怪物を相手に、エリアルは闘う策があるのか?企業生き残りを賭けたハウザーの闘いと書下しも加えた待望の第4巻。
凍てついた最北の海辺の村フローレンスに、待ち望んだ夏が訪れた。わずか一週間の夏。その束の間の歓びを噛みしめる村人の顔には、だが、どこか翳りと怯えが秘められていた。村のはずれには、かつて人間に暴虐の限りをつくした後、旅の男に滅ぼされ海に封じ込められたと言い伝えられる貴族、マインスター男爵の城跡がある。その伝説の貴族は、夏になると姿を現し、飢えを満たすのが常だったからだ。三人の若者が貴族の犠牲となった夏の第一日目、連合戦線を張った戦闘士らは、一気にDに襲いかかったのである。壮大なスケールと圧倒的な迫力でおくる〈D-北海魔行〉完結編。