制作・出演 : エサ=ペッカ・サロネン
最高の音で楽しむために!
バティアシュヴィリのDG移籍第1弾。ソ連邦下、何らかに抑圧を受けた作曲家の特集という、バティアシュヴィリならではのコンセプトに貫かれたアルバムだ。彼女の意欲がほとばしる注目作だ。
甘すぎず、辛すぎず、程よい味わいのグッド・バランスな曲たちは自作自演にして秀演。指揮者デビュー時の筆者の取材でも、作曲家としての存在を第一に主張していたサロネン。旺盛なる創作意欲の発露であり、仲間たちの共演を得てひとつの理想が具現化した。★
シェーンベルクは、さらなる深みに踏み込める可能性を残しつつも過去最高の完成度と言うべき切れ味。シベリウスでは、人口に膾炙しつつも実はしたたかに込み入ったこの作品のテクスチュアを徹底して描き出している。サロネンのサポートは、まさに目利きの仕事ぶり。★
楽譜も読めなかった少年・カイが、ショパン・コンクールに出場するまでに成長する過程を描いたアニメ映画『ピアノの森』のサントラ盤。本編に使われたピアノ曲が中心の選曲で、コンピレーション・アルバムとしても楽しめる。
TVドラマ化された『のだめカンタービレ』のキャラクター別コンピレーション・アルバム。本作には、ミルヒーこと指揮者フランツ・フォン・シュトレーゼマンと、彼の仲間たちにまつわる楽曲が収録されている。
シリーズ第2弾として『イマージュ』ブランドの本流を感じさせる印象派が登場。全て70分以上収録の2枚組で、このブランドらしい遊び心を期待していたら、意外なくらい手堅い演奏と選曲。作曲家篇と『印象派』で重複する曲は必ず編成を変える微妙な芸の細かさも。
リフレクションとは男と女の微妙な心模様の謂いであろうか。シューマン夫妻とブラームスのモヤと熱い作品に想いを馳せたグリモーのアルバムは、ほのかな忍従の物思いというよりは、抑えきれず昂ぶりゆくココロの様を照射したかのごとく、何やら烈々と焚きつける。
ヒンデミットの作品の中では有名で親しみやすい3曲が選ばれている。サロネンと手兵ロス・フィルによる、精緻でダイナミックなアンサンブルが、ヒンデミットの音楽世界を、活きいきと描いている。
ベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章のテーマを基にしたコリリアーノやバッハの引用があるペルトなど、DG移籍第1弾にあたるグリモーのアルバムは、かなりユニークな選曲になっている。「テンペスト」は、自由な息づかいと力強さを兼ね備えた演奏だ。★
ロスアンゼルスpoの音楽監督であるサロネンの作曲作品を集めたアルバム。現代音楽にしては調性感もあって聴きやすいが、よく弾む敏捷なリズム感とどことなくクールな感触が漂うあたりに、指揮者サロネンの芸風と共通したものが感じられるのが興味深い。