制作・出演 : イェフィム・ブロンフマン
まったりと歌われ重厚な『スター・ウォーズ』など、いかにもこのオケらしく思わずニヤッとしてしまうが、ともあれこれは、“月・惑星・星”をテーマとして開催された、ウィーン・フィルによる夏の夜のコンサートのライヴ。このオケとしては珍しい曲が並ぶ。
『ルガーノの奇跡』などのアルバムに収められた楽曲から、2台ピアノのみを集めたもの。初出ではCDプレーヤーに悪影響があると言われたコピーコントロールCDだったが、これは通常盤。並のオーケストラ以上の迫力と表現力を持つデュオ。特にディスク1が凄い。
ともにライヴ。渋く厚みのあるオケに乗ってブロンフマンもしっかりと弾いているが、熱くなりすぎずに一定のレベルにとどめているところがいい。ヤンソンスも血を受け継いでいるせいか、特に交響曲の方はロシアのオケのような巨大な岩石のような音がする。
TVドラマ化された『のだめカンタービレ』のキャラクター別コンピレーション・アルバム。本作には、ミルヒーこと指揮者フランツ・フォン・シュトレーゼマンと、彼の仲間たちにまつわる楽曲が収録されている。
名門ジュリアード弦楽四重奏団にとって初めてのショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲の録音。彼らのしなやかであたたかい音で描かれたショスタコーヴィチには、人間味が感じられる。ピアノ五重奏曲でのブロンフマンの演奏はさすがに洗練されている。
スターンが70歳代前半で録音したモーツァルトのソナタ集。さすがに指のコントロールが十全ではなく、緻密さが失せてしまっているが、音楽に対する愛情は衰えていない。禅僧の一筆書きのような、おおらかにしてシンプルな巨匠の晩年の境地を示す録音。
アルゲリッチと気のおけない仲間たちのアンサンブルを収録した3枚組セットである。シューマンのピアノ五重奏曲のように、一発勝負のライヴ録音であるが故に、合奏の緻密さよりも勢いが表立った演奏もあれば、ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番のように、既発売の盤より引き締まった演奏も収録されており、彼女のファンにはこたえられないセットだろう。デラハントがピアノを担当したドヴォルザークのピアノ四重奏曲第2番が、音楽を無理なく息づかせ、ノスタルジックな色合いをも大切にした名演である。
ブロンフマンがヴィルトゥジティを存分に披露できる曲を選んでいる。ムソルグスキー、ストラヴィンスキーともに高度なテクニックと豊かな音楽性が最高に発揮された演奏。
“豪華絢爛”の代名詞のごとき「イスラメイ」もブロンマンが弾くと、何となく暗さが漂い、内省的であるから不思議。この曲はものすごい難曲だが、“テクニックひけらかしのみ”とは無縁の、演奏者の音楽的意図がよくわかる演奏。チャイコフスキーも佳演。
ブロンフマンのよるプロコフィエフのピアノ・ソナタ9曲の録音がこれで完結。相変わらず見事なタッチで弾き進むが、以前よりも余裕が感じられ落ち着いた演奏になった。勢いとスリルから成熟へ、というところだが、それならばこの一本調子も何とかしないと。