制作・出演 : キャサリン・ジェンキンス
クラシカル・クロスオーヴァーのヴォーカリスト、K.ジェンキンスのワーナー移籍第1弾。D.フォスターのプロデュースを得て、キャリアを積んで一段と深化したジェンキンスの新境地を聴くことができる。
詩人でもあった故ヨハネ・パウロ2世が、若いころに書いたと思われる詩に、何人かの作曲家が付曲した作品を集めたアルバム。ドミンゴが企画し、共演者も選んでいる。曲は宗教曲ではない。クラシカルな雰囲気を持ったポピュラリティのある曲調で、クロスオーヴァー・アルバムとして楽しめる。
2004年から2008年までの音源によるベスト盤で、「一晩中踊れ」「あなたのために」が国内初登場トラック。幅広いジャンルの作品を歌いながらも、基本的なアプローチは正統派のメゾ・ソプラノだということが、2007年以降の録音で良くわかる。美質の方向性から、キリ・テ・カナワのフォロワー的な位置を得ていくべき人だろう。
さまざまなカテゴリーから“聖歌”を集めた6枚めのオリジナル作。(4)や(10)以降の曲目が、クリスマス企画とは一味違うひねりを加えている。彼女の声が持つ柔らかな表情や、心に届く表現の源が、ウェールズでの聖歌隊体験にあることが無理なく伝わってくる好盤だ。
彼女の歌には、十分なテクニックによる美声と、現代の聴き手の感覚を十分に理解する聡明さという二つの顔がいつも感じられる。そして、一歩引いてメロディを立てる美意識がそれらを統合する。初のベスト盤は美メロ揃い。広く受け入れられるゆえん。
ちょっと湿り気味の美声と、誇張のない歌がチャーミング。クラシカルな品格も高く、音域こそ違うが、キャスリーン・バトルを思い出す。録音ディレクションには本人も参加し、オーケストラと声の別録りによって十分なゴージャス感を確保。現代的な感性が光っている。★
UKクラシック・チャートで8週連続第1位を記録した、ウェールズ出身のメゾ・ソプラノ、ジェンキンスのUKデビュー盤。声を張らないナチュラルな発声が、柔らかな温もりと包み込むような優しさを感じさせて心地よい。安らぎと親近感を覚えるハート・ウォーミングな一枚。