制作・出演 : グレン・グールド
1956年に発売されたグールドによる「ゴールドベルク変奏曲」のレコードは、世界中にセンセーションを巻き起こしました。以後も孤高の天才グールドは、数多くのバッハ作品を録音し、現代人の共感を呼び起こすバッハ演奏で一時代を築き上げました。このアルバムは、彼が愛奏したバッハの作品から、やさしく親しみやすい作品をグールド自身が選んで編んだもので、グールドのバッハ宇宙をはじめて体験する人にとってもかっこうの1枚となっています。
その後数々の伝説をつくりあげることになるピアニスト、グレン・グールドの記念すべきデビュー・アルバムは、モノラル録音によるバッハの「ゴールドベルク」です。このアルバムにおける演奏は、当時の、そしてもちろん現代の聴き手の心を確実に捉えて離さないものです。グールドといえば「バッハ」であり、そして「ゴールドベルク」ですが、彼のすべての表現の第一歩となったこの録音を聴かずしてグールドは語れません。「ゴールドベルク」に始まり、「ゴールドベルク」に終わった彼のディスコグラフィのなかでも、もっとも重要な1枚です。
1955年にこの作品のセンセーショナルなパフォーマンスを収めたアルバムでデビューを飾ったグレン・グールドは、26年ぶりに斬新で魅惑的なこのデジタルによるステレオ・スタジオ再録音を残し、唐突に世を去りました。まさに鬼才・グールドの墓碑銘といえる永遠の名盤です。
わずか50年の人生を疾走した孤高の天才グレン・グールドの芸術の精華は、生涯にわたって演奏し続けた大バッハの音楽とされています。このアルバムでグールドは、教育用音楽と考えられていた「インヴェンションとシンフォニア」に新たな生命を与えたといえるでしょう。録音に使用したピアノは第二次世界大戦以前のスタインウェイCD318で、グールドがバッハの演奏に不可欠と考えていたノンレガートの特性が見事に生かされた名演奏となりました。カップリングのイギリス組曲はバッハの生きる喜び、音楽の喜びが溢れている軽やかな舞曲集で、グールドはここでは愉悦に満ちた生き生きとした演奏を聴かせます。
1955年にJ.S.バッハの「ゴールドベルク変奏曲」でセンセーショナルな録音デビューを飾ったグレン・グールド。彼は以後バッハ作品を次々に録音していきましたが、ピアノ音楽の「旧約聖書」であると言われている「平均律クラヴィーア曲集」を1962年から約10年を費やして完成させました。本作はその全集からの抜粋版です。研ぎ澄まされた感性が美しく描き出すバッハの小宇宙は、聴く者に新たな発見を促すに違いありません。
このアルバムは、バッハの作品の中でも、しばしばピアノ学習の教材として使われることが多い曲ばかりを収録しています。ゴールドベルク変奏曲や数々の組曲に比べると鑑賞用としては軽視される傾向にありますが、しかしグールドの手にかかれば、素晴らしい魔法のような輝きをもって響き始めます。晩年のグールドが到達した境地が、小品にもしっかり刻印されています。ボーナストラックとしてアルビノーニの主題によるフーガ、半音階的幻想曲、幻想曲なども収録しています。
グールドが珍しくオルガンを演奏した「フーガの技法」では、彼がこよなく愛したフーガを演奏するときの愉悦にあふれた素顔を垣間見せてくれます。さらには、1981年春収録の映像作品「バッハ・シリーズ」において、ピアノで演奏したフーガの技法(第1・2・4・14番)、またマルチェルロの主題による協奏曲、イタリア風アリアと変奏 といった珍しい貴重な録音もボーナストラックとして収録しました。
芸術家人生の大半を、ひとりスタジオで生きたグールドが遺した膨大な量の録音は、時間の経過とまったく無縁のように、常に新鮮な感動を聴くものに与えてくれます。グールドというとバッハが有名ですが、1960年に録音したブラームス晩年の作品から間奏曲ばかりを集めたグールドの隠れた名盤です。郷愁と渋いロマンに満ちたブラームス晩年の枯淡の境地をグールドが慈しむように演奏しています。カップリングには、グールド最後の録音となったの82年録音のブラームス「バラード集」と「2つのラプソディ」から抜粋、瑞々しい詩情に満ちあふれた佳作です。
音楽的にはまったく正反対の二人が、互いに相手の希有の才能を見抜き、尊敬し続けた。その最初の出会いと共演……それが1957年のコンサートだった。全身全霊で紡ぎ出していく若き日のグールドにカラヤンが触発される……まさに歴史的な演奏となっている。
制作・出演
TerryHolowach / エルマー・セッツァー / カート・レーベル / グレン・グールド / シンフォニア弦楽四重奏団 / トマス・リベルティ / トム・ブレナンド / トロント交響楽団のメンバー没後25年を経て、なお輝きを失うことのない天才ピアニスト、グレン・グールド。1955年のゴールドベルク変奏曲をはじめ、彼の多様な音楽へのアプローチを2枚のCDに収めたアルバム。芥川賞作家の平野啓一郎が、グールドへの愛着を特別寄稿で語っている。
楽譜も読めなかった少年・カイが、ショパン・コンクールに出場するまでに成長する過程を描いたアニメ映画『ピアノの森』のサントラ盤。本編に使われたピアノ曲が中心の選曲で、コンピレーション・アルバムとしても楽しめる。
「唯一無二の演奏録音を弄ぶ」と思うのか「新時代の演奏再創造の階」と捉えるべきなのか。優れた演奏再現プログラム(ゼンフ)とヤマハ製ハードのコラボが提起した“リ・パフォーマンス”の意義は無視できない凄さだ。グールドの息遣いとコメントがききたい。
フジテレビ系TVドラマ『のだめカンタービレ』で使用されたクラシック楽曲を、著名な演奏家による名演で網羅したコンピレーション。クラシック初心者にも、愛好家にも楽しめる作品に仕上がっている。
大評判をとったTVドラマゆかりの企画盤。とはいえ、音源は放送使用のものではなく、ライナーも一色刷り二つ折りで、中身はしごく普通の楽曲解説と、楽しそうな外面に比べて内容はちとサービス不足。サワリだけ収録の“特別ヴァージョン”音源が唯一のオマケ要素。
「フーガの技法」では、珍しくオルガンを使用して、巨大で複雑な未完の晩年の傑作を再構築した。一方「インヴェンション」では、教育用音楽の枠を大きく超え、その芸術性の高さを見せつけた。