制作・出演 : コリン・デイヴィス
デイヴィス/エニグマ変奏曲、ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番 コンドラシンの急逝もあり、クーベリックの後任はなかなか決まりませんでしたが、1983年、少し前にバイロイトで成功を収めてドイツでも人気上昇中のコリン・デイヴィス[1927- ]がバイエルンの首席指揮者として迎えられることとなりました。当時、デイヴィスはロイヤル・オペラの音楽監督のほか、ボストン交響楽団の首席客演指揮者も務めていましたが、バイエルン着任後は集中的に同楽団を指揮、演奏会にレコーディングに目覚しい成果をあげることとなります。そうした事情もあってか、1980年代の終わりになるとデイヴィスは再建なったドレスデンのゼンパーオーパー(ドレスデン国立歌劇場)のオーケストラであるシュターツカペレへの出演が増え、やがて名誉指揮者兼オペラ担当となり、10年目の1992年にはバイエルンの首席を辞するのですが、その後もマーラーの8番などで素晴らしい共演を聴かせていました。 このアルバムには、有名な『エニグマ変奏曲』と、知名度は低いながらも充実した内容を持つヴォーン・ウィリアムズの交響曲第6番という2曲の英国レパートリーが収録されています。 着任の年の『エニグマ変奏曲』は、時期的には1965年と2007年のロンドン響との録音の中間に位置するものですが、ドイツのオケだけに響き具合の相違なども興味深いところ。もちろん、演奏内容は文句なしです。 ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第6番は、戦中から戦後にかけて書かれ、同じく戦争交響曲として知られる第4番の世界の再現・発展形ともとれる過激で凶暴な迫力に満ちた音楽が強烈な傑作。テナー・サックスが醸し出す退廃的な雰囲気、連打されるバスドラの迫力が印象的なこの交響曲に、ライヴで燃えるデイヴィスが激しいアプローチで迫ります。 【収録情報】 ・エルガー:『エニグマ変奏曲』 録音時期:1983年12月14日 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール 録音方式:ステレオ(ライヴ) ・ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番ホ短調 録音時期:1987年4月30日,5月1日 録音場所:ミュンヘン、ガスタイク、フィルハーモニー 録音方式:ステレオ(ライヴ) バイエルン放送交響楽団 サー・コリン・デイヴィス(指揮) Disc1 1 : Elgar: "Enigma" Variations, Op. 36: Introduction [01:25] 2 : Variation 1: C. A. E. (The Composer's Wife) - [01:56] 3 : Variation 2: H. D. S. P. (Hew David Steuart - Powell) [[44] 4 : Variation 3: R. B. T. (Richard Baxter Townshend) - [01:28] 5 : Variation 4: W. M. B. (William Meath Baker) - [[30] 6 : Variation 5: R. P. A. (Richard Penrose Arnold) [02:20] 7 : Variation 6: Ysobel (Isabel Fitton) - [01:33] 8 : Variation 7: Troyte (Troyte Griffith) - [01:01] 9 : Variation 8: W. N. (Winifred Norbury) - [01:43] 10 : Variation 9: Nimrod (A. J. Jaeger) - [04:05] 11 : Variation 10: Intermezzo: Dorabella (Dora Penny) - [02:53] 12 : Variation 11: G. R. S. (George Robertson Sinclair) - [01:03] 13 : Variation 12: B. G. N. (Basil G. Nevinson) - [03:00] 14 : Variation 13: Romanza: *** (Lady Mary Lygon) - [02:51] 15 : Variation 14: Finale: E. D. U. (The Composer) [04:55] 16 : Vaughan Williams: Symphony No. 6: I. Allegro [07:11] 17 : II. Moderato [11:15] 18 : III. Scherzo: Allegro vivace [06:07] 19 : IV. Epilogue: Moderato [11:47] Powered by HMV
ベルク:ヴァイオリン協奏曲、管弦楽のための3つの小品 クレーメル、コリン・デイヴィス 【収録情報】 ・ベルク:ヴァイオリン協奏曲 ・ベルク:管弦楽のための3つの小品 op.6 ギドン・クレーメル(ヴァイオリン) バイエルン放送交響楽団 サー・コリン・デイヴィス(指揮) 録音時期:1984年3月、1983年12月(op.6) 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール 録音方式:デジタル(セッション) 原盤:PHILIPS Powered by HMV
キーシンが30代半ばに満を持して録音したベートーヴェンのピアノ協奏曲全集。細部の彫琢、細やかな表情、それに堅固な構築力を見せつけて、すでに大家の風格を備えている。C.デイヴィスとLSOによるバックも万全。
これは待望のアルバムである。キーシンの協奏曲ものはエキサイティングになるのは必定。結論から言えばそれ以上の出来。というかキーシンの芸域はさらに深みを増した印象がある。演奏における風格と興奮は必ずしも共存しないものだが、このベートーヴェンにはそれがある。いわば巨匠的な絶対的価値観や品格に、聴き手の誰をも引き込ませずにはおかない鮮烈な表現が加味されている。もはや現代では鬼に金棒。とりわけ第1番、そして第3番と第4番が素晴らしい。しばらくはこれを凌ぐ全集など考えられなくなる。
たっぷりのロマンティシズムが、現代的に隅々まで整理された音響の中から沸きあがってくる演奏で、その意味ではモーツァルトもシューマンも高次に同化された音世界が現れる。(元)RCA演奏者&制作+(元)デッカ録音=EMIと、今のご時世も聴こえる!
“いいとこどり”シリーズがさらに進化(?)。トラック数は78+1だが、53の「インデックス」を駆使して、全132トラックをズラリ並べる。が、ちゃんと耳を傾けてしまうと、欲求不満になるのは確実。元曲がコンパクトな分だけ、なんともカユイ仕上がりとなった。