制作・出演 : サカリ・オラモ
オラモ/CBSOによるフォールズ作品集の2作目。英国内でも過小評価されている作曲家の、多彩な様式感と先進性が洗練された演奏表現で示される。ドノホーのソロを含め精緻なアンサンブルでこうした作品の美質を見事に引き出すオラモの力量には感服。
ラトルの後を受け、完全にバーミンガム市響を掌中に収めたオラモの、初のマーラー。バーミンガム市響は、オラモの手によって、ラトル時代とはまた違った輝きをみせ、卓越した演奏解釈が味わえる。
本来の土臭さが針葉樹林の凛とした空気で置き換えられた風なバルトーク。スコアの見通しは良好、独特のハーモニーの重なりも明瞭、爽快な秀演だ。眼鏡を外して髪型を変えたオラモ、オケもデビュー時からの盟友フィンランド放響に変えての好取り組み。★
ルガンスキーは若々しいパワーを存分に発揮しつつも、単にガンガン叩いてなるものかという彼自身の厳しさもひしひしと聴き手に伝える。オラモもそれに同調し、甘さを控えめにした、大人の味を展開している。第2番も良いが、第4番がいっそう良いかもしれない。
イギリス近代の音楽というと、どこか過激先端を避けて音の肌触りを独り楽しむ風情があるのだが、20世紀初頭を生きたフォウルズの音楽は時代と角逐する鮮烈な響きの意匠があって清新。インド音楽やケルト音楽を取り込んだ作品など、今を先駆けしているようだ。
交響曲全集の完結編。清冽な泉のような第6番と余分な贅肉をそぎ落とした第7番に対して、オラモは十分にエネルギッシュでありながら、緻密に練り上げた注目すべきアプローチを展開。ただし、その若さのゆえにか、初期のナンバーほどの大成功は収めていない。
エラートで出た3枚はいずれもソロだったが、今回は協奏曲。若々しく輝かしく、流麗でしなやか、指を鍵盤上で動かすのが楽しくてしょうがないといった風情である。けれども、決して浮つかない。伴奏もきっちりと引き締まった、清新な響きが心地よい。
グリーグ作品集での丁寧な音づくりが評価された、指揮者サカリ・オラモの壮大なシベリウス。巨大なスケールとドラマティックな音楽性、そして壮烈なクライマックスが胸を打つ感動のライヴだ。