音楽むすび | 制作・出演 : シューベルト

最近の演奏家が、フレーズのものすごく細かいワザにこだわったり、一分の隙もないアンサンブルを見せたりして、それがうっとうしくて、もう少し普通に音楽できんか? などと思う人にはこのホルショフスキー先生とブタペストSQのシューベルトを。

かのクライバーの代役(!)として、今年の3月、15年ぶりに実現したヴァントとBPOの顔合わせ。そのライヴが早くも登場したが、実に見事な演奏である。克明な細部や凝縮された表現、強固な意志もさることながら、これほど徹底的なオケの管理は近来マレだ。

アーメリングが心身ともに充実していた頃に録音された珠玉の歌曲集。寄せ集めではなく、シューベルトのリートによる彼女のリサイタルを聴く、という趣向のオリジナル・アルバム。清楚な声でしみじみと歌われる曲の数々に時のたつのも忘れそうである。

(2)にはセルが亡くなる直前、'70年のすばらしい再録音があるので(東芝TOCE7106)これは(1)をきくべきもの。透明でクリスタルな音色、一糸乱れぬアンサンブルは見事で、巷間いわれるほど、冷たい印象は与えず、名演だ。(2)は音像がモノ的で表情もカタい。