制作・出演 : ピエール=ロラン・エマール
ストレスが多くて眠れないアナタ、深酒しすぎてかえって眠れないアナタ、そんな不眠症の方や、不眠症一歩手前の方のためのアルバム。副作用なしのクラシックの名曲が眠りにそっと導いてくれる。
ふんわりと柔らかな音質も手伝ってか、非常に口当たりの良い音色である。とはいえ、妙に甘ったるい気配などなく、洗練された感覚で流麗に、情緒豊かに歌っている。ショパン風なスタイルによる名演ともいえるだろう。ライヴ録音とのことだが、当日の聴衆は驚くほど静か。
変ロ長調のみの協奏曲集。鍵盤上をするすると動き回るなめらかさが、なんとも爽快。弾き振りのせいか、やや慎重さが感じられることはあるが、オーケストラの響き自体はとてもきれい。第27番の第3楽章は遅めのテンポが決まり、宙に浮いたような感じ。
エマールは現代でも最も先鋭的なピアニストだろう。こと現代音楽に関してはこの人の右に出る者はいない。エリオット・カーターの難曲もやすやすとしかも叙情的にさえ聴こえさせる。「夜のガスパール」で見せる大胆で小粋な表現など心憎いまでの余裕を感じさせる。
制作・出演
アルノルト・シェーンベルク合唱団 / クレメンス・ハーゲン / トーマス・ツェートマイアー / ニコラウス・アーノンクール / ピエール=ロラン・エマール / ベートーヴェン / ヨーロッパ室内管弦楽団 / ルーバ・オルゴナソーヴァ次々と話題作を送り出しているエマールとアーノンクールが、三重協奏曲を録音。ツェートマイアーとクレメンス・ハーゲン、2人の名手を迎えての演奏で、ファン必携のアルバムだ。
やっぱりこれだけ規模も大きく、複雑な作品だけあって、今まで出た演奏はどれも素晴らしい。本作も、ライヴとは思えない精度の高いアンサンブルと、ライヴならではの、ダイナミックで、熱気があふれたものになっている。まあそれにしても、BPOはさすがだなあ。★
“印象主義”というレッテルを貼られることが多いドビュッシーだが、エマールはエスプリやムードを排し、作曲者が綴った音符を磨き抜いた音色で俊敏に紡ぎ上げている。とくに、「練習曲集」での明晰な運動感覚と喜びにあふれた表現が、とても耳に新鮮だ!★