比類なきテクニックで聴く者を圧倒する鬼才フィニアス。バド・パウエルの再来と言われた彼の初期の代表作である本作を聴けば、当時の衝撃度もわかることだろう。56年5月録音。
注意深く聴けばもの凄いテクニックが繰り広げられているにもかかわらず、観賞者はそうした技術レベルに威圧されることが全くない。平明な和声感覚と温厚な人柄ゆえだろう。名手のこの初リーダー作には、ピアノ・ジャズに求められる洒落っ気が網羅的。