制作・出演 : ユーリ・テミルカーノフ
ショスタコーヴィチと並び、当時のソ連を代表する作曲家、ハチャトゥリアンの代表的なバレエ曲2曲を収録。荒々しいリズム、土俗的とも言えるメロディをテミルカーノフが過不足なく表現している。
チャイコフスキー、遅めのテンポでじっくりと取り組んでいる。抒情的というか、意外に繊細でメロウ。特に2楽章は秀逸。新鮮な感じがして面白かった。ショスタコーヴィチは、ジャズもやっているマツーエフの良さが出ている。なかなか軽妙洒脱。オーケストラもまずまず。
第二次大戦中のドイツ軍によるユダヤ人虐殺、旧ソ連におけるユダヤ人迫害を告発した問題作。テミルカーノフはむやみに物語性を強調するのではなく、音楽の完成度を第一義にして、じつに格調高く深い演奏に仕上げている。バスの強靱な表現力に圧倒される。
“腐っても鯛”はやや不適切か。とはいえ怪傑ゲルギエフたちの活躍の陰にすっかり隠れてしまった感が強い旧名門が、健在であることを十全に確認できる嬉しい一枚。さらにバーミンガムとサンクト・ペテルブルクの両ホールの響きを聴き比べる楽しみも。
トルコ出身の鬼才ピアニスト、ファジル・サイのアルバムが廉価にて再発売。初の本格的な協奏曲アルバムで、独特のアゴーギクが随所に顔をのぞかせ、興味が尽きない。リスト作品で聴かせるテクニックも驚異的。
第4番冒頭の超スローなファンファーレが象徴するように、テミルカーノフはところどころで極端にテンポを落として聴き手の意表を突いてくるが、それが不自然でないばかりか、説得力すら感じさせてしまうからさすがだ。ユニークな味わいに満ちたチャイコ。
ムラヴィンスキーの跡を継いだテミルカーノフによる最初期の録音のひとつがプロコフィエフの作品。圧倒的な機能性を誇るこのオーケストラを完全にドライブし、華麗で色彩感にあふれた演奏を聴かせる。97年の録音である2枚目のオラトリオとの聴き比べもなかなか面白い。
超買得盤である。ラフマニノフの管弦楽曲の醍醐味を知るにはやはり、ロシアのオケでなければ、という充実感で終始満たされる演奏だ。何といっても重量感のある音質のボリューム、悠然としたスケールの大きい歌いまわしなどロシアの原風景を彷彿とさせるものがある。★
制作・出演
グリンカ音楽院少年合唱団 / ゲンナジ・ベズベンコフ / サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団 / サンクトペテルブルク合唱団 / ショスタコーヴィチ / セルゲイ・キセリエフ / ユーリ・テミルカーノフ / ヴァレリー・オウスペンスキ / ヴラディーミル・ベグレツォフテミルカーノフの洗練された指揮により、ショスタコの音楽語法がじつにクッキリした姿で描き出されている。まさに20世紀の古典としての評価を揺るぎないものにする名演。「森の歌」ではスターリン礼賛色が濃厚な1949年の初演版をあえて採用している。