制作・出演 : 仲道郁代
今までの9枚がすべて高く評価されているが、このハンマークラヴィーアはさらなる高みへと到達した。自然に流れていながら、細やかな神経が行き届き、どの瞬間にも楽興があふれている。この長大な作品が、少しも長く感じられずに聴いてしまえるなんて、滅多にないことだ。★
仲道郁代が自ら選曲したデビュー20周年記念盤。過去の録音からの小品集ながら、全トラックの半数近い8曲が新録音という丁寧なつくり。演奏に一貫しているのは誠実さと音楽することの楽しさ。彼女のようなアーティストと同時代を生きることの幸せを思う。
きわめて緻密な仕上がりで、いかなる強奏でも響は濁らずすべての声部がクリア。デュナーミクも各曲の性格に合わせ使い分けられている。また全編はたおやかとも言うべき味わいに貫かれているのが特徴だ。遅めのテンポをキープして歌われるop.53のロンド部分は聴きもの。★
中堅ピアニストとして確固とした地位を築いている仲道の、ベートーヴェン・ソナタ全集第7弾。中期から後期への入り口にあたる3曲を収録。これまでの録音が、いずれも高い評価を得ている彼女の充実の演奏。
快調にベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の録音を進める仲道郁代と、上昇気運にあるパーヴォ・ヤルヴィとによるまさに絶好調の共演。仲道は自信に満ちた堂々たるソロを展開。ヤルヴィは切れの良い引き締まったベートーヴェン演奏を繰り広げる。
仲道郁代のベートーヴェン・ソナタ全集の録音もこれが中間地点。徒にパワーやスケールを追求せず、過剰なドラマ性や思い入れを排除して、作品の素の姿を浮き彫りにすることに成功している。彼女独自のカラーを感じさせる、等身大の落ち着いた佳演だ。
子供のためとはいえ、広く音楽ファンが楽しめる曲集だ。ほんとに、田中カレンは感受性の鋭い人ですね。この曲集は絶滅の危機に瀕している動物をテーマにしていて、それだけに、哀しいくらい透明で研ぎ澄まされた音楽が、めちゃくちゃ美しい。仲道のピアノも温かい。★
いくぶんゆったりとしたテンポを設定し、一音一音をていねいに弾き込んでいく。アグレッシヴな演奏とは正反対のアプローチで、聴き手を美しい叙情の世界に誘ってくれる。「幻想」のアダージョ楽章で聴かせる優しい音色は、仲道郁代ならではの表現だ。
パワフルなキメは保ちながらも、情のゆらぎに素早く反応して音が潤いを帯び、ホノと色を発する。ベートーヴェンってこんなにエスプレッシヴォな音楽だったかと、その表情のこまやかさに思わず耳が柔らかくなる。第10番が出色だが、畳み掛けない「悲愴」も清新。
仲道は今ベートヴェンのピアノ・ソナタ全集に取り組んでいる。本盤はその第3弾で初期の「作品10」の3曲を収録。定評ある彼女のショパン演奏とはタッチも表現もひと味違う。一皮向けた印象で、音楽の成熟度が増しているのは明らかだ。第7番などその成果の現れた好演。
野平一郎の全集完成に続いて、仲道郁代も全集録音を開始。これは彩の国さいたま芸術劇場のベートーヴェン・シリーズと並行して進められている。ピアノを叩かず分厚く鳴らさず、軽く小味な響き。そして多少もたれ気味だがリリカルな音楽作りが特色。
満を持して開始された仲道のベートーヴェンのソナタ全集。その第1弾はハイドンに捧げられた最初の3作品と素直な滑り出しだ。演奏も、テキストに忠実で響きも細部も十分に彫琢されていながら、同時に窮屈さとは無縁な、感情の赴きに素直に従う自由さを獲得している。★
アカデミー賞でも話題となったポランスキーの名作『戦場のピアニスト』で使用されていた作品など、有名映画に使われたクラシック作品を集めたコンピレーション。リラクゼーション用にもどうぞ。
シューマン、ブラームス、メンデルスゾーンの3人を軸に、クララ・シューマンやファニー・メンデルスゾーンも加えて、ドイツ・ロマン派の流れを意識したアルバム。彼らの音楽に対する仲道の深い共感が伝わってくる。安定感ある音作りにも好感がもてる。