制作・出演 : 前橋汀子
四季四季
曲がバロックなせいか、いつもの独特の前橋節が全開というわけではなく、彼女としてはかなり抑制された表情が際立つ。特に(1)の緩徐楽章のやや濡れた音色で、祈るように歌う部分は非常に美しい。(2)も好演。録音は鮮烈だが、感触がやや固い。
亜麻色の髪の乙女亜麻色の髪の乙女
“一弓入魂”の1枚。決してサラリと流さず、ある時は激しく、そしてある時は夢を見るように終始ロマンティックだ。ライヴの時のように音楽が生きている。妹・由子との息もピッタリ合っている。
チャイコフスキー メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲チャイコフスキー メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
前橋汀子の前2作の小品集よりも言いたいことを言い切った演奏でファンにとっては更に重要だ。特にメンデルスゾーンには彼女のほぼ全てがあらわれている。しかし、そのあらわれ方が「特殊」と見なされる傾向が強いのが現代であるのも事実。
クロイツェル&スプリングクロイツェル&スプリング
前橋の初めてのソナタ録音。名手エッシェンバッハとの共演が成功して、特に(2)「スプリング」が美しい。(1)も大変個性的な演奏で、前橋の自己主張とエッシェンバッハの感性が激しくぶつかり合う。(2)は逆に、抑制の利いた表現が、この曲のリリシズムを良く生かしている。
無伴奏ソナタ&パルティータ全集無伴奏ソナタ&パルティータ全集
前橋汀子の永年の研鑚、才能と抜群の集中力が見事に結晶された記念的アルバム。6曲とも一様に実に丁寧に演奏され、フーガをはじめとするポリフォニックな曲での解像度が大変に高く、それでいて流れるような演奏。ハーモニーホールでの自然な録音も良い。