制作・出演 : 山下和仁
実は存在を失念していた録音であり、CD再発の有難味を実感した。レパートリーとしても貴重なテデスコの協奏曲集であり、演奏も堅実・美麗。山下兄妹のソロとスラットキン指揮LPOの丁寧なバックアップが見事にバランスしていて、録音もきれいだ。
ゴールウェイと山下のデュオが最高。何という豊穣さだろう。比較的地味な曲なのに、そんなことをまったく感じさせない音色の魅力。フルートを引き立て、しかもギターの存在感を主張する山下の力量。ヴァイオリンとのデュオも華やかで聴き映えがする。
山下70年代の快演。一発勝負録音のゆえか時代のゆえか、作品の均整の枠を突き抜け、ギターの響きにナマな情動がのってグイと迫ってくる。なかでもソルは、脇目も振らぬ熱さとスピード感が懐かしいほどのかっこよさ。ブリテンでの音色に対する耳の働きも鋭敏だ。
弱冠18歳の山下和仁が、セカンド・アルバムとして録音した二つの名協奏曲の初CD化。どちらも後年に再録音しているが、この初々しく溌剌とした演奏の魅力は格別だ。日本を代表する天才ギタリストのデビュー当時の活躍ぶりを伝えてくれる貴重な一枚である。
山下和仁は我が国が生んだ世界の逸材である。驚異的テクニックでオーケストラ曲の編曲をギター1本で弾き、大向こうを唸らせたりもするが、これはギタリストの心を綴った珠玉の小品集。ビニャスの「独創的幻想曲」など、静かに爪弾く山下の繊細な表現が心に染み渡る。
藤家のギター作品集の第2弾。調性的に書けばギターの鳴りは良い。藤家はその旨みを心得ている。ドイツ・ロマン派の詩人ノヴァーリスの「青い花」に題材を得て、曲調はロマン派のギター曲を思わせる陰影と優美さをたたえる。山下の独壇場である。
ヴィルトゥオーゾ・ギタリストとして知られる山下の最新盤である。確かに山下にしかできない多声部の絶妙な音色の弾き分けや響かせ方など飽くことがなく聴き入らせる。しかしそれ以上にバッハ音楽の持つ深遠さや普遍的で人間的な温もりがヒシヒシと伝わってくる演奏だ。★
今回も初録音など広く紹介されるのは初めてという作曲家や作品など、資料として一級の価値を持っている。同時に、聴いて面白いアルバムになっている。さすがは山下である。誤解を恐れずに言えば、演奏によって各作品はぐんと面白さが増したと言っていい。★
日本を代表する名ギタリスト、山下和仁は、次々と話題になる録音を発表して、豊かなギター音楽の世界を堪能させてくれる。最新作はクラシック・ギター・ソロによるビートルズの名曲集。編曲は山下自身。スローな曲想のほうが、無理なく楽しく聴ける。
すべて明治生まれの作曲家による作品ばかり。箏曲のような響きあり。演歌のような響きあり。そして西欧風な新しい響きあり。さまざまな要素が絡み合うこれら日本の洋楽黎明期の音楽が、山下のしっとりとした暖かな音色によって息を吹き返した。味わい深く新鮮。
山下和仁の新録音は91年以来久しぶり。オリジナルあり、編曲ものあり、バラエティに富む選曲。1曲1曲が独創的で、ギターの扱いもそれぞれ異なる。山下は手際よく見事に弾き分けていて、この楽器の奥の深さを見せてくれる。