制作・出演 : 村下孝蔵
1周忌記念アルバム。残されたヴォーカルトラックからのリアレンジ、リミックスを含む全14曲。村下考蔵ならではの心暖まるアルバム。『何度もよみがえる優しき歌人のあざやかな世界』
他界した村下孝蔵が残したプライベートな音源を基に制作されたアンソロジー。多くは本人のチェック用だったりしたもので、一部に今回のために楽器のダビングを施された作品もあるが、素顔の村下がそこにいることに変わりない。スタッフの深い愛情に支えられた追悼盤。
新曲を3曲、アルバム未収録曲を4曲、代表曲の「初恋」「同窓會」のアルバム・ヴァージョンを収めて制作されたベスト盤。先日夭折した村下考蔵。制作担当者のコメントや丁寧に作られた歌詞カードを含め、彼と彼の作品がいかに愛されていたかをしみじみ分かる。
しっかりと歌謡曲ラインをつかんでいるデュエット曲「哀愁物語」は買いです。優しさを歌謡でなにげなく聞かせてしまえるヴォーカリスト、それが村下孝蔵なのです。あるひとには優し過ぎると感じられるかもしれないものの、ちょいと悲しい恋物語ですから。
夏に村下孝蔵とは意外な提案だが、リミックスによるこのベスト・アルバムはなぜか清々しい気分にさせる情感が漂っている。フォーク・ソングといった印象の強い村下が、ここではサウンドのアクセントをポップ感覚寄りにしているので氷柱を見る思い。
遠い昔に見たことがあるような、懐かしいロマンティックな世界を歌い続ける彼の作品集。大ヒットした(4)を代表として、淡い水彩画のような風景は純粋で壊れやすいはかない美しさがある。周囲の音楽に全く影響を受けない独自の活動はユニークな存在だろう。⇒村下孝蔵関連作品はこちら
村下孝蔵はやさしいまなざしを持つ歌人だと思う。ヒットした「初恋」を耳にしてそのロマンチックなメロディと詞から、過ぎ去った遠い初恋の記憶を甦らせた人も多いだろう。デビュー作『汽笛がきこえる街』から『何処へ』『夢の跡』そしてこの『かざぐるま』まで、一貫して彼は人が人を愛する想いを歌に託してきた。ハイ・トーンの澄んだヴォーカルとアコースティックなサウンドが一体をなす曲の数々は、われわれ日本人の琴線を心地よく刺激してくれる。
どんなに時代が移り変わり世の中が進もうと人の心の中にある真心を信じ続けたいーー村下孝蔵の曲を聴くとそんな気持ちで胸が熱くなる。テレビ・アニメ『めぞん一刻』のテーマ「陽だまり」他村下の曲からは忘れかけていた遠い日の記憶が甦ってくるよう。
素直に歌を創り歌っている、この人の良さは変わっていない。(3)(4)のヒット曲調もいいけれど、(2)のようなタンゴ調が合っているのではないだろうか。特に、声に特徴(クセ)があるわけでもないから、逆にそれを生かして大人の歌狙いを前面に出しては如何?
CD選書は“文庫”の発想? 携帯便利なスリム・パッケージにシンプルなつくり、で価格もお安いベスト盤。ファンなら飛びつくし、一度はじっくり聴いてみたかった入門者向けにも。彼独特の温もりある透明感、郷愁さえ呼び起こす歌声は秋の夜長にハマります。
99年に46歳の若さで急逝した村下孝蔵が83年に発表した作品。「初恋」「踊り子」など、彼の代表作が収録された音楽ファン必携の名盤。憂いを帯びた詩の世界は実に感動的だ。プライスもリーズナブルなCD選書。