制作・出演 : 東京楽所
古来より大和朝廷が節目節目に執り行なう儀式の時に演奏される代表的な雅楽、歌舞を収録した貴重な音源集(92年録音)。新嘗祭、大嘗祭などで演奏、歌われるものなどが中心で、いずれも厳かな響きが特徴。どうしてこういう形態になったのか、考えながら聴くのも一興。★
貴族社会の宮廷音楽として発達してきた雅楽の中でも、貴族の「遊び」をテーマにした雅楽“御遊”をセレクト。古典芸能でとっつきにくい雅楽も、遊びがテーマだけあり何となく親しみやすい。
貴族社会だけでなく寺院などでも、今日まで伝承されてきた雅楽。雅楽の定番曲の中でも、正月、結婚式などおめでたい場面で演奏される曲を収録。「賀殿急/朗詠・嘉辰」「舞楽・平調々子」など。
雅楽「春鴬囀(しゅんのうでん)」は、新年や春の訪れ、長寿や誕生日を祝う「源氏物語」にも登場する名曲。唐楽の4つの大曲の1つで、高宗が鶯の声を聴いて、楽工に写させたという記録もある。CDで聴く一具(全曲)が織り成す雅の世界は、新鮮な体験。
日本のトップレベルの演奏家による模範演奏。そんな感じのアルバムだ。曲目にはすべて使用楽譜の出版社が明記されており、解説にはその楽譜に準拠したコメントが付いている。コンテスト用のレパートリーを探しているブラスバンド部の学生などに最適だ。
雅楽の持っている独自の音色、時間構造などを、武満の感性に引きずり込み解き放した73年の作品。初演時に音が垂直に立ち昇るような経験をした覚えがある。邦楽器(?)を使用した武満の傑作の一つだと思う。こうした曲でのCDの威力は絶大である。
古代歌謡というのはすなわち歌付き雅楽。朗詠とか今様など、雅楽の楽器を伴奏にした歌である。平安の頃は多数の曲目があったが、ここには現在に伝えられる演奏可能な曲の大部分を収め、宮中の秘曲であった[1]の各曲など聴きどころは多い。朝鮮半島を経てやってきた舶来の音楽にのせて、日本語の伸びやかな母音が歌われる。聴くうちにやがて平安の時の流れに馴染むことうけあい。
雅楽の世界を紹介するべく精力的なレコーディングを続けている東京楽所。今回は「舞楽」を集めている。舞をつけて演奏される雅楽が「舞楽」であるが、打楽器が加わり舞い手の入退場の曲もあり、管弦のみの演奏と比べて多様な編成と構成が楽しめる。
雅楽というと音にボリュームのある管楽器ばかりがクローズアップされるが、琵琶と箏という二種の絃楽器があることを忘れてはならない。訥々とした音色から考えると簡単そうに聞こえるがさにあらず。雅楽をきわめた演奏家のための楽器なのですから。