制作・出演 : 柳ジョージ
いぶし銀の輝きに似た柳ジョージがこだわり続けるR&Bへの思いが伝わる。ロックを通してR&Bへと結びつくひとつの世代ならではの熱い思い入れが、彼のスタイルを作り上げていると実感させる。そこに情感いっぱいの歌謡性があるから魅力的なのだ。
在りながら、ここにいる、という文学的なキャッチ・コピーに、彼には似合わないなと、ちょっぴり苦笑い。ブルースの嵐というタイトルのこいつは、クラプトンがブルースを基調にポップになっていく過程と似てなくもない。それが悪いと言いたいのではないのだが。
バーボンとタバコで鍛えたノドで柳ジョージは、男の厚く広い胸の奥にある孤独な心情を歌っている。都会と荒野とが同居する地平線へ向う男が、いつもジョーちゃんの歌にはいる。今回は、いつものジョーちゃんに比べアク抜きをしたって感じの曲が多い。
ビデオ化され、評判を呼んだ『タバコロード』に続いてのアルバムは、レコード大賞の企画賞をとった『グッド・タイムズ』の続編。いつものヘヴィなブルースではなく、かなりポップでフュージョンっぽいサウンド作りで、原曲のイメージとは違う世界が。
シリーズ化したアメリカン・ソングのカヴァー作品の3作目だ。ストリングスをバックにしゃれ声を酔どれ風に歌う(4)をはじめとして、歌好きぶりを発揮している。ヴァニラ・ファッジの代表曲となった(10)を含め、世代によっては懐かしさいっぱいの選曲だ。
男の汗を感じさせる酒焼けした声でリズム&ブルースを歌っているジョーちゃんが、このアルバムではシャワーをあびリラックスした気分でライト・ビールを飲んでいるって雰囲気。36才の男の味をリキミなく出している。
柳ジョージが少年時代に太平洋のかなたにある巨大なスクリーンに映し出されるアメリカ文化に憧れ、そこで流れた名曲を大人になった今、その渋味のある声で歌っている。ストリングスをバックに歌う名曲の数々を、バーボンでも飲みながら聞きたくなる。