制作・出演 : 読売日本交響楽団
絶対に神秘的にやらないブルックナー。ミスターSにとっては、演奏する作品が何であれ、あくまでスコアをリアリスティックに鳴らすことが最重要なのだ。でも考えてみれば当たり前。音楽家は音楽家であって、似非文学者や哲学者じゃない。大きな拍手を。
さまざまなシーンで活用できて楽しめるオムニバス・ベスト“決定盤!!”シリーズの“モーニング・クラシック”編。さわやかな目覚めの時間をゴージャスに演出する極上のクラシック名曲集で、「愛の喜び」などのなじみの深い楽曲を収録する。
2008年のライヴ録音。「ツァラトゥストラ」では、作曲家でもあるスクロヴァチェフスキが、オケの各楽器の動きを丁寧に描き、明快な演奏に仕上げている。ショスタコーヴィチの交響曲第1番は、84歳のマエストロの老獪かつ生き生きとした演奏。
64年、ジャン=ピエール・ランパルが初来日したときの録音。とにかく巧くて流麗。フルートをクローズ・アップしたミキシングには「天下のランパルを録るんだ」というエンジニアの意気込みさえ感じられる。熱気にあふれた60年代を象徴する名演が甦った。
2006年11月、下野竜也の読売日響正指揮者就任披露演奏会のライヴ録音。コリリアーノは、エイズで亡くなった友人を追悼する意味を込めてこの交響曲第1番を書いた。熟練の手法による多彩な音楽だ。下野が作品を真摯に指揮し、読売日響がそれに応える。
特にブラームスはリハーサルで徹底的に鍛えた跡が十分にうかがえる。とにかく細部がこれだけきちんと聴き取れる演奏は珍しい。しかも、そうした細部をこれみよがしに強調していないところが老練の技だろう。メシアンもきりりと引き締まっている。
制作・出演
C.F.ダウマー / NHK交響楽団 / ウィルヘルム・ロイブナー / ビューネン・グルッペ / ブラームス / ロヴロ・フォン・マタチッチ / 東京放送合唱団 / 秋山和慶 / 若杉弘 / 読売日本交響楽団発売元
キングレコード株式会社東西が混交する地平で南と北の風土を幻想する。現れ方こそ違え、ともにカラダの底に浸み込んだいわば骨がらみの音だ。長くお蔵入りしていた伊福部の出世作の録音が興味深い。音の立ち現れるさまを確かめるごとく、ゴツと音楽に共振していく。その情動の形がいい。