制作・出演 : 金聖響&OEK
ブラームス:交響曲第4番ブラームス:交響曲第4番
たっぷりとした響きで沸々と内に向かうロマンに浸るブラ4ではない。各声部がくっきりと明快、鋭敏に動く。相互の関係性がきわめて明瞭に腑に落ちるその音の姿が過激なまでに斬新である。発止と敏捷に響きが立つ3楽章。エモーション直截な4楽章。音楽が熱い。
ブラームス:交響曲全集ブラームス:交響曲全集
ロマン派の交響曲を、現代的・古楽的な考察及び奏法両者を取捨選択して演奏する、しかもそれを小編成で行なうという、まさに昨今ならではの意欲的な試み。重厚長大・濃厚な情緒・暗欝な印象を与えてきたこれまでのブラームス像は、軽く澄明な響きと明快な細部、そして鮮やかな運動性と確かな形式感を備えたものに一変。でも考えてみれば、ブラームスはロマン的古典主義者。こうした方法論がふさわしいことは言うまでもない。番号が下るにつれ、コンセプト優先の演奏が次第に自由でのびやかになっていく過程も面白い。
ブラームス:交響曲第3番、大学祝典序曲ブラームス:交響曲第3番、大学祝典序曲
ブラームスは重々しい音楽でも、分厚い響きでもない。小編成だからこそ可能となる、歯切れの良さと推進力を生み出す速度感を最大限に活かした新しいブラームス像を提案しようとしている。それが金聖響&OEKの意図だろう。録音にはもう少し冴えが欲しい。
ブラームス:交響曲第2番、悲劇的序曲ブラームス:交響曲第2番、悲劇的序曲
編成の小ささゆえに声部の見通しがよく、対向配置も一層の効果をあげている。その上、音が痩せてしまうことがほとんどないのは秀逸。ただし、終楽章に向かって調子を上げてゆくものの、特に前半二つの楽章で指揮とオケが煮え切らず噛み合わない瞬間が少なくないのは残念だ。
ブラームス:交響曲第1番ブラームス:交響曲第1番
小編成オケ、古楽奏法によるブラームス。響きの量感が作る時間のたゆたいや情感の広がりの替わりに、リズムや音の動きの形の変化、厚みに埋もれていた響きの表情や楽器間の関係が明快に浮かび上がる。この曲にこんなにも“音”が! 斬新なアプローチである。
PREV1NEXT