制作・出演 : 阿川泰子
いまではディナーショーの出演料が歌謡界のトップ・クラスと肩を並べるほどビッグになった彼女のデビュー作。77年録音。この時24歳だが現在に近い歌い方をしているのが面白い。リズム・アレンジはフュージョン風。くすぐったいほどキュートな声だ。
78年録音のセカンド・アルバム。もちろんいまもチャーミングだけど、この頃の声はピッチも若干高く、ひたすらキュート。当時、男どもはみんなこの声にいかれてしまったものだ。編曲とプロデュースは有馬すすむ。ムード満点のギターは杉本喜代志。
80年発表のサード・アルバム。時のヒット・ソングのカヴァー集という何でもない企画だが、この可愛らしい歌声が発表当時は不思議なセンセーションを巻き起こしていた。歌と同じように、非常にライト・タッチの色香を漂わせるアルバム・カヴァーも印象的。
イヴァン・リンスのプロデュース。10曲中7曲はリンスの曲とあって、ブラジル音楽集というよりリンス集といった色彩が濃厚の作品。5曲で両者のデュエットが楽しめる。しっとりとしたMPB。ドリイ・カイミのストリングス・アレンジも洒落ている。
ジャズ・グルーヴ・ムーヴメントに合わせて過去の作品を編集したコンピレーション。阿川泰子の曲はロンドンのクラブでもかかるらしいが、彼女のヴォーカルの浮遊感はロニー・リストン・スミスのローズに通じるのだろう。(1)は大沢伸一によるリミックス。
オーケストラをバックにしたスタンダード集。こういうシチュエーションが彼女にいちばんよく似合う。とてもゴージャスなヴォーカル・アルバムになっている。デヴィッド・ベノワ、ピーター・アースキンなど、ゲストも豪華。
我が国ヴォーカル・シーンのヒロイン、阿川泰子がまたまた興味深いアルバムを録音した。映画の場面、場面を彩った数々の名曲を、時代に関係なく全10曲ピック・アップ。オーケストラやビッグ・バンドをバックに、美しくかつナチュラルに聴かせてくれる。
〈A列車…〉から〈デュークス・プレイス〉まで、エリントン・ナンバー、あるいは、ゆかりの名曲がずらりと10曲。アルバム企画も選曲も、まったく一般的ながら、しかし、魅力いっぱいのエリントン集となっている点が、彼女特有の力。お洒落で素敵な作品。
本作はセルジオ・メンデス・プロデュースによるブラジル色の濃いサウンドとなった。エドゥ・ロボやジャバンの佳曲が巧妙なアレンジで繰り広げられる。セル・メンは阿川のキャラクターに狙いを付けていたというが、ブラジル'66時代のニュアンスもあり楽しく聴けた。