制作・出演 : NHK交響楽団
久々の共演となった佐渡裕&N響の“東京の夏”音楽祭2005でのライヴ録音。鮮やかで生き生きとした「惑星」だ。ブラスでの経験が豊かな佐渡らしい豪快な表現も聴ける。そして、佐渡が、勢いばかりではなく、内容のある演奏を引き出している。
マルティノンが亡くなってから随分時間が経ってしまった。フランス作品では第一人者であり続けた彼の明晰な音楽作りは、N響の前でも変わらない。弦楽器の響きに特に注意を払ったようで、明るく軽やかな表情を引き出している。洗練された音楽作りは、今も新鮮に聴ける。
80年9月のN響定期公演のライヴをCD化したディスク。端正なウェーバーといい、力感に富み、引き締まったアプローチの「展覧会の絵」といい、ケーゲルに思い入れのある音楽ファンにとっては、かけがえのない演奏が収録されている、と言えるだろう。
発売元
キングレコード株式会社ケーゲルがN響と行なった唯一の大規模声楽作品の記録。独り歩きを始めてしまっている感もある彼の“強烈さ”のイメージは、極東への客演のせいもあってか薄らいでいる。曲の進行と共に高まる充実度は感動的。第6楽章のフーガをはじめとする合唱の健闘も讚えたい。
NHKテーマ音楽がメインになっているものの、渡辺俊幸“流”のオーケストラ作品集、と捉えていい内容。「永久の愛」アリア・バージョンなど、見事な別作品として成立している。渡辺の中で温められ、考えられ、完成された、現代における“オケ”の姿がここに。
響きは乾き気味で、金管楽器がマイクにやや近すぎるなどの難はあるものの、その素朴で力強く、きっちりと手の内に入ったドイツ流儀はなかなか聴きごたえがある。「ローエングリン」も思った以上に名演だった。ささいなことだが、使用版は“ノヴァーク”では?
一見何もしていないような演奏に、なぜこれほどの説得力が……。これ以上ないほど適切で心にしみるテンポ感、音量との絶妙なバランス。間のとりかたのみごとさ。聴けば聴くほどカイルベルトの凄さが分かってくる。N響がまるで別のオケのように鳴っている。
カラヤンと同年の生まれのカイルベルトはドイツ音楽のとりわけオペラ指揮者では屈指の存在だった。これはN響を振ったライヴで「ツァラトゥストラ」の演奏からわずか2ヵ月後に彼は急逝した。ドイツの伝統はかくなるものぞといわんばかりの骨太で彫りの深い演奏である。