ジャンル : 演歌・純邦楽・落語 > 純邦楽・民謡
63年に発売された7枚組LPの、初のCD復刻盤。一般には一種類と受け取られがちな琵琶だが、実は雅楽の琵琶、平家琵琶、盲僧琵琶、薩摩琵琶、筑前琵琶などそれぞれ異なる形態で、もちろん、その音楽は独自の道を歩んできた。それら多岐にわたる琵琶楽を5枚のCD(初出時は7枚のLP)にまとめたのがこの企画だ。これを聴くと、奈良朝の頃に中国から伝わったと言われる琵琶という楽器が、長い歴史のなかで社会構造や風俗の変化に対応しながら広がってきたことを実感する。近年は日常の社会では忘れられた存在になりつつあるが、これを機会に琵琶楽が注目されることになってほしいところだ。ディスク5のラストに武満徹作曲の映画『切腹』のテーマ曲が収録されているなど、決して過去の遺物ではないわけで、そのあたりから聴いてみるのもいいかもしれない。
76年にLPで発表された『観世流 舞の囃子』の復刻CD化で、今回はチューニングにあたる「お調べ」から舞のカテゴリーの順列に再構成している。笛の一噌(いっそう)流、小鼓の幸(こう)流、大鼓の高安(たかやす)流、太鼓の金春(こんぱる)流という観世流の囃子部門、四流の往時の人間国宝たち全員の演奏を収録した歴史的な音源となっている。初めて舞に接する方にとって、舞う人にとってことに笛がメロディ的な目安になることなど、さまざまな発見があるだろう。労作と言うしかない解説冊子を読みながら聴き進んでいくと、舞っている様子が何となく見えてくる。その昔、武家の教養であったのが舞である。
発売元
日本コロムビア株式会社吟詠の吉永典子が、歌謡吟詠から漢詩、新体詩などから薩摩琵琶までを聴かせる。オーケストラをバックに、尺八と箏と、雅楽サウンドと、薩摩琵琶でのものなど多彩な響きと共演している。堀内大学訳詩によるフランス歌謡「愛することは」などから世阿弥や土井晩翠、金子みすゞらの詩も吟詠。
発売元
日本伝統文化振興財団2006年7月に東京・紀尾井ホールで行なわれたライヴ“奄美しまうたのこころ”を収録。奄美しまうたの百年に一人の唄者とまで言われる武下の芸の神髄を堪能できる。低音域から高音へと歌われる過程でごく自然に裏声となっていく歌唱の妙味、三線の音色といい逸品だ。★
87年にLPで発売された『合奏曲集成』の復刻だ。ここでの合奏曲とは、3曲を基調にした管絃合奏の大きな組み合わせで、あらゆる和楽器を使っての大合奏、それにコーラスや独唱などが加わった交声曲などまでを指している。大正末から昭和31年にかけて宮城道雄が作曲した曲で構成されている。とにかく野心的で、当初その演奏は狼藉者と映る場面もあったろうと想像させる。箏曲に次々と狼藉者といわれて不思議でない変革者たちが登場する歴史的背景を、宮城の仕事に見ることになる。西欧音楽の様式を導入する過程で登場した和楽オーケストラのための楽曲である。なかでも箏とオーケストラによる「越天楽変奏曲」などが一度は聴いておきたい曲だ。昨今の和楽器演奏によるフュージョン的作品の原型がここにある。意外なほどコーラスや独唱などがフィーチャーされている曲に見られる作曲者・宮城の意図や思惑などを深読みできたりもして、これがなかなか面白い。
早くもデビュー10周年を迎えたうめ吉の記念アルバム。三味線を片時も離さないにもかかわらず、邦楽という枠組みを超え、フランス語やドイツ語のナンバーにも挑み続けていた彼女。その“挑戦の軌跡”がここには収められている。21曲中10曲が未発表曲または新録。単なるコンピCDの枠を超えている。