ジャンル : 演歌・純邦楽・落語 > 落語・演芸
季節の香りが胸に染み入る真夏の噺「青菜」、真冬の噺「二番煎じ」を収録。マクラでの端正な語り口から、ご隠居さんや長屋の住人たちの古き良き時代の人情を描く下町の話しぶりがみごと。おまけでは、サイズの違う“たい平”人形を使って笑わせてくれる。
林家三平と並んで歌奴時代に、桂文楽をして「寄席にはああいう化物が出なくてはいけません!」と言わしめた圓歌(昭和45年襲名)の昭和55年に収録された独演会シリーズの4作は、もっとも脂の乗っている頃の録音だ。【壱】の新作落語「浪曲社長」と「月給日」では圓歌の浪花節の名調子と、克服した吃音ぶりがふんだんに披露されている。広沢虎造や相模太郎の節回しを知っていると面白味が増す。【弐】の身投げ屋噺の「白髭橋」と、西行の出家は“あこぎ”という言葉が分からず失恋したからという噺の「西行」、【参】のサゲまで演じている芝居噺「宮戸川」と「品川心中」などの古典演目を、圓歌は勉強し直したという。【四】の「坊主の遊び」と“山のあな、あな”のフレーズと浪花節で一世を風靡した代表作「授業中」など、鮮明な口調でテンポのいい噺となっている。
再構築中の「紺屋高尾」での太夫と紺屋職人の純な心、「明烏」における憧れの志ん朝を追い続ける談春のこれも純な心、人間の心根に談志家元とは異なる角度から迫っている。様子のよさに年齢相応の渋味も加わり、来年(2007年)3月15日までのさらなる精進を期待。
「悋気の独楽」は、旦那の“おてかけはん”の秘密を知る丁稚が、嫉妬に燃えるご寮はんに問い詰められて……。時事ネタを取り入れたマクラから爆笑を誘うテンポのいい噺ぶりで、古典落語にできるかぎり革新を試みる“新版古典落語”を見事に作り上げている。
歌丸師匠による名作長編噺の完全盤。“落語界の神様”と言われる三遊亭円朝作の長編怪談で、一部抜粋ではない完全版を5枚にわたって収録。2003年横浜“にぎわい座”での模様で、作者以来の好演と言われる貴重な録音だ。