音楽むすび | ザ・ヘロイン・ダイアリーズ〜10周年記念盤

ザ・ヘロイン・ダイアリーズ〜10周年記念盤

ザ・ヘロイン・ダイアリーズ〜10周年記念盤

地獄の底、絶望の淵から帰還した男による、あまりにもショッキングで劇的な真実のストーリー!ニッキー・シックス
率いるSIXX:A.M.による衝撃の1stアルバムがリリース10年を記念して再び登場!ヘロイン、コカイン、そして酒に溺れた日々の告白、
一度死んだ人間だからこそ描くことの出来る、生の喜び、人生の美しさ綴られた奇跡的傑作!

ニッキー・シックスは16年前、冷静になった。そして10年前にこのショッキングな話、ジャンキー時代の赤裸々な告白を世界に向けて発信し、
大きな話題を提供したのだった。2007年に出版されたニッキー・シックスの著書『ヘロイン・ダイアリーズ』。
その内容は、モトリー・クルー全盛期にヘロインのみならず、コカイン、そして酒に溺れた日々の告白だ。自分を捨てた実の親に対する憎しみや、
薬だけで繋がった人間関係、リハビリの苦しみ、再びドラッグに堕ちていく様など、重度のジャンキーであった時期に綴られた日記を元に
書かれたこの本は、当時かなりのセールスを記録した。ところが現在も、米国では慢性痛の治療に使われるオピオイド系の鎮痛剤が
乱用されており、中毒状態になっている者は190万人とも言われ、社会問題化している。冷静になったニッキー・シックスの告白、
地獄を見た人間の、そこから得たインスピレーションや言葉、音楽は、10年経った今もなお重要な意味を持っている。
同年、書籍『ヘロイン・ダイアリーズ』のサウンドトラックという形式で、SIXX:A.M.のファースト・アルバム『ザ・ヘロイン・ダイアリーズ』が
リリースされた。このバンドはモトリー・クルーのベーシスト、ニッキー・シックスを中心として、ギターにDJアシュバ、ヴォーカルにジェイムズ・マイケルを迎えて結成された。シングル・カットされた「LifeIs Beautiful」は、2008年のラジオで最もオンエアされたロック・ソングであり、ヒットチャートの第1位を記録した。
このアルバムの元となった書籍は、1986年12月25日から1987年12月25日までつけられていたニッキーの日記と、その後の話で構成されている。
1987年当時、モトリー・クルーは4枚目のアルバム『ガールズ、ガールズ、ガールズ』をレコーディング、発表、ツアーを行っていく時期で、バンドは飛ぶ鳥落とす勢いだった。
しかし、リーダーのニッキーは重度のヘロイン中毒に苛まれており、最終的には過剰摂取により心肺停止状態まで起こしてしまうほど酷い状況だった。
暗黒時代の出来事がリアルに綴られたショッキングな内容。そんな書籍のサウンドトラックとして作られた本作だから、ダークな雰囲気がアルバム全編につつまれており、
ここにはモトリー・クルーのような明るいパーティ・ロック感は無い。「Life Is Beautiful」の一節にある“死ぬまで生きられない”という、絶望の淵にいる彼の悲痛な叫びは、
聴く者の心を確実に抉るだろう。アルバム後半では、暗闇から抜け出そうと藻掻く男の前向きな意志も感じられ、単にダークなだけではなく、生きることに対する執着、
明日を迎える希望に満ちている。さすがニッキー・シックスの作品、非常にクオリティの高いアルバムである。これはコンセプトアルバムであり、
ストーリーを追えば大きな感動を得ることもできるが、一曲を切り取っても楽しめる高品質の楽曲群にあらためて彼の才能を感じる。楽曲それぞれにフックがある。
ニッキーとともに作曲したDJアシュバのハイレベルな表現力、ジェイムズ・マイケルの歌唱力も見事だ。
今回の 10 周年記念盤には、「ライフ・イズ・ビューティフル」、「アクシデンツ・キャン・ハプン」「ガール・ウィズ・ゴールデン・アイズ」の“2017 年ヴァージョン”が
収録されている。あらためて楽曲の素晴らしさを噛み締めつつ、生きる喜びを味わいたい。

【メンバー】
ニッキー・シックス(ベース)
DJ アシュバ(ギター)
ジェイムズ・マイケル(ヴォーカル)

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