イアン・ギラン・アンド・ザ・ジャヴェリンズ
イアン・ギランがディープ・パープル加入以前にやっていたバンド、ザ・ジャヴェリンズ。
60年代当時の彼らのセットリストが現代にタイムスリップ。チャック・ベリーにレイ・チャールズ、ボ・ディドリー。
古き良き日の音楽が、ギラン、そしてその仲間の手で 21 世紀に甦る!全音楽ファン必聴、渾身のカヴァー集。
イアン・ギランについて、多くの説明は必要ないだろう。ディープ・パープルの『イン・ロック』、『ファイアーボール』、
『マシン・ヘッド』や、ブラック・サバスの『ボーン・アゲイン』など、数々の歴史的名盤に関わった稀代のヴォーカリストである
イアン・ギランは、16 年にはディープ・パープルの一員として、ロックの殿堂入りも果たしている。
そんなイアン・ギランが 60 年代、ディープ・パープル加入以前にやっていたバンドが、ザ・ジャヴェリンズである。
当時はライヴ活動をしていたのみで、録音作品は残さずに解散。ところが30年の時を経た94年、突如イアン・ギランは
ザ・ジャヴェリンズを、それも60年代と同じラインナップで再結成する。そしてリリースされたのが、
『Sole Agency and Representation』というアルバムであった。収録された 14曲はすべてカヴァー。
チャック・ベリーや、スモーキー・ロビンソンらによる、60年代にザ・ジャヴェリンズがレパートリーとしていた名曲が詰め込まれた
この作品は、多くのギラン・ファンを驚かせ、また楽しませた。そのイアン・ギラン・アンド・ザ・ジャヴェリンズが再び集結し、
24年ぶりの新作、その名も『イアン・ギラン・アンド・ザ・ジャヴェリンズ』をリリースする。今回も、60年代と同じラインナップ、
そして収録曲すべてがカヴァーだ。60年代初めは、ザ・ビートルズも、ザ・ローリング・ストーンズも、カヴァー中心のステージをやっていた。
そしてもちろんザ・ジャヴェリンズも例外ではなかった。1963年ころ、つまりイアン・ギランがまだ18歳であったころのセットリストを
再現したという本作は、チャック・ベリー、ザ・ドリフターズ、ジェリー・リー・ルイス、レイ・チャールズ、ボ・ディドリーといった
アーティストへのトリビュートとでも言うべき内容。重要なのは、このアルバムは、決して懐古趣味を意図したものではないということ。
イアン・ギランを除く4人のメンバーは、ザ・ジャヴェリンズ解散後、ミュージシャンとしての道を歩んでいない。
しかし、どれだけ時間が過ぎていようと、5人が集って楽器を手にすれば、あっという間に60年代に逆戻り。あの頃と何ひとつ変わらない演奏が、
自然とあふれてくる。気がつけば、レコーディングに臨むイアン・ギランも、18歳のころと同じ気持ちに戻っていたのである。
ハンブルクのカメレオン・スタジオで行われた本作のレコーディングは、わずか5日間で終了。出来上がったものは、まさに63年の
ザ・ジャヴェリンズそのもの。というよりも、それ以外のものになるはずもない。故意にレトロな雰囲気を作り出す必要性など、まったくなかった
『イアン・ギラン・アンド・ザ・ジャヴェリンズ』は、まったくの自然体で作られた作品なのだ。
「キャッチーなリズム、そして心地よいメロディがあふれるアルバムだ」とイアン・ギランが言うとおり、本作は古き良き時代が21世紀に
タイムスリップしてきたかのような作品。50年代〜60年代、ロックは最先端の音楽であり、かつ今では考えられないほど多くの人から愛され、
そして大きな影響力を持っていた。『イアン・ギラン・アンド・ザ・ジャヴェリンズ』は、そんな時代の空気をダイレクトに伝える素晴らしい
アルバム。ディープ・パープルやブラック・サバスのときとは異なり、のびのびと楽しげなイアン・ギランの歌も非常に印象的だ。
ゲストとしてドン・エイリー(ピアノ)も参加。
【メンバー】
イアン・ギラン(シンガー)
ゴードン・フェアマイナー(リード・ギター)
トニー・テイコン(リズム・ギター)
トニー・ホィットフィールド(ベース)
キース・ローチ(ドラムス)
<ゲスト>
ドン・エイリー(ピアノ)