フール
デビュー40周年・20作目のアニヴァーサリー・アルバムはジョー・ジャクソンの“切り札”。ライヴ・フィーリングに満ちた豊潤な味わいのピアノ&ヴォーカル。
ポップでダンディ、ジャジーでソウルフル。ジョーのニュー・アルバムは、その40年におよぶ軌跡の集大成だ。
1970年代後半にデビュー、ニューウェイヴ以降の新しいポップを提示する音楽性でブレイク。
その人気は本国イギリスのみならずアメリカそして世界にも及び、1982年のアルバム『ナイト・アンド・デイ』と
シングル「ステッピン・アウト」は共に全米チャートのトップ5入りを果たした。
彼はまたグラミー賞に5回ノミネートされるなど、世界的なトップ・アーティストとして支持されている。
通算20作目となる本作の題材について、ジョーはこう語っている。
「人生にまつわる喜劇と悲劇を描いたアルバム。恐れや怒り、孤独や喪失。それに対する友情、笑い。そして音楽と芸術そのもの」
暗雲が垂れ込める重みを感じさせる「ビッグ・ブラック・クラウド」、初期のパンキッシュなエッジのある
リーダー・トラック「ファビュラスリー・アブソリュート」からバカラック節を独自解釈した「アルケミー」まで、
全編ジョーの歌声とピアノが冴えわたる。「1979年には作り得なかったアルバム。当時はまだ人生の経験が足りなかった」と自ら語る通り、
軽妙なビートの中にも豊潤な味わいとソウルで魅了する。特筆すべきなのは、本作の生々しいフィーリングだ。
ライヴ・ステージの興奮をそのままアルバムにパッケージするため、ジョーとバンドは2018年夏の北米ツアー最終公演地の
アイダホ州ボイジーで、ツアーが終わったその足でスタジオ入り。本作をレコーディングしたという。
1979年のデビュー作『ルック・シャープ!』以来の相棒ベーシストであるグレアム・メイビーを筆頭に、
テディ・クンペルのギター、ダグ・ヤウエルのドラムスはエネルギーの交流によって、お互いを高めていく。
デヴィッド・バーンやアンジェリーク・キジョー、ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツなどを手がけてきた
パット・ディレットを共同プロデューサーに迎えて、本作はライヴ・バンドのマジックを捉えることに成功している。
ツアー中に書かれてきた膨大な曲の中から選りすぐられた“全8曲、40分”という単位は、ジョーの身体に馴染む“アルバム”の長さだった。
「アナログ盤が本当に復活しているのか知らないけど、これこそが自分にとっての“アルバム”なんだ」と彼は語っている。
デビュー40年というアニヴァーサリー・イヤーに記念すべき20thアルバムを発表するジョー・ジャクソン。
2019年、彼が勝負を賭ける切り札はタロットの最強カード“愚者=fool”だ。
【メンバー】
ジョー・ジャクソン(ヴォーカル、キーボード、プログラミング)
テディ・カンペル (ギター、ヴォーカル)
グラハム・メイビー(ベース、ヴォーカル)
ダグ・ヨウェル(ドラム、プログラミング、ヴォーカル)