アクロス・ザ・ユニバース
現代ギターの名匠アル・ディ・メオラ、ザ・ビートルズとの邂逅。
「イエスタデイ」「ヘイ・ジュード」「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」「ヒア・カムズ・ザ・サン」などの名曲に吹き込まれる超技巧美的空間がここにある。
現代ギターの最高峰の1人と呼ばれるアル・ディ・メオラが2020年、新たなディケイドに送る第1弾作品は、ザ・ビートルズへのトリビュート・アルバムだ。
超絶テクニックを誇り、ジャズ/フュージョンからクラシックまでジャンルを超えた多彩なスタイルで絶大な支持を得てきたアルだが、その原点にあるのはザ・ビートルズのポップ・サウンドだ。
2013年にはロンドンのアビー・ロード・スタジオで録音した『オール・ユア・ライフ:ア・トリビュート・トゥ・ザ・ビートルズ』も発表している。
そしてカヴァー・アルバム第2弾としてリリースされるのが本作『アクロス・ザ・ユニバース』だ。
「美しさと喜びに満ちた音世界へのセレブレーション」とアルが自ら評するこのアルバム。「イエスタデイ」「ヘイ・ジュード」「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」「ノルウェーの森」「ディア・プルーデンス」など、ザ・ビートルズの名曲の数々に、新しい生命を吹き込んでいく。
オリジナルに敬意と愛情を込めながらユニークなアレンジを施し、さまざまなエレクトリック、アコースティック・ギターに加え、12弦ハープ・ギター、ベース、ドラムスなども自らプレイするなど、アルのパーソナルな世界観を多彩なギター・サウンドで織り成しながら提示している。
「ゴールデン・スランバー〜キャリー・ザット・ウェイト〜ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」メドレーの抒情的な展開も、アルのザ・ビートルズへの傾倒を感じさせるものだ。
一方、「アイル・フォロー・ザ・サン」にはランディ・ブレッカーがトランペットでゲスト参加、ギターとの絶妙な絡みを聴かせる。
さらに「オクトパス・ガーデン」では愛嬢エヴァが3歳のときの歌声を加えて、暖かみのある作風で微笑ませてくれる。
ジョン・レノンのソロ・アルバム『ロックン・ロール』(1975)へのオマージュといえるジャケット写真も、ファンを喜ばせるだろう。
2020年2月上旬には来日公演も実現。歌ごころ溢れるステージで、本作からのザ・ビートルズ・ナンバーも披露されるだろうか。
半世紀近くトップを極めながら、レジェンドの座に甘んじることなく、2020年代においても、アルは前進を続ける。