発売元 : CRYSTON
2010年にフリー・プレイヤーらによって結成された、吹奏楽作品の発掘を紹介を中心に活動する東京ウィンド・シンフォニカ。本作では、ホルストの組曲第1番の原典版による世界初録音を収録。
“オケスタ”はオケ曲のソロや目立つ部分を抜き出した練習用のパート譜だが、バボラークはパッセージをつなぐなどあくまで“曲”として再構成、関連するエチュードと並べることで見事なアルバムに仕上げた。ホルン1本でオケの響きを彷彿させる凄まじい表現力に脱帽。★
今回は久石譲と巨匠スパークの書き下ろし作品が目玉。久石の「4つのバガテル」はリズミックで躍動感に満ちた佳曲であるし、スパークの「リフレクションズ」は穏かな曲想の柔和な作品。これ以上に面白かったのはノレやセロツキで、奏者一人一人の高度な技術と歌心が十全で魅せられる。
テューバ界のモンスターである。これがテューバかと耳を疑うほどの超絶的なテクニックに加え歌いまわしが繊細で上手過ぎる。13曲収録。編曲ものばかりだがジャズや弦、声楽や打楽器用の原曲が華麗に変貌。これはもう“神”の領域。テューバに対するイメージが根底から変わる。
シュトラウス父子のホルン作品を収める。息子のホルン協奏曲第1番は、作曲者自身によるピアノ伴奏版。バボラークは協奏曲の冒頭から言葉を失うほど素晴らしい。小菅優のピアノも充実。ホルンの名手だった父の作品ともども、ホルンの魅力を満喫する。
ヘフスは元ハンブルク歌劇場首席で、ジャーマン・ブラスのメンバー。最初のオネゲルから、強音でも柔らかさを失わないロータリー特有の美音で酔わせる。タンギングの連打や長フレイズなどの場面でもムラなく、安定感この上なし。プログ作品でのピアノを利用した反響の妙味もよくとれている。★
ホルンのアンサンブルにオルガンも加わって荘厳な雰囲気を作り出す。ベルリン・フィルでトップを吹くバボラークをはじめ、名手たちの美しい音色が教会の空間に響いていく。その空気感のすばらしさ。ぜひSA-CDのマルチch再生でその醍醐味を満喫してほしい。
ウィーン・フィル首席のオッテンザマーとその息子たちによるトリオ。家長が低音域のバセットで睨みを利かせている。ふくよかな音色と音楽の作りが自然に統一され、実にインティメイトな味わいをもたらす。ことにオペラのナンバーは水を得た魚のよう。