1993年6月発売
曲がバロックなせいか、いつもの独特の前橋節が全開というわけではなく、彼女としてはかなり抑制された表情が際立つ。特に(1)の緩徐楽章のやや濡れた音色で、祈るように歌う部分は非常に美しい。(2)も好演。録音は鮮烈だが、感触がやや固い。
“一弓入魂”の1枚。決してサラリと流さず、ある時は激しく、そしてある時は夢を見るように終始ロマンティックだ。ライヴの時のように音楽が生きている。妹・由子との息もピッタリ合っている。
前橋汀子の前2作の小品集よりも言いたいことを言い切った演奏でファンにとっては更に重要だ。特にメンデルスゾーンには彼女のほぼ全てがあらわれている。しかし、そのあらわれ方が「特殊」と見なされる傾向が強いのが現代であるのも事実。
前橋の初めてのソナタ録音。名手エッシェンバッハとの共演が成功して、特に(2)「スプリング」が美しい。(1)も大変個性的な演奏で、前橋の自己主張とエッシェンバッハの感性が激しくぶつかり合う。(2)は逆に、抑制の利いた表現が、この曲のリリシズムを良く生かしている。
前橋汀子の永年の研鑚、才能と抜群の集中力が見事に結晶された記念的アルバム。6曲とも一様に実に丁寧に演奏され、フーガをはじめとするポリフォニックな曲での解像度が大変に高く、それでいて流れるような演奏。ハーモニーホールでの自然な録音も良い。
今作では初の日本語ヴォーカルに挑戦した彼らの3rd。当然、英詞の曲より「悪夢のようにシュール、だけどちょっぴりロマンティック」という世界観が露になった。ポップ志向と変質趣味が合体したギター・サウンドがイカす。プロデュースは福富幸宏。
80年の『B-2ユニット』から91年の『ハートビート』まで、レーベルを越えたコンピレーションの第2弾。珍しい鈴木慶一作詞の(1)、A.リンゼイとの(2)、I.ポップとの(4)、T.ドルビーとの(9)などの共演物が光る。(11)ほかの映画用の作品の多彩さも楽しめる。
ジャンル
ブラック・サバスに深く傾倒する彼らの2nd。全米でもそれなりの評価得てきただけに今作はきめだまとなる。実際、地をはうような重みの中にもメロディックなギター・フレーズを持ち込み、各曲の特色を明確化させている。時代に後押しされた彼らの代表作。