1995年5月25日発売
制作・出演
アビー・リンカーン / クリスチャン・マクブライド / ケニー・バロン / ジュリアン・ルロ / パット・メセニー / ラッキー・ピーターソン / ロイ・ハーグローヴ / ロドニー・ケンドリック発売元
ユニバーサルミュージックジャンルを越えた実力派ヴォーカリストとして円熟の境地に達した感のあるアビー・リンカーンの新作は、メセニー以下、豪華な顔ぶれで構成された意欲溢れる内容となった。魂を振り絞るように歌う彼女の姿には、ビリー・ホリデイを思わせる気迫がある。
アニソンファンには『フォーチュンクエスト』のエンディング・テーマで、アニメファンには『ツヨシ……』などでおなじみの笠原留美のアルバムがコレ。そんな彼女のサウンド・ワールドが、十分に楽しめるCDに仕上がっている。
2曲共にヒンデミットが新古典主義的な作風になってからの作品。しかしストラヴィンスキーのようにクールなものではない。モダンだが親しみやすく濃密によく歌う。ナチス政権下のドイツの空気なのだろうか。指揮者が曲を完全に手中にした安定した演奏。
ヒンデミット晩年の交響曲2曲が聴ける稀少なCD。氏のアンサンブル作品は、その楽器用法の巧みさと音色の面白さにおいて、新古典主義時代のストラヴィンスキーに匹敵する。この2作もその例に漏れない。大衆性は今イチだが、もっと聴かれてよい。
純東ドイツ産の「幻想」。全体に普段あまりきけないユニークな表現がみられる。1楽章の序奏の遅さ、4楽章の変ったフレージング、そして真骨頂は除夜の鐘のような大きな鐘!色々な「幻想」を聴きたい人には必聴だ。ブラスのズ太い音塊も面白い。
ケーゲルのストラヴィンスキー第3弾。1949年改訂版(声楽を除いた版)による(1)では室内楽に近い小編成の書法をうまく生かして絶妙のアンサンブルを聴かせており、中国を舞台にした同名オペラに基づく(2)では独特の異国情緒が色彩豊かに表現されている。
(1)は新古典時代の舞踊組曲で、踊り手がトランプカードになって勝負する。(2)(3)は子供のため(?)の連弾曲の編曲。(4)は室内オケ曲。ケーゲルはストラヴィンスキーの無駄のないけれど豊かなスコアをじつにきびきびとクリアーに再現し、とても70歳とは思えない。
ストラヴィンスキーのピアノ曲を集めたアルバム。シャープで強靱なタッチと現代的なセンスに貫かれたレーゼルのピアノは、こうした作品にはぴったり。今は亡きケーゲルの「カプリツィオ」における引き締まった指揮ぶりも魅力的だ。
スウィーツ・エディソン、ベニー・グリーン、トミー・フラナガンなど名人揃いの60年録音。スウィング系のジョーだが、ひょいひょいとモダンになってしまうところはさすが。個性派がそれぞれ持ち味を出し切っているので安心して聴いていればよいだけ。
ピアニストのウィギンスが全編オルガンを弾いている非常に珍しい作品。サックス〜オルガン〜ドラムスという編成から連想するアーシーなジャズではなく、すっきり整然とした演奏。たとえオルガンを弾いてもウィギンスのあの洗練された味は変わらない。