これ、おもしろい。シェルヒェンは60年代半ばには他界した指揮者。クナッパーツブッシュなど同時代の指揮者に比べ、評価は決して高くなかった。が、死の前年(65年)に録音したこの全集はすごい。第3番「英雄」終楽章の強烈なアタック、異様なほどの気の入れ方だ。それが第7番第3楽章プレストに至ると、もう崩壊寸前の疾走。終楽章は、オーケストラが必死でついていく感じ。最高にエキサイティング。何かを落とした物音から指揮者のうなり声まで入っている。優等生的な演奏に飽きたらない人にはゼッタイお薦め。