1996年6月発売
80年と84年に録音された、2枚のアルバムからの抜粋盤。テクニック的には全盛期のホセ・ルイスの、奔放でダイナミックな演奏が楽しめる。先に発売された円熟期の演奏で聴き比べるのも面白い。いずれにしても、これぞギターの醍醐味にほかならない。
収録曲はどれもピアノ連弾曲で、近代フランスが生み出した小粋な宝石のような作品。カサドシュ夫妻の洗練された演奏も味わい深く、こういう音楽はやっぱりフランスでなくちゃ……という気にさせられる。ただ多少ヒス・ノイズが気になるのが難点。
「ピアノの女王」ラローチャが初来日を果たした2年後の録音。音質には古さが感じられるが、彼女の持ち前のシャープなリズム感が(1)や(3)の「スカルボ」で強烈な印象を刻みつけ、また全体に、デリケートで味わい深い表現に彩られた、美しい作りである。
いわゆるオーマンディ・サウンドは、メロディアスな名曲にこそ効能が現れる。甘美なショパン(ダグラス編曲)、優雅なドリーブ、それぞれの旨味を熟知した歌いまわしで魅了する。よく鳴るオケも魅力のひとつ。オーマンディ絶頂期の名演といえる1枚だ。
ローゼンは、27年生まれのアメリカのピアニスト。しっかりした構成の中に、自由な即興性をもたせたピアニスティックな演奏だ。時代が要請する演奏スタイルがあるが、67年だと作曲当時の演奏習慣や楽器のことなど、もっとずっと朗らかだったのだろう。
クリーヴランドのシェフが伴奏をし、当時のコンマスが独奏。演奏は、最近の古楽器を先取りしたようなパリッと乾燥した明るく躍動的なもので、かなりいい。セルのピアノも指揮と同じように音の粒をハッキリと奏し、その技術は本職並である。
この人は“ちゃんとした”(ポップス系のアレンジを施していない)クラシックのCDを出さないのだろうか、とずっと思っていたら、10年目にやっと出ました。とても爽やかで透明な音楽。それが彼女の大きな魅力だけど、やっぱりちょっと物足りない。