1998年10月発売
94年6月に死去した映画音楽家ヘンリー・マンシーニの美しいメロディをジョー・ロック(VIB)率いるカルテットが演奏したアルバム。題名やジャケットから一見、軽いおしゃれジャズと見がちだが、このカルテット、90年代の“MJQ”といえるサウンドだ。
ケニー・ドリューの長年の相棒だったペデルセンが、ケニーに捧げるアルバムをレコーディングした。ケニーの愛奏曲を中心に、感動的な内容のピアノ・トリオ・アルバムに仕上がっている。リニー・ロスネスのセンシティヴなピアノ・プレイも素晴らしい。
キングへのインタビュー・シーンから始まる本作は、自身のギターをバックに歌うスタジオ録音の(2)と(4)にまずタメ息。しぶい。以降が絶頂期の74年のライヴ。バックも絶好調でエネルギーが一点に集中した演奏。全曲が粒揃い、屈指の名ライヴでしょう、これは。★
発売元
キングレコード株式会社キリスト受難の音楽による詳細なドキュメントとも言える大作。バッハが長旅も厭わずその演奏を聴きに出向いたブクステフーデの作品を、バッハ作品の録音を精力的に続けるBJCが取り上げるのも道理で、“日本人による…”の形容が不要になった演奏に拍手。
55年以来のステージ・パートナーであるピアニスト、秋満義孝とスタジオ・ライヴ・レコーディングした新作。ピアノのほかはギターとウッド・ベースのみというシンプルな演奏で、代表曲(13)(16)などもジャズ・テイストの濃いアレンジで聴かれる。
演歌でもポップスでもない“歌謡曲”が主流だったころを象徴する歌手が春日八郎。美しい高音の伸び、低音の説得力の豊かさ、どれをとっても本物の歌い手だ。高度成長期目前の、日本人の意識が“東京”に一極集中する時代の心風景が見事に展開される。
全曲ステレオ録音で、春日の軽やかで高音の伸びがきれいな端正な歌唱を聴くと、つくづく歌謡曲っていいなと思う。昭和30年代の男性歌手の声は全体に高いが、もしかしたら曲の内容とは別に、このキーの高さが当時の日本を元気づけていたのかもしれない。
収録したのはいつ? って感じのステレオ録音がウリの決定版シリーズのこれは第1弾。自分は彼の魅力を語るほどの年齢ではないが、昭和歌謡史に名を残す人に文句のつけようはない。代表曲(2)のようなお気楽なノリは今の時代に必要かもしれない。