1998年4月25日発売
ジャズ・テイストのピアノ協奏曲が集められているが、グリモーの演奏は洗練された味わい。ラヴェルの第2楽章のつぶやくような演奏が特にいい。ジンマン指揮のボルティモア響はゴージャスで立派な演奏を繰り広げている(特にガーシュウィンで)。
中国人の両親のもと日本に生まれたアメリカ人ピアニスト、ヘレン・ホワン3枚目のCD。若手のなかでも飛びぬけて才能に恵まれた彼女が、マズアとの共演で、モーツァルトの晴れやかな曲想とメンデルスゾーンのロマン性を心ゆくまで描きだしている。
91年にマズアがニューヨークpoのボスになった時は、「この意外性のある組み合わせ、続くんかいな?」と思ったりもしたが、ひょっとするとひょっとするかも。ドイツ+アメリカのドメリカ的演奏なのに、お互いなぜか燃えている。なかなかの珍味だ。
冒頭から凄絶な緊張感。ニューヨーク・フィルからこれほど深い響きを聴いたのは久しぶり、マズアの懐の深さに改めて脱帽だ。彼にとってこの曲の初体験がケーゲル指揮の演奏だったというのは興味深い。少なくともここには戦争の記憶が刻印されている。
一昨年のシーズンから音楽監督に就任したマズアのブラームスでこれはライヴ。録音の特質と相まって大変柔和なブラームス。旋律の歌わせ方もよく管理されオケもぴったりとまとまる。ただこのCD(2)の途中で40秒ほど左右が反転するという不良があった。
『ラヴ・ヒーリング』から続く“ラヴ”3部作の完結編。子供心に愛しく聴いた「そして僕は途方に暮れる」の印象しかない筆者(申し訳ない)は、色艶と少年の純朴さを持ち合わせた存在感のデカさにひれ伏すのみ。(7)ではGREAT3を思い出してしまった。
優れて洋楽的だった彼らの魅力が存分に楽しめる好選曲で、ヒット洋楽のカヴァーと、洋楽風味の和製作品とが平行して並べられた。ことに後者の適度な湿り気を持つ作品の完成度の高さに、なかにし礼、阿久悠、都倉俊一らプロの作家たちの力のほどを思い知らされる。